第288回桃李一月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:歌留多、小正月、寒椿

兼題または当季雑詠

兼題T 歌留多
兼題U 小正月
兼題V 寒椿

1月15日(水) 投句開始
1月22日(水) 投句締切 翌日選句開始
1月29日(水) 選句締切り  
1月31日(金) 披講 

投句: 楽千、素蘭、松風子、春愁、実生、しゐ、秋童子、翔河川、英治、丹仙、明子
選句: 楽千、しゐ、春愁、素蘭、秋童子、英治、実生、松風子、翔河川、明子、鈴居、丹仙

披講

・12点句

真青なる空を従え寒椿  楽千
<しゐ(天)>
色彩を際立たせて、冷たく広がる冬晴れの景色が見えてくるようです。

<素蘭(天)>
紅椿の大木がくっきりと。。。

<実生(天)>
私の家の椿は裏庭の崖に3本。青空が見えないけど、空を従えなんて椿も小粋だなぁ。

<明子(天)>
寒椿の凛とした姿が見えてきます。


・7点句

気がつけば孫に手加減され歌留多  秋童子
<しゐ(地)>
こうなったら、それも喜びましょうか。

<春愁(人)>
得意だったカルタ取りも今は・・・

<素蘭(人)>
嬉しいような悲しいような…

<鈴居(天)>
いまどきの正月の光景は残念ながら歌留多ではなくプレステかスイッチですが。

けふといふ過去の滲み出る寒椿  松風子
<英治(天)>
しみじみと思う。

<翔河川(人)>
滲み出てゆく時

<丹仙(天)>
「けふといふ過去」の時間意識が面白い。永劫の過去にまで遡って「今」咲いている寒椿、シレジウスの薔薇の句と同じく、日常の具体的世界に侵入した永遠を感じさせます。こういう句は、観念的に過ぎて、すぐには選ばれないかもしれませんが、私がめざしている福音俳句(evangelical Haiku)の世界に近いものを感じました。


・5点句

天飛ぶやカルロス・ゴーンの花歌留多  素蘭
<春愁(地)>
歴史に残る大スキャンダル

<松風子(天)>
時評をもじった愉快な句

寝坊する軽き鼾や小正月  楽千
<実生(地)>
鼾にうるさいと叱られるけど、みんな起きている寝坊だから、とっても幸せです。と、感じ入りました。

<翔河川(天)>
妻かな


・4点句

小正月行き先のない山手線  翔河川
<素蘭(地)>
mystic tour が始まりそうな昼下がり(個人的妄想です)

<英治(地)>
面白い。

仕来りも少しくだけて小正月  明子
<しゐ(人)>
少しばかりくだけても許される気がするのは、小正月の持つ大らかさのような気がします。

<秋童子(天)>
かしこまらず気楽に。

病むものの一人もなくて小正月  しゐ
<秋童子(人)>
穏やかなひとときです。

<実生(人)>
小正月がなんとも幸せを呼ぶ言葉。病む人が一人も居ないという幸せ。

<明子(人)>
これこそめでたいの一言です。

<丹仙(人)>
年末から正月にかけて入院中の方を見舞うことが多く、おなじような状況にあった我が家の昔のことに思いを馳せました。「病むものの一人もない」という日常のありがたさを痛感しつつ、本句の真情に共感しました。


・3点句

今もある左遷首切り寒椿  実生
<英治(人)>
椿の花は首から落ちる。

<松風子(地)>
ぽとりと落ちる椿に照応したフレーズがおもしろい句

寒椿呑み屋のテーブル馬蹄形  翔河川
<楽千(天)>
中の女将が笑顔で仕切る。

炎立つ震災の街寒椿  秋童子
<春愁(天)>
あれから20有余年今も・・・

読み知らぬ意味識らぬまま恋歌留多  春愁
<松風子(人)>
みんなそんな風にして百人一首に興じていました

<翔河川(地)>
憶えて入るが


・2点句

浅茅生の小野に一輪寒椿  素蘭
<丹仙(地)>
百人一首でおなじみの「忍ぶ恋」の本歌取り。「浅茅生の小野」を通って山中の茅屋にしつらえた茶室に入ると、そこに一輪の寒椿が生けてあったというような物語をも感じさせます。俳諧連歌の座のなかで付け句を誘う句ですね。

簪の鈴鳴らしけり歌留多取り  楽千
<明子(地)>
お正月らしい華やかさが浮かび上がる句と思います。

去年ほどの幸がよし寒椿  しゐ
<楽千(地)>
ほどほどの何と気楽な日常よ。

先立ちしものの声聞く歌留多かな  英治
<秋童子(地)>
いまは亡き人の声もありありと。

せがれ帰省三品増える小正月れ  実生
<鈴居(地)>
微笑ましい風景です。


・1点句

鳥声の一日離れず寒椿  明子
<楽千(人)>
寒中に華の命のかくありぬ。

夕さりの庭の昏きに寒椿  春愁
<鈴居(人)>
ほっとする句ですね。