第289回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:下萌、鶯、新型肺炎(不言題)

兼題または当季雑詠

兼題T 下萌
兼題U 鶯
兼題V 新型肺炎(不言題)

2月15日(土) 投句開始
2月22日(土) 投句締切 翌日選句開始
2月29日(土) 選句締切り  
3月 1日(日) 披講

投句: 楽千、松風子、しゐ、素蘭、春愁、秋童子、実生、鈴居、英治、翔河川、丹仙
選句: 楽千、実生、英治、素蘭、しゐ、秋童子、春愁、翔河川、鈴居、丹仙

披講

・9点句

臥やる母和む初音の三連符  春愁
<実生(天)>
今日、妻がウクイス鳴いていたと報告があった。耳を澄ましても聞こえなかった。朝目覚めて、息子夫婦の起きて来るまでじっと我慢して臥せていただろう母。きっと、鶯が鳴いたよと言いたかっただろうな。もう、亡くなって9年も経った。

<秋童子(天)>
三連符がいいですね。しかも初音であれば、母上もきっと和まれたことでしょう。

<翔河川(人)>
臥せっていても音色に癒されて

<丹仙(地)>
鶯の初音を「三連符」と表現したところに惹かれました。大自然の奏でるグレゴリオ聖歌ともいうべきでしょう。


・8点句

下萌ゆる嬰の掌にはや運命線  春愁
<英治(人)>
ほんとかしら。

<素蘭(天)>
嬰と運命線の取り合わせが絶妙で じっと掌を見る one of them

<しゐ(人)>
誰の人生にも、避けられない苦労の数々があることを知っている作者と読者は、それでもこの嬰児の未来に幸運の多からんことをと祈らずにいられない。

<丹仙(天)>
「下萌ゆる嬰児の掌」に黙示された運命という言葉に、私はルカ福音書のシメオンの予言を想起しました。その運命がいかなるものであれ、嬰児の無垢の姿には、悲劇的な宿命を摂理(復活の春によって象徴される)へと転換する希望があります。


・5点句

下萌えのゆっくり目覚めクリームパン  翔河川
<楽千(天)>
食欲が出て来ました。

<鈴居(地)>
現代風

下萌や波の音なき海見えて  松風子
<英治(地)>
のたりのたりかな。

<しゐ(天)>
時間が止まったような静けさと安らぎに包まれているが、それだけに、消し去れないほんの少しの寂しさを感じてしまう春の日。

地の丈を少し押し上げ草萌える  しゐ
<楽千(人)>
天地に春が到来しました。

<英治(天)>
地面のふくらむ感じだ

<丹仙(人)>
自然の生命の営みを如実に映す写生の句としての俳句の力を感じます。

なほ探す自転車の鍵下萌ゆる  英治
<素蘭(地)>
昔々のことなれど…嗚呼!

<翔河川(天)>
なかなか出てこない


・4点句

講義室春のマスクに怯えけり  丹仙
<秋童子(人)>
ずらりマスクに睨まれては、ぎょっとしますよね。

<鈴居(天)>
人の集まるところはどこもこわいです

春燈や濃厚接触恙無し  楽千
<素蘭(人)>
お家でまったり?

<春愁(地)>
つつがなくてよかった

<鈴居(人)>
取りようでは意味深


・3点句

他人事が人走らせて冴返る  松風子
<春愁(天)>
風評の風評呼んで・・・


・2点句

鶯や祖母の好んだ養命酒  翔河川
<楽千(地)>
わが母も愛用していました。

鶯を聞きたるけふの湯に沈む  英治
<秋童子(地)>
ああ今日はいい日だったなあと。

下萌の畦に穴ぼぽこぽこと  楽千
<実生(地)>
蛇かな蛙かな、穴のお宿の主は。子どもの頃を思い出した。母にマムシは怖いよと言われて恐る恐る畔にオタマジャクシを採りに。そんな畔も無くなった。蛙も見ない。

下萌えの山火事ありし森からも  翔河川
<しゐ(地)>
海外の想像を絶する規模の山火事の、あの跡にも、わずかに萌え出る新しい命がありますように。

下萌や荒地に魔法振りかけて  秋童子
<翔河川(地)>
気づかぬあいだに


・1点句

疫病やパニツク映画凌ぐ春  秋童子
<実生(人)>
パラサイトの映画みた。新型肺炎も人に動物にパラサイト、遺伝子変異、感染、人の心も変異する時代、ウイルスから人まで何かの要因で遺伝変異が起きているのかな。地球温暖化かな。

基礎疾患かかふる遠出春一番  英治
<春愁(人)>
持病持つ身に、思わぬ災難か