第290回桃李三月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:雛、春休み、春風邪

兼題T 雛
兼題U 春休み
兼題V 春風邪

3月17日(火) 投句開始
3月24日(火) 投句締切 翌日選句開始
3月31日(火) 選句締切り  
4月01日(水) 披講 

投句: 楽千、春愁、素蘭、鈴居、松風子、しゐ、風子、実生、ぽぽな、英治、素人、秋童子、翔河川、明子、丹仙
選句: 楽千、春愁、しゐ、英治、秋童子、風子、白馬、ぽぽな、松風子、鈴居、素蘭、翔河川、実生、明子、丹仙

披講

・14点句

フランスパン抱へし余熱春の風邪  春愁
<楽千(人)>
最後に食欲だけが残っている。

<しゐ(人)>
思いがけないあたたかさに、かじりつく前に、抱きしめてしまいます。

<英治(人)>
着眼がよい。

<素蘭(天)>
  目借時とて弾く算盤

<翔河川(地)>
焼きたて

<明子(天)>
焼きたてのパンから伝わってくるほどの熱、春の風邪の熱の様子を
的確に表現しています。そしてそんな感覚を客観的に見ている作者の
余裕のようなものを感じました。

<丹仙(天)>
フランスパンの余熱が伝わってくる感じが良い。風邪でパンの香りは味わえないかもしれませんが、一人暮らしの下宿に早く養生したいようなそんな状況でしょうか。


・12点句

 太陽の光おもたし春の風邪  ぽぽな
<楽千(天)>
良きにつけ悪しきにつけて太陽あっての人類である。

<しゐ(天)>
寝込むにはあまりにも惜しいような日差し。けれども、この倦怠感はうらめしい。いっそ、ずっしりと曇っていてくれればいいのに。

<松風子(天)>
病の時の気分が濃厚に出ています

<素蘭(人)>
早くワクチンが開発されて新型コロナもはしかのようなものになってくれぬかと…

<明子(地)>
明るい日の光まで思いと感じる、これも春の風邪ならではと思います。


・9点句

去年より少し離して二人雛  しゐ
<英治(地)>
面白い。

<風子(天)>
世間が大騒ぎしている中、雛に託して距離感を淡々と語っているところに
惹かれました。

<松風子(地)>
コロナ禍の今の状況が出ています

<素蘭(地)>
時節柄?深層心理?


・8点句

手のひらに開く薄紙豆雛  明子
<春愁(天)>
可愛らしい豆雛。一年ぶりの出会い

<風子(地)>
どこを向いてもコロナ騒ぎですが、この句にほっと心が和みました。

<翔河川(天)>
ぱっと開くと


・5点句

ただならぬ世を言ひ合ひて春の風邪  英治
<ぽぽな(天)>
上5中七はまさに現状を言い得ているだけでなく、世の中の普遍をついています。春の風邪も、新コロナ、と膨らませて読んだとしても、取らなかったとしても、うまく働くと思います。

<丹仙(地)>
老夫婦の会話のような趣があって印象に残りました。


・4点句

往診を躊躇ふ医師や春の風邪  丹仙
<しゐ(地)>
どちらの気持ちもよく分かり、同情しきりです。

<秋童子(地)>
今年ばかりは・・・。


・3点句

一枚を脱いでまた着る春の風邪  しゐ
<楽千(地)>
体温の感覚が不安定となる。

<松風子(人)>
案外ひつこい風邪であればこそ

影といふものひとつなし雛あられ  ぽぽな
<英治(天)>
趣がある。

通信簿まずしまい込み春休み  しゐ
<鈴居(天)>
可愛らしい話です。

亡き妻の甘き囁き春の風邪  楽千
<実生(天)>
まだまだだよ、待っててね。というような、まだ経験してないけど、囁いてくれるかな。また、
競馬ばかりしてと叱られるかも。私は。

眼差しに俤のある雛かな   松風子
<白馬(天)>
思い出多々。

ハイタッチ座敷わらしと真夜の雛  春愁
<秋童子(天)>
そんな楽しい場面があったとは!


・2点句

春休みされど外出禁止令  風子
<春愁(地)>
不要不急の外出は避けよ、会合中止が相次ぐ。いつまで続くコロナウィルス

ウイルスに怯え世界も春休み  秋童子
<春愁(人)>
今や世界はパンデミックの様相。怖い世。

<鈴居(人)>
やわかくいきたいものです

子も犬も遊び疲れて春休み  英治
<鈴居(地)>
悲しくもうれしい?

桟俵十字姿に眠る雛  丹仙
<実生(地)>
3・11忘れるなと、雛に言われて。と思った。

獰猛な変種となりて春の風邪  松風子
<白馬(地)>
COVID−19 強烈な作句。

模様替へのダンボール箱春休み  春愁
<ぽぽな(地)>
春休みに部屋の模様替え!と心に決めていたのでしょうね。明るい気分があります。また、それを、ダンボール、と物で語ったところもいいです。


・1点句

俺ほだちまだ帰れねえ浪江春  秋童子
<実生(人)>
3・11便利さに埋もれてた。南海トラフ、富士山爆発、パンデミック我がふるさとしっかり、子らに孫らに伝承。

高転びしさうな女夫変り雛  素蘭
<白馬(人)>
スタイル抜群のめおと。

次々と路地より子供春休み  松風子
<明子(人)>
今は外遊びも憚られるようになってしまいましたが
早く子供たちが路地に溢れる様子が見られますように・・・

春風邪に疑る視線注がれる  素人
<秋童子(人)>
うかつに咳もできません。

春休み密かに習ふ逆上り  楽千
<風子(人)>
何よりも逆上がりのことを思う健気な気持ちを大切にして欲しい。
応援したくなる。

ひと想ふ遠き眼差し雛飾る  楽千
<丹仙(人)>
雛が遠くを見て誰かを想っているという趣向が印象的です。

ひと世代めぐりふたたび雛の部屋  英治
<翔河川(人)>
子が巣立ち

ゆるやかなハンドルさばき春休み  翔河川
<ぽぽな(人)>
本人の車の運転の様子かもしれませんし、家族や恋人かもしれません。行楽に出かける心弾む様子が感じらます。