第283回桃李8月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:酷暑、風鈴、8月15日(不言題)

兼題または当季雑詠

兼題T 酷暑
兼題U 風鈴
兼題V 8月15日(不言題)

8月17日(土) 投句開始
8月24日(土) 投句締切 翌日選句開始
8月31日(土) 選句締切り  
9月1 日(日) 披講     

投句: 素蘭、楽千、しゐ、白馬、鈴居、松風子、春愁、英治、素人、秋童子、翔河川、明子、実生、丹仙
選句: 鈴居、春愁、素人、しゐ、白馬、実生、秋童子、英治、素蘭、翔河川、明子、丹仙

披講

・7点句

風鈴やすっぽんぽんの嬰あやす  楽千
<素蘭(人)>
天花粉にくるまれて。。。

<翔河川(天)>
風呂あがり

<丹仙(天)>
本来無一物の嬰児と虚空に架かる風鈴の配合が面白い


・6点句

追伸に隠す本心夜の風鈴   春愁
<実生(天)>
どんな心持ちでこのような句が。意味深。仙台で帰省せずお寺の下宿で聴いていたような。南部
鉄の風鈴を。

<英治(天)>
情緒あり。


・5点句

物陰のことりともせぬ極暑かな  松風子
<しゐ(天)>
その物陰には異界の気配も。

<実生(地)>
最近の梅雨明けの気温はとても暑い、それが数日続くけど、どこだろう、深川かな。本当に暑くて、人も猫もぐったり。

因数分解の邪魔だ風鈴め  英治
<素人(天)>
破調の魅力。

<しゐ(地)>
もはや因数分解が何だったかも思い出せないのですが、その苛立ちに深く同情いたします。

酷暑かな激辛カレー大盛りで  楽千
<鈴居(人)>
若い!!

<素人(地)>
効果的な対処法。

<英治(地)>
いかにも。


・4点句

ためらひつ軒の風鈴独り言つ  しゐ
<鈴居(地)>
静かな一コマ

<春愁(地)>
酷暑のあまり風鈴も・・・

長崎に帰らぬ人へ風の鈴  実生
<白馬(天)>
クロスに届け風鈴の音

<翔河川(人)>
迎える音

 ラヂオから「茶色の小瓶」敗戦忌  春愁
<白馬(人)>
「ラヂオ」も昔を思い出させる。

<素蘭(地)>
虚脱感と解放感と…

<明子(人)>
ジャズは自由のシンボルでした。


・3点句

空気とか暗黙知とか敗戦忌  素蘭
<明子(天)>
今、私たちを取り巻く得体の知れぬものを感じます。

残暑いま酷暑に変はる見舞ひ状  春愁
<秋童子(天)>
こうなるともう、お互いの安否確認ですね。

終戦日被爆マリアに額づけり  丹仙
<素蘭(天)>
聖母被昇天の祝日とか…

時の鐘忍び難たきを耐えて虹  楽千
<春愁(天)>
忍び難たきを耐えて平和の到来・・・幸せです

畑仕事酷暑にめげず首手拭  白馬
<鈴居(天)>
精がでます


・2点句

秋風鈴凡愚に生きて羅甸系  素蘭
<素人(人)>
凡愚とはご謙遜。

<丹仙(人)>
全く個人的な感懐ですが、ポルトガルで聞いた民謡ファドが聞こえてきました。凡愚に徹する最善世界観こそ羅甸系のライフスタイル。

気の行方風鈴に聞く露地の午後  翔河川
<丹仙(地)>
どっこから来てどこへ行くか分からぬ大気の微妙な動きをかすかな風鈴の音に聴く。茶会に招かれた人の静寂な心境のような気分が察せられます。

塩飴を甘く感ずる酷暑かな  明子
<白馬(地)>
発見ですね。

祖父の名の特高調書に敗戦忌  しゐ
<秋童子(地)>
多くの無実の人々が監獄に送られ、ひどい仕打ちを受けました。

デモ盛る香港の街酷暑なほ  しゐ
<明子(地)>
思いの熱さが伝わってきます。

風鈴の舌を動かす風も絶え  明子
<翔河川(地)>
空気が重い


・1点句

お隣は恨を募らす終戦日  素人
<英治(人)>
恨は「ハン」としては。

酷暑日や信号待ちの透けた腿  鈴居
<しゐ(人)>
信号が変わるまでの時間が、目に入るものによって長くも短くも、暑くも涼しくも、爽やかにも鬱陶しくもなりますが、さて、この腿の場合は……?

抽選を待つ身の極暑あと一年  丹仙
<春愁(人)>
東京オリンピックも間近に・・・

八月の今日の日の色空の色  明子
<実生(人)>
戦後生まれ、祖母や両親から聞かされていた、この日。今日の日の色、不気味さを感じる。どんな空の色なんだろう。戦争、いやだいやだ。

風鈴をしまい良日給われり  翔河川
<秋童子(人)>
穏やかな1日が、静かに終わろうとしています。