第287回桃李12月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:冬の朝、歳の暮、降誕節

兼題または当季雑詠

兼題T 冬の朝
兼題U 歳の暮
兼題V 降誕節

12月15日(日) 投句開始
12月22日(日) 投句締切 翌日選句開始
12月29日(日) 選句締切り  
12月31日(火) 披講  

投句: 素蘭、しゐ、実生、松風子、翔河川、鈴居、秋童子、敢且、明子、丹仙
選句: 英治、秋童子、春愁、実生、素蘭、しゐ、翔河川、明子、丹仙

披講

・9点句

さまよえる辺野古のジュゴン冬の朝  翔河川
<秋童子(人)>
沖縄の大切な海の生命が次々に失われています。

<春愁(天)>
どうぶつの死、自然破壊、寒々しい

<しゐ(天)>
さまよえる姿は、この国の姿そのもの。

<丹仙(地)>
身勝手な人間の都合で亡くなった仲間の死を弔うジュゴンの祈りが聞こえてくるようです。


・8点句

短くも相槌ありて冬の朝  しゐ
<英治(天)>
気の置けぬ間柄。

<翔河川(地)>
長いつきあい

<明子(天)>
俵万智さんの「寒いねとーー」の短歌を思い出しました。温もりを感じます。


・7点句

キューポラの在りし日の街冬の朝  素蘭
<秋童子(天)>
白い息を吐きながら、工場に向かう大勢の人波を思い浮かべました。

<春愁(地)>
むかしの街は活気に満ちていたが、寒かった

<しゐ(地)>
その頃の冬はちゃんと寒かった。


・6点句

立ちこぎで坂道登る冬の朝  翔河川
<春愁(人)>
喘ぎて漕ぐ姿が・・・今は電動?

<実生(地)>
どこへ行くのか、立ち漕ぎで、登ってくる中学生。部活かな。登り切るまでもう直ぐだよ。

<しゐ(人)>
その横を、こともなげにすり抜けて行く若者よ……。

<明子(地)>
若々しさが伝わってきます。白い息も輝いています。


・3点句

逝きし人をみな善人にして歳暮るる  しゐ
<翔河川(天)>
死は誰にでも

こんこんと猫コンコンと冬の朝  翔河川
<英治(地)>
冬の朝らしい。

<実生(人)>
猫好きでも、寝相り悪い私の布団にはもぐりこんでこない我が家の年寄り猫。妻の布団の中で、妻が起きるまでコンコンと。それも、言葉まで理解して。寝るよと言われれば、にゃーと返事する。夫婦の鎹。

歳晩のバスへカンダタわれがちに  敢且
<丹仙(天)>
きわめて個人的な感想に過ぎませんが、エリオットの「荒地」の一節
、「人の群れがロンドンブリッジを渡ってゆき、それが余りにも大勢で、私は死がそれほど多くのものを台無しにしたとは思わなかった」
を思出しました。歳晩の混合うバス乗場で我がちに乗り込む人が、芥川の「蜘蛛の糸」の主人公のように、自分のことのみを考え、地獄からの逃避を急ぐ終末の予感に満ちた幻想的な情景に変わりました。

しめ縄を飾りて年をくくるなり  鈴居
<実生(天)>
くくられて、嫌なことすべて忘れて、楽しきことのみ、期待しよ。

薬研堀江戸の香残る歳の市  実生
<素蘭(天)>
七味唐辛子の芳香に天


・2点句

暁暗の飼葉の桶や降誕節  丹仙
<素蘭(地)>
飼葉桶を干し草のベッドと見立てれば、なかなか。

参道もイルミネーションクリスマス  鈴居
<秋童子(地)>
表参道。あれも神社の参道ですよね。


・1点句

アフガンに捧げし医師よ歳の暮  秋童子
<明子(人)>
言葉がありません。

絵硝子へ洩れ日の淡し降誕祭  敢且
<丹仙(人)>
降誕の朝のひととき、教会のステンドグラスの情景をよくとらえています。

ぬばたまの御器に御器の実歳の暮  素蘭
<英治(人)>
何か気になる。

朝はつとめて不整脈かな鳩時計  敢且
<翔河川(人)>
冬は特に

身内にも荒野のこころ冬の朝  松風子
<素蘭(人)>
詩人の本質かも?