投句: | 楽千、秋童子、春愁、しゐ、松風子、素蘭、素人、実生、翔河川、英治、明子、鈴居、丹仙 |
選句: | 実生、楽千、松風子、英治、しゐ、素蘭、秋童子、翔河川、素人、明子、丹仙 |
春の雪モディリアニ画の憂ひ顔 春愁
枝替へてまた一頻り囀れり 明子
綿菓子のほがらほどろに春の雪 素蘭
囀りや蒼穹にあるピアニシモ 楽千
擦切れし踏絵の語る細き聲 丹仙
春の雪輪郭なくし来る都電 翔河川
絵踏して澱のごとくに残る悔ひ 松風子
絵踏史や長崎の空鈍色に 春愁
囀や寧楽に旧りゆく伎芸天 素蘭
春雪の消えてあらはな地震の痕 松風子
まだ青き児の盆の窪春の雪 しゐ
おのづから兆し見せつつ春の雪 英治
囀りや無言の理由それぞれに しゐ
踏む罪も踏ませる罪も重すぎて しゐ
青空の見えゐることも春の雪 明子
絵踏してながらへてけふ弔はる 英治
囀りを探すや皆で口開けて 秋童子
囀るを電車のがして聞きし朝 翔河川
蝋燭の灯影踏絵のマリア像 明子