第277回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:春雪、囀り、絵踏

兼題または当季雑詠

兼題T春雪
兼題U囀り
兼題V絵踏

2月15日(金) 投句開始
2月22日(金) 投句締切 翌日選句開始
3月 4日(火) 選句締切り  
3月 5日(木) 披講 

投句: 楽千、秋童子、春愁、しゐ、松風子、素蘭、素人、実生、翔河川、英治、明子、鈴居、丹仙
選句: 実生、楽千、松風子、英治、しゐ、素蘭、秋童子、翔河川、素人、明子、丹仙

披講

・9点句

春の雪モディリアニ画の憂ひ顔  春愁
<楽千(地)>
深刻なのかそうでなさそうなのか。

<素蘭(天)>
春まだ浅き憂い顔…おさげ髪が似合いそう

<素人(地)>
あのひょろ長い顔ですね。

<丹仙(地)>
モディリアニの画の憂顔、その唐突さが春の雪の違和感と重なり独特の雰囲気を醸しています。


・7点句

枝替へてまた一頻り囀れり  明子
<実生(天)>
様子がかわいい。。

<楽千(人)>
命の叫び天に響くか。

<素蘭(地)>
♪恋の季節よ♪  

<素人(人)>
春を謳歌しているのでしょう。

綿菓子のほがらほどろに春の雪  素蘭
<実生(地)>
大きなぼたん雪だったのかな

<松風子(人)>
春の雪の質感が感じられます

<英治(人)>
面白い。

<翔河川(天)>
重いコートはもういらない


・6点句

囀りや蒼穹にあるピアニシモ  楽千
<秋童子(天)>
はるか上空に、聞き逃しそうな小さな鳴き声が。魅力的な句です。

<丹仙(天)>
蒼穹に消えていくピアニシモの囀り、飛翔する雲雀に託した詩人の心を感じました。


・5点句

擦切れし踏絵の語る細き聲  丹仙
<松風子(天)>
「細き声」に踏絵の歴史の重みを感じます

<翔河川(地)>
信念の声

春の雪輪郭なくし来る都電  翔河川
<しゐ(天)>
音も色も輪郭も奪って積もる雪を、私は愛さずにいられない。

<明子(地)>
水分の多い春の雪らしい景色と思いました。


・4点句

絵踏して澱のごとくに残る悔ひ  松風子
<素人(天)>
分かるような気がします。この気持ち。

<丹仙(人)>
絵踏みを拒むことができなかった先祖達の悔ひ、それが「隠れた信仰」として代々受け継がれてきたように思います。


・3点句

絵踏史や長崎の空鈍色に  春愁
<明子(天)>
鈍色の空の措辞に込められている思いの深さ、重さ。

囀や寧楽に旧りゆく伎芸天  素蘭
<楽千(天)>
踊る伎芸天に伴奏する囀り。

春雪の消えてあらはな地震の痕  松風子
<秋童子(地)>
再び現実の姿が。

<明子(人)>
思い出すこと、いっぱいあります。

まだ青き児の盆の窪春の雪  しゐ
<英治(天)>
春の勢いあり。


・2点句

おのづから兆し見せつつ春の雪  英治
<しゐ(地)>
降ってくるものの意思を感じました。

囀りや無言の理由それぞれに  しゐ
<英治(地)>
合点である。

踏む罪も踏ませる罪も重すぎて  しゐ
<松風子(地)>
踏絵が持つ罪の二面性が出ていて、なるほどと思いました


・1点句

青空の見えゐることも春の雪  明子
<翔河川(人)>
空が高くなった

絵踏してながらへてけふ弔はる  英治
<素蘭(人)>
 鬼院先生入るや鳥雲

囀りを探すや皆で口開けて  秋童子
<しゐ(人)>
その姿を、囀りの主たちが梢から笑って見下ろしている、ような気がする。

囀るを電車のがして聞きし朝  翔河川
<秋童子(人)>
きっといい朝だったことでしょう。

蝋燭の灯影踏絵のマリア像  明子
<実生(人)>
昨夏五島列島に、とても小さい部落まで小さき教会が。