第271回桃李八月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:広島忌、長崎忌、終戦日

兼題または当季雑詠

兼題T 広島忌
兼題U 長崎忌
兼題V 終戦日

8月15日(水) 投句開始
8月22日(水) 投句締切 翌日選句開始
8月29日(水) 選句締切り 
8月31日(金) 披講

投句: 鈴居、秋童子、楽千、素蘭、松風子、英治、翔河川、敢且、春愁、丹仙
選句: 英治、秋童子、素蘭、春愁、松風子、翔河川、丹仙

披講

・10点句

唖蝉の声なき声や終戦日  丹仙
<英治(人)>
いかにも。

<秋童子(天)>
たくさんの「声なき声」が、戦争のありのままを今に伝えています。

<春愁(天)>


<翔河川(天)>
死者の声


・4点句

ゴキブリに身構へてゐる長崎忌  英治
<素蘭(人)>
鎮魂の日ながら「討ちてし止まむ」の標的が!

<丹仙(天)>
ゴキブリと長崎忌トの取り合わせに、ブラックユーモアを感じます。人間にとっては駆除したくなる対象でしょうが、ゴキブリに身になって考えれば真逆の話。感情移入できない他者への不条理な憎悪が、手前勝手な残酷さを生みます。

女生徒の空へ歌声長崎忌  秋童子
<英治(天)>
心にひびく。

<松風子(人)>
少女らの平和を願う清々しい声が長崎忌にふさわしい

誰が鳴らす鐘の響や長崎忌  楽千
<素蘭(天)>
余韻が心耳にとどまって…

<丹仙(人)>
永井博士のことを記憶している人がどれだけいるのか、それでも長崎の鐘の響きは長崎忌を思い出させます。

八月の蝉ラヂオ仰ぎて最敬礼  春愁
<素蘭(地)>
フラッシュバックするあの日の「私」

<丹仙(地)>
終戦日を不言題としましたが、この場合はそのほうが情景が鮮明となりますね。


・3点句

過去形はいまを救えず終戦日  松風子
<英治(地)>
忘れっぽい人々。

<翔河川(人)>
時間は戻らない

広島忌瞬時まぶしく新幹線  英治
<松風子(天)>
一瞬、光を放って通り過ぎる新幹線に広島忌をかさねる意外性が面白い


・2点句

あばら家に如己愛を聴く長崎忌  丹仙
<秋童子(地)>
永井隆博士が最後を過ごした如己堂で、その人生を偲びつつ。

階段の影のみ残すや広島忌  丹仙
<翔河川(地)>
建物はなく

巨人軍つぎは勝ちます終戦日  英治
<春愁(地)>


蝉鳴くや子ら活き活きと終戦日  楽千
<松風子(地)>
戦争が終わり、子供らのいききとした姿がふたたびよみがえったという感慨句


・1点句

広島忌あの日あの時豪雨なら  素蘭
<秋童子(人)>
広島はあの日、朝から快晴だったばかりに。

広島忌語り尽くせぬ今もなお  秋童子
<春愁(人)>