第281回桃李6月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:鵜飼、梅雨、単衣

兼題または当季雑詠

兼題T 鵜飼
兼題U 梅雨
兼題V 単衣

6月19日(水) 投句開始
6月26日(水) 投句締切 翌日選句開始
7月03日(水) 選句締切り  
7月04日(木) 披講

投句: 素蘭、素人、楽千、英治、しゐ、秋童子、白馬、鈴居、春愁、実生、松風子、明子、翔河川、丹仙
選句: 白馬、素人、英治、素蘭、楽千、実生、松風子、春愁、しゐ、翔河川、鈴居、秋童子、明子、丹仙

披講

・11点句

篝火の爆ぜて鵜飼の始まりぬ  素人
<素蘭(天)>
殺生ながら馨しく

<楽千(天)>
臨場感たっぷり。

<松風子(天)>
鵜飼の始まる高揚感が出ています

<鈴居(人)>
篝火のはぜる音、暗闇が伝わる。

<丹仙(人)>
叙景に徹したところに臨場感がありますね。


・8点句

人生を軽るめに生きて単衣かな  楽千
<英治(天)>
そんな気がする。

<鈴居(地)>
その生き方に憧れちゃう。

<丹仙(天)>
俳句人生の究極は「軽み」、単衣の題詠にピタリと符合しました。

梅雨晴れ間バケツ叩いて牛を呼ぶ  楽千
<実生(地)>
早くバケツ叩いてよと、牛の顔が見える放牧地。なつかしい。

<松風子(地)>
「バケツたたいて」という表現がいかにも梅雨晴間を感じさせます

<翔河川(人)>
広い大地

<明子(天)>
情景がよく見えます。とても気持の良い句ですね。


・6点句

梅雨さむし殉教の碑の切支丹  丹仙
<白馬(地)>
隠れキリシタンの墓標に雨が---。

<素人(地)>
受難が偲ばれます。

<しゐ(地)>
記された信仰と迫害の歴史。どちらも人間の歴史。そのどちらにも同じように雨が降る。


・5点句

くくられて俳誌捨てられ梅雨晴間  英治
<素人(天)>
侘しさが漂います。

<素蘭(地)>
断捨離日和かも

早暁の静寂にもやう鵜飼舟  翔河川
<実生(人)>
池波正太郎を思い出してしまった。講談師のさわりみたいな光景が浮かぶ。

<春愁(天)>
ひと仕事終えて静かに舫う舟の景、いい句

<明子(人)>
今は休息の時。


・4点句

鵜飼舟水の命のまた哀れ  楽千
<英治(地)>
哲学的。

<丹仙(地)>
「水の命」という言葉に惹かれました。鵜飼が水を命とする如く、水も鵜飼を命とします。

貨物船曳航されて梅雨の朝  翔河川
<素人(人)>
荷揚げが待っています。

<鈴居(天)>
貨物船の重さと梅雨の重苦しさが重なる。

軽き身をなほ軽くして単衣かな  英治
<松風子(人)>
風さえ感じる、清涼感のある句

<翔河川(天)>
いさぎよい

原つぱに児らの弾けて梅雨晴れ間  秋童子
<楽千(地)>
待ちかねていた命の喜び。

<春愁(地)>
やはり児らの弾け・・・がいい

テレビてふ悲しき玩具梅雨に倦む  春愁
<素蘭(人)>
おもしろうて…

<しゐ(天)>
薄暗い雨の1日があまりにゆっくりと過ぎていくので、時間も自分もつい持て余してしまう。そんな日のテレビはありがたくもあり、かなしくもある。


・3点句

お点前の単衣の肩の細みかな  丹仙
<白馬(人)>
細きが故の優雅さ。

<秋童子(地)>
「肩の細み」から、凛としたお茶席の雰囲気を想像しました。

千年の重み烏帽子に鵜の篝  春愁
<秋童子(天)>
烏帽子に焦点を合わせ。いいですね。

単衣着て風通り行く森の午後  翔河川
<実生(天)>
どうしたのと、聞きたくなる句む。おせっかいには気になるなぁ。

見るほどに身につまされし鵜飼かな  秋童子
<白馬(天)>
鵜の悲しみは我が悲しみ


・2点句

梅雨なれば蓑笠纏ふ六地蔵  素人
<翔河川(地)>
六つの蓑笠

単衣帯をんなが惚れる女形  春愁
<明子(地)>
玉三郎様!


・1点句

上げし鵜に鮎を一匹鵜飼果つ  明子
<楽千(人)>
やがて哀しい。

鵜飼果て闇は波音ばかりなる  松風子
<しゐ(人)>
波音は、難を逃れた魚たちのささやきか……。

押し黙る児の涙拭く単衣袖  しゐ
<秋童子(人)>
この児に何があったのでしょうか。

信長に似たる鵜匠の捌きかな  丹仙
<春愁(人)>
一寸、強引な捌きが気になるが・・・面白い

老婆心ながらさながら鵜舟かな  素蘭
<英治(人)>
面白い。