第291回桃李四月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:復活祭、花守、テレワーク(不言題)

兼題T 復活祭
兼題U 花守
兼題V テレワーク(不言題)

4月16日(木) 投句開始
4月23日(木) 投句締切 翌日選句開始
4月30日(木) 選句締切り  
5月01日(金) 披講    

投句: 楽千、しゐ、風子、英治、素人、素蘭、翔河川、丹仙、春愁、秋童子、実生、明子
選句: 春愁、楽千、しゐ、鈴居、英治、素人、風子、秋童子、素蘭、翔河川、実生、明子、丹仙

披講

・8点句

花守の人出なき世をかなしめり  英治
<春愁(地)>
今世紀最大の危機!!

<風子(天)>
今年の桜は殊に美しかった。春の嵐に叩かれることもなく、満開の時期が長いと感じた。しかし観る人はわずか。花守としては丹生込めて咲かせた
にもかかわらず、見せる事ができない。切ない思いが伝わる。

<秋童子(天)>
丹精込めて咲かせた花も、今年は・・・。


・6点句

食卓が仕事のデスク春の昼  明子
<春愁(天)>
自分のデスクでは狭くて

<素人(地)>
ありあわせの対応ですから。

<素蘭(人)>
?足の草鞋を履くhome makerには融通の利くデスク、それゆえ生ずる軋轢・葛藤etc.焦りは禁物です。

空に地に日は満ち満ちて復活祭  明子
<英治(天)>
復活のいきおいが。

<素蘭(天)>
北半球のspringですね。

筍のレシピが増えて家仕事  翔河川
<楽千(天)>
日々是好日なり。

<しゐ(人)>
非日常からの思わぬプレゼント。

<実生(地)>
感謝の句。


・5点句

教皇の瞳寂しげ復活祭  秋童子
<素人(天)>
コロナ禍を憂えておられるのです。己の無力さを。

<明子(地)>
寂しげと感じられた作者の感受性。

手にマウスときに耳掻き蝶の昼  春愁
<風子(地)>
テレワークの一景か。マウスと耳掻きを同列に並べ、長閑な日々を面白く
伝えているが、本当はこんな長閑さは無かったのではないか。あるいは腹を括った達観がそうさせているのか。

<秋童子(地)>
耳掻きなんて、自宅なればこそ。

<丹仙(人)>
テレワークの不言題と「蝶の昼」という季語との配合が良い。

「に志かわ」の食パン二斤復活祭  風子
<英治(地)>
銀座の高級食パンとは。

<丹仙(天)>
「に志かわ」というパン屋の名前が面白い。とくに「志」という文字が暗号解読を誘う。この句の読み手の一人として自由に解釈させて頂くと、もともと麺麭など縁のなかった日本人が冬の時代の気分を一新して、復活の希望をもって良きパン種で焼いたパンを手に入れようと行列している様が浮かぶ。。

路地の奥洩れ日ひとすじ復活祭   春愁
<楽千(人)>
一隅を照らす者あり。

<しゐ(天)>
イエスのまなざしが、大通りではなく、絶えず路地の片隅に注がれていたことを思い出しました。

<実生(人)>
復活した人の通り道。


・4点句

軽々と斜面を伝い桜守  翔河川
<風子(人)>
軽々と〜がこの桜守のありようを彷彿させる。
なぜが、脚絆姿の達者な花守が黙々と働いている様を勝手に想像する。

<実生(天)>
作者の楽しげな動作。


・3点句

宴なき年もいくたび桜守  秋童子
<鈴居(天)>
寂しい年です。歌には時代の変遷を感じます。

学生も教師も遠き五月かな  丹仙
<明子(天)>
本当に経験したことのない事態です。美しい五月なだけになおさら
悲しい。

花守の萼散る道を掃き清め  実生
<翔河川(天)>
萼を落とすのはとり?

花守の帽子のロゴはエヌとワイ  翔河川
<素人(人)>
NYはヤンキースでしょうか。粋な花守ですね。

<丹仙(地)>
NとYはたしかニューヨーク・ヤンキースのロゴ。日本の伝統文化の守り手でもある花守が、いつのまにかアメリカ文化の影響を受けていることを示している点が面白い。

花守や大樹の幹に風の錆  楽千
<しゐ(地)>
老木のあの木肌を、風の錆と見たことに驚きました。守られてきた計り知れない時間を、その幹と土を這う根に感じ、花のはかなさがより一層胸に迫ります。

<英治(人)>
風のさびが面白い。

コロナ禍やスマホにて聴く復活祭  丹仙
<秋童子(人)>
今年は教会にも行けず。

<素蘭(地)>
pandemic syndrome に鑑み…


・2点句

読み返す『死海のほとり』復活祭  しゐ
<楽千(地)>
この際愛読書を熟読してみるか。

ロボットのぐにゃぐにゃ体操の日永  風子
<翔河川(地)>
笑いも必要


・1点句

白妙のコロナ齝む大人の春  素蘭
<明子(人)>
色々含むところの多い句と思いました。

天狗巣の増ゆるを嘆き桜守  明子
<翔河川(人)>
老木が増えて

春寒し家族悲鳴のテレワーク  秋童子
<鈴居(人)>
大変ななかにも家族の暖かみが滲む歌

モニターに部長の笑顔水温む  楽千
<春愁(人)>
部長の笑顔にホッとしたのか、それとも? 面白い!!