第284回桃李9月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:十六夜、水澄む、獺祭忌

兼題または当季雑詠

兼題T 十六夜
兼題U 水澄む
兼題V 獺祭忌

9月15日(日) 投句開始
9月22日(日) 投句締切 翌日選句開始
9月29日(日) 選句締切り  
9月30日(月) 披講    

投句: 楽千、素蘭、春愁、白馬、しゐ、実生、秋童子、松風子、翔河川、鈴居、丹仙、明子
選句: 楽千、鈴居、春愁、松風子、秋童子、しゐ、白馬、翔河川、実生、英治、素蘭、明子、丹仙

披講

・8点句

炊きあがる南瓜ほっこり獺祭忌  春愁
<白馬(人)>
南瓜と子規の取り合わせ。

<実生(地)>
ほっこり、いい言葉だなぁ。南瓜生は硬くて、茹でるとほっこり。子規は南瓜大好きかな。なんだか、きっと集まった人たちもほっこりとした人が多いのだろう。

<英治(天)>
食いしん坊だった子規。

<明子(地)>
健啖家の子規は、食べ物を本当に美味しそうに表現しています。

水澄んで胸のつかえのふと軽く  秋童子
<鈴居(地)>
何か心配事も鎮まりましたか。

<白馬(天)>
心を洗われる一瞬

<実生(天)>
淀みにと溜まる胸のつかえも淵に沈んで、水澄む、つかえが軽くなる、どんな情景なのだろう。自分にも軽くしてほしいつかえ沢山あるけど、なかなか水澄まず。


・7点句

村二つ呑んでダム湖の水澄めり  しゐ
<翔河川(地)>
終わりのない公共事業

<素蘭(地)>
「山粧ふ」の時節ですね。

<明子(天)>
深い悲しみを呑み込んだダム湖の水です。


・6点句

言語野に漢遊ばせ獺祭忌  素蘭
<楽千(地)>
苦吟と言うも遊び心で。

<明子(人)>
子規こそ存分に遊んだ漢でしだ。

<丹仙(天)>
漢遊を「おとこあそばせ」と読むところが面白い。言語野、漢遊、獺祭忌の三つが漢字遊びとして共鳴しています。大脳の言語野が、突如野原に変貌し、そこにさまざまな漢達が遊び戯れているような感覚がある。

文机の切欠き撫づる獺祭忌  明子
<楽千(天)>
夢の形見の愛用の卓。

<翔河川(天)>
使い古した文机


・5点句

十六夜や金波銀波の湖に寄す  楽千
<春愁(地)>
月の光が皓皓と

<松風子(天)>
目に浮かぶような湖の景が広がります


・4点句

十六夜の被災の街よ闇の底  秋童子
<楽千(人)>
ただただ祈るばかり。

<白馬(地)>
停電何日---。月がわずかに照らす痛ましい被災の痕。

<丹仙(人)>
停電が回復しない被災地の状況が、「闇の底」によく表現されています。

ひとしれず山の泉の水澄みて  翔河川
<松風子(地)>
山中の静かな泉の景が見えます

<しゐ(地)>
ただひっそりと清らかに。


・3点句

オカリナの節哀しきや水澄めり  楽千
<春愁(天)>
きれい

棹入れて水澄むなかを渡し船  松風子
<翔河川(人)>
のどかな秋

<英治(地)>
巧みな句。

停電と断水の夜々獺祭忌  しゐ
<鈴居(天)>
大変ですが、筆は進むかも。

枕辺に並べし画帳獺祭忌  丹仙
<素蘭(天)>
苦語中の快楽不退は凄すぎる…

また一人指さしてゆく十六夜  しゐ
<秋童子(天)>
詩情あふれる一句です。

水澄むやうろくづ光りつつ走り  明子
<秋童子(人)>
水中の小魚もよく見えるようになって。

<丹仙(地)>
ひと息に詠んだ句。走る光と澄む水の対比に、静中の動、動中の静の心象風景がある。

水澄むや昔小川に小さき魚  白馬
<しゐ(天)>
小川のふちには秋草が揺れてもいました。


・2点句

十六夜雲間に動かぬ空のあり  白馬
<秋童子(地)>
動かぬ空に着目するとは!

獺祭忌まだ指折って句を作る  楽千
<松風子(人)>
フレーズと季語が照応しています

<しゐ(人)>
どうしたわけか指折って数えると安心する。大事な大事な17文字。


・1点句

十六夜や逢ふも別れのはじめとて  松風子
<実生(人)>
え、どんな出会いと別れがあったの。十六夜だよ。なんだか寂しいなぁ。

十六夜や別れのことば言ひそびれ  春愁
<鈴居(人)>
十六夜の夜も静かに更けていったのでしょうか。

虚飾なき子規の墓石や獺祭忌  秋童子
<素蘭(人)>
それにつけても、、、

今日あれど明日なきいのち獺祭忌  松風子
<英治(人)>
いかにも。

水澄むや進行形で語る恋  素蘭
<春愁(人)>
清い恋