第293回桃李六月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:入梅、十薬、解除(不言題)

兼題または当季雑詠

兼題T 入梅
兼題U 十薬
兼題V 解除(不言題)

6月15日(月) 投句開始
6月22日(月) 投句締切 翌日選句開始
6月29日(月) 選句締切り  
6月30日(火) 披講  

投句: 素蘭、楽千、万歩、素人、しゐ、春愁、風子、翔河川、英治、明子、実生、秋童子、丹仙
選句: 春愁、英治、実生、素蘭、しゐ、秋童子、万歩、鈴居、翔河川、風子、明子、丹仙

披講

・9点句

南吹く鴉稼業に変わりなし  楽千
<春愁(地)>
鴉稼業が面白い

<英治(地)>
リズムがよい。

<翔河川(天)>
良くも悪くも

<風子(地)>
<鴉稼業に変わりなし>自嘲めいていますが、 <南吹く>の季語が余裕を感じさせる。
カカカと語呂の良いカッコイイ句です。


・7点句

母に会ふ日のふるさとの青田風  明子
<素蘭(地)>
産土の風に吹かれて…

<秋童子(天)>
青田の風も迎えてくれて。ふるさとはいいですねえ。

<万歩(地)>
ふるさとの風や匂いを感じさせる癒し系の句とみました


・6点句

十薬や母へ抗らふこと難し  楽千
<しゐ(人)>
何かにつけて薬草に頼る母親に、ほんの一言、不調をこぼしたばかりに、あの飲みにくいどくだみ茶を与えられてしまったというシーンが、自分の体験と共に浮かんできます。

<翔河川(人)>
どうしても

<明子(天)>
十薬は地味だけど清楚。様々な薬效を秘めてまさにお母さん。
抗うことなどできません。

<丹仙(人)>
十薬の花の姿、娘の母に対する複雑な情念の対比が、印象的でした。


・5点句

入梅や雨垂れにあるピアニシモ  楽千
<春愁(天)>
梅雨空からぽつりぽつりと

<丹仙(地)>
ショパンの雨だれの曲が聞こえてきました。ピアニシモにかの悲運のピアニストの晩年の姿が浮かびます。


・4点句

十薬め庭の裏手をまた占領  秋童子
<実生(地)>
十薬がどくだみだって。とってもとっても、また出くわす。会社の若い人がどくだみが欲しいと言われて、たくさん採って乾燥して差し上げた。自分でもお茶にして飲んでみた。爽やかな、くせのないお茶だった。でも、十薬めには変わらない。かわいいよりもその繁殖力、妬ましい。

<しゐ(地)>
気を抜くとたちまちはびこるやっかいな十薬を、「十薬め」と言いつつも、少しばかりの親しみを感じないではいられない作者の優しさのようなものを感じます。

もういいかい烏柄杓の花のころ  風子
<英治(天)>
自粛解除の雰囲気が。

<明子(人)>
もういいかいと思いつつ、何だか不安な胸の内。烏柄杓の花が
そんな気持ちを代弁しています。

揺れ動く心の解除半夏生  秋童子
<実生(天)>
今我が庭は2本の半夏生が、日当たりの良い所に姿を現している。揺れ動かさているのは誰、
一枚の葉に上半分白、下半分緑 どうして心の解除が出来るの。「眞白な陶磁器に、かと
言って触れもせず」と井上陽水が「白い一日」で歌っているのも。

<万歩(人)>
半夏生をうまく使った句


・3点句

アラートが消えて気付くや夏の月  素人
<万歩(天)>
コロナ禍で身辺にばかり注意が集中しているなか、ふと頭上を見上げれば夏の月が輝いていた、という俳句的情感のただよう句です。

手洗ひに委ねる地球梅は実に  春愁
<しゐ(天)>
人生でこんなに手を洗ったのは初めてのことではなかったか。いつでも流水で手洗いできる日常が、実はとても恵まれた稀な環境であることなど、コロナをきっかけにさまざななことを改めて考えさせられる長いながい日々。気がつけば、あの小さな梅の花は今、青あおとした実に変わっている。

就中メディアの時代浮いてこい  素蘭
<風子(天)>
「就中」メディアの時代〜、俳句らしからぬところが魅力。
コメンテーター達はコロナを小突き回して実態に迫ろうとヤッキ
になっている。さあ、コロナよ、浮いてこい。

夏将棋マスクはずして大長考  丹仙
<素蘭(天)>
鬱鬱気分も吹き飛ぶような、一句。

入梅や人遠ざけてテレワーク  英治
<鈴居(天)>
今はこれができれば一番ですね。

直面で会釈をかはす梅雨入かな  素蘭
<丹仙(天)>
同じ事の繰り返しこそが藝道の一生の稽古。季節が推移し、梅雨入となった瞬間、会釈を交わす二人の顔と顔の直面が、切磋琢磨する芸術家の常に新たなる出逢いを現しています。

ワクチンは待たれ十薬咲き乱れ  風子
<素蘭(人)>
御意。

<明子(地)>
ほんとに十薬が効いてくれればどんなにいいだろう。こんなに
たくさん咲いているのに。


・2点句

十薬やコロナグッズのあれやこれ  素蘭
<鈴居(地)>
今どきの関心事

梅雨の入り軒先はずむピチカート  春愁
<秋童子(地)>
きっと心地よいリズムなのでしょう。

どくだみの刈られ干されてなお薫る  しゐ
<英治(人)>
面白い。

<秋童子(人)>
煎じて飲んでもまだ薫ります。

世の憂さもほろり解けて梅雨入かな  秋童子
<翔河川(地)>
どちらが先


・1点句

スカイツリー半分かすみ梅雨入雨  翔河川
<鈴居(人)>
スカイツリーと梅雨曇りはホントに合ってますよね。

登校の子の荷あれこれ梅雨に入る  明子
<春愁(人)>
雨傘、雨靴、ランドセルに加えて、コロナ禍グッズ・・・

入梅や色とりどりの傘の花  素人
<実生(人)>
やっとアジサイの剪定がうまくいった。今年は、アジサイが美しい。傘の花どこに行ったの、どこも行けないじゃん。傘の花、アジサイだよね。きっと。

揉みくちやはたぶん駄目です海開  万歩
<風子(人)>
海開きはしても三蜜はだめ。口語調でちょっと弱々しく、不安な気持をうまく表現している。