第273回桃李10月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:秋時雨、火祭、ハロウィン

兼題または当季雑詠

兼題T 秋時雨
兼題U 火祭
兼題V ハロウィン

10月15日(月) 投句開始
10月22日(月) 投句締切 翌日選句開始
10月29日(月) 選句締切り 
10月31日(水) 披講

投句: 楽千、素蘭、しゐ、春愁、秋童子、実生、松風子、明子、素人、鈴居、英治、翔河川、丹仙
選句: 春愁、楽千、しゐ、秋童子、実生、素蘭、松風子、鈴居、英治、素人、明子、翔河川、丹仙

披講

・8点句

街道の名残の榎秋時雨  明子
<楽千(人)>
時代を越えて旅人を見てきた榎。

<松風子(天)>
亭々とそびえ立つ榎の雨の中の景が見えます

<英治(地)>
格調のある句。

<翔河川(地)>
昔の旅人が休んでいそう


・6点句

幼子にもかなしみはあり秋時雨  しゐ
<秋童子(天)>
よくわかります。

<丹仙(天)>
かなしみ、あり、あきしぐれ、の母音「あ」の頭韻が、あたかもモーツアルトの音楽のごとく、明るさのうちに駆け抜ける悲しみを感じさせます。

忠犬は微動だにせず秋時雨  丹仙
<春愁(天)>
健気、賢い

<実生(天)>
農業土木の先駆者上野英三郎と現場を走ったのかもしれない、秋時雨どこで出会ったのかな。用水を貯めるのをやめた頭首工。


・5点句

したいことしないと決めて秋時雨  翔河川
<しゐ(天)>
かと言って、したくないことを済ませてしまうにも、やはり億劫なこの天気。

<秋童子(地)>
この決断。

独り居に誰かの気配秋時雨  しゐ
<松風子(地)>
屋根をうつ時雨の音が、あたかも誰かがいるように思えることはよくあります

<明子(天)>
微かだけど確かな気配。


・4点句

医師またも加齢を言へり秋時雨  英治
<しゐ(地)>
しかも、パソコンから目を離さぬままこれを告げるドクターの何と恨めしいこと。

<素蘭(地)>
医師もまた己が加齢をそぞろ寒

幻視今あかあかと火の祭かな  素蘭
<楽千(地)>
今夜も妄想で眠れそうもない。

<明子(地)>
炎のもたらす非日常の世界です。

仕上がりはムンクの叫び南瓜彫る  春愁
<楽千(天)>
この連想に脱帽。

<英治(人)>
ムンクがよい。

病むひとに火祭りの景ツイートす  英治
<素人(地)>
元気づけ。良くなったら一緒に見に来ようと。

<翔河川(人)>
いっしょに来たかった

<丹仙(人)>
現代的な情景がよく浮かびますね。


・3点句

秋時雨橋を渡れば昔町  松風子
<翔河川(天)>
橋の向こうにあるノスタルジー

逆算の余生に拍車秋しぐれ   春愁
<素人(天)>
死期を定めての逆算。切ないものがあります。

涙滲ませ火祭に参じたる  明子
<素蘭(天)>
情は情として………

ハロウィン もみの木に 髑髏が揺れる   実生
<英治(天)>
雰囲気あり。


・2点句

秋時雨穢土の敵は流し目で  素蘭
<春愁(地)>
座五が、きいている

かの国の死者たち陽気ハロウィン  明子
<丹仙(地)>
ハロウィンの祭りの起源は、生者と死者の交流ですから、日本のお盆とにていますが、やはり「かの国」の死者は、あまり湿っぽくなく陽気な雰囲気の祭りになりました。

くり貫かれ目鼻つけられ南瓜座す  しゐ
<素蘭(人)>
rape of pumpkin?

<素人(人)>
すっかり風物詩となって定着の感ありですね。

火祭りの松明闇を焦がしゆく  松風子
<鈴居(地)>
闇と秋の冷え込みが感じられる。

火祭やひそと牛若紛れ込む  春愁
<実生(地)>
幻想的な。


・1点句

秋時雨人影消えし河童橋  秋童子
<鈴居(人)>
道具買で賑わう河童橋。雨の為か景気の曇りか、もの寂しい風景

暗闇にカボチャが嗤ふハロウイン  松風子
<実生(人)>
不気味。

誰が誰どこもかしこもハロウイン  英治
<春愁(人)>
渋谷スクランブル、少々異常

ハロウィンの仮装で帰宅園児たち  素人
<明子(人)>
可愛いい魔女たちが楽しそうに帰ってきました。

半平太 濡れて帰れず 秋時雨  実生
<秋童子(人)>
春雨なら帰れたのに。

火祭や父より継ぎし我が血潮  楽千
<松風子(人)>
火祭りを受け継ぐ我が家系の血潮をあらためて知るという感慨

火祭りを やりたく思う 外来種  実生
<しゐ(人)>
外来種植物のあまりの繁殖力に、ふと、火を放ちたい衝動が……