第299回桃李12月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:行年、炉、マスク

題詠または当季雑詠

兼題T 行年
兼題U 炉
兼題V マスク

12月15日(火) 投句開始
12月22日(火) 投句締切 翌日選句開始
12月30日 (水) 披講→1月5日(火)に延期します

投句: 水、白馬、楽千、寿美子、素人、しゐ、万歩、秋童子、英治、素蘭、実生、丹仙、明子、風子、春愁、翔河川
選句: 英治、寿美子、風子、楽千、実生、しゐ、秋童子、素蘭、明子、万歩、丹仙

披講

・9点句

慣はしをあまた崩して年のゆく  素人
<風子(地)>
あれもこれも中止。初詣にお汁粉も、甘酒もない。寂しい限りです。

<しゐ(地)>
不平不満はすでに通り越して、もはや悲しみばかり。

<秋童子(天)>
あり得ないことが当たり前となる。そんな1年でもありました。

<素蘭(地)>
災い転じてなんとやら、奇禍こそ奇貨なるべけれ。

道の辺に息するやうな捨てマスク  寿美子
<英治(天)>
コロナ禍ではの句。

<実生(人)>
息するような、捨てマスク手で拾うのも抵抗があるし、道路掃除で一番気になるもの、きっと息するようなだからかな。

<しゐ(人)>
いちいちドキドキしている自分に疲れたり、あきれたり。

<万歩(地)>
まるで生き物のように息づいているマスクの不気味さは人々の不安、恐怖を映し出している

<丹仙(地)>
これは「捨てマスク」が生きています。


・8点句

どの顔も火に酔ふてをり囲炉裏端  明子
<楽千(地)>
火に酔い話に酔いやがて夢に酔う。

<秋童子(地)>
囲炉裏の火に心も奪われ。

<素蘭(天)>
火が呼び覚ますモノ…祭の原点か?

<万歩(人)>
炉端の暑さにほてっている様子を「酔うて」と表現しているところがおもしろい


・6点句

生命線ながき手のひら炉にかざす  寿美子
<楽千(人)>
願望なり。

<実生(地)>
二人で、生命線どこだろう炉の光の中で、わー長いと言われながら、微笑ましいとっても。

<万歩(天)>
生命線を炉にかざして町名を願うおかしみがある。

炉火恋し可燃性なる詩心  春愁
<寿美子(天)>
自粛の一年、詩心も燃え尽きそうです
炉火を囲めば詩心、また燃え立つかも

<楽千(天)>
正に詩心は可燃性、言い得て妙なり。


・5点句

どう見ても奇妙一億総マスク  英治
<寿美子(地)>
まるで川柳のような佳句
年の瀬の今を鋭く読み込まれたと感銘

<風子(天)>
尋常でない時の奇妙な風景を、いつか思い出すことになるのだが、渦中にて少しずつ慣らされていく自分に気づく。


・4点句

行年や夢を継ぎ足しつぎたして  万歩
<英治(人)>
新たな夢を持てることの倖せ。

<実生(天)>
夢を継ぎ足し、とっても素晴らしいです。


・3点句

水篶刈る信濃の大人や炉を開く  素蘭
<丹仙(天)>
句の姿、リズムが良い。賀茂真淵をおもわせる大人と枕詞のとりあわせがいかにも茶の湯の形式美にふさわしい。

炉話や手の平八本翳されし  楽千
<しゐ(天)>
幼いころの冬の夜、まさにこんな情景の中にいました。かざされたその手は、農耕の日々と、ある時期の戦のせいで節くれて、傷ついていました。

炉を囲み一夜の縁を語り合ふ  素人
<明子(天)>
山小屋などで偶然一緒になった人達との素敵な時間でしょうか。
今こんなふれあいが無くなりそうで、残念です。


・2点句

囲炉裏端みんな静かに湯気昇る  白馬
<英治(地)>
語り合うことを禁じられた人々。

マスクして他人の顔になりすます  風子
<明子(地)>
マスクをした顔には違和感があります。
自分の顔が見慣れぬ誰かのようで・・・


・1点句

スーパーと銀座でマスク換える妻  秋童子
<素蘭(人)>
Me too.

集ふこと叶はぬままに年送る  明子
<秋童子(人)>
大事な会合だけでなく、楽しみな集まりまで次々中止に。

年去ぬるアプリ履歴の全消去  春愁
<風子(人)>
コンピューターの中も断捨離しましょう。エンジンが軽くなりますね。

母と子のマスクお揃ひいちご柄  明子
<丹仙(人)>
句の平明さが可愛らしい。

行く年の学食そばを締めとする  英治
<明子(人)>
研究に追われる先生でしょうか、学生でしょうか。
気がつけば今日は大晦日。せめてものお蕎麦です。

行年を篭りて我と妻と猫  実生
<寿美子(人)>
ほっこりします
早くコロナ禍終息の春が来ますように