第300回桃李一月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:去年今年、成人の日、鬼滅の刃(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 去年今年
兼題U 成人の日
兼題V 鬼滅の刃(不言題)

1月15日(金) 投句開始
1月22日(金) 投句締切 翌日選句開始
1月30日 (土)  披講

投句: 万歩、春愁、素蘭、風子、白馬、やんま、実生、しゐ、寿美子、鈴居、英治、翔河川、素人、秋童子、明子、丹仙
選句: 万歩、寿美子、英治、しゐ、鈴居、秋童子、素蘭、風子、実生、素人、春愁、翔河川、明子、丹仙

披講

・11点句

嗅覚も味覚もありて去年今年  しゐ
<英治(地)>
コロナ禍ならでは。

<風子(天)>
コロナに感染すると、嗅覚と味覚がなくなるとか。年を跨ぐとき、「ああまだ感染していない」ぞと安堵の気持ちが沸いたことでしょう。めでたい一句。

<実生(地)>
暮れに高熱だしたけど、パンデミックまずは疑われた。

<春愁(天)>
見えざるウィルスとの闘い、今年も!!

<明子(人)>
健康のありがたみをかみしめて・・・


・8点句

炊き出しに並ぶ母子あり去年今年  秋童子
<しゐ(天)>
炊き出しをする人、順番を待つ人、それを見つめる人、それぞれに悲しみと戸惑いと祈りを抱いている。

<翔河川(天)>
コロナ格差

<丹仙(地)>
大量の非正規雇用と失業者の増加、厳しい世情をいきねばならぬ母子家庭の姿を写生しています。


・7点句

手洗ひの習ひとなりぬ去年今年  万歩
<素蘭(人)>
これはCOVID-19のプラス面

<春愁(人)>
手洗いに恃む地球人。

<翔河川(地)>
年中洗ってる

<明子(天)>
すっかり日常の一コマになりました。


・5点句

戦なき世を成人の日の子等に  寿美子
<万歩(人)>
育ち行く成人を迎えた若人に幸あれと願う大人たちの思いを伝わります

<秋童子(人)>
これからも、こうありたいものです。

<丹仙(天)>
嘗ての徴兵検査の代わりに成人の日をさだめた戦後の人々の願いを思い出します。

鬼やらふ漫画映画に涙して  英治
<鈴居(地)>
何か違和感がありながら、でも共感している。

<実生(人)>
違う作品だけど、涙もろくなった。

<春愁(地)>
熱きアニメ映画に・・・

子の着るは市松模様喧嘩独楽  明子
<寿美子(地)>
マスクまで市松模様がブーム
喧嘩独楽する子も懐かしいですね

<素蘭(天)>
♪勝ってくるぞと勇ましく、、、、、、

成人の日その頃吾は故郷になく  白馬
<しゐ(地)>
10代から故郷を遠く離れて、馴染みの薄い土地で迎えた成人の日のあれこれを懐かしく、いとおしく思う姿を想像しました。

<実生(天)>
仙台に居て晴れ着は祖母が仕立ててくれた学生服。下宿の窓から晴れ着のマドンナを。曇り空の日。

成人を祝う子も無し集落に  実生
<しゐ(人)>
さまざまな味わい深い行事も消えるばかり。

<素人(地)>
そんなこともありなのでしょうね。

<明子(地)>
私の住む辺りもこんな状態です。


・4点句

推敲を重ぬる句あり去年今年  明子
<英治(人)>
いつも勉強。

<秋童子(天)>
納得の一句が出来上がることでしょう。


・3点句

インバネスの少年ピアスを揺らす  風子
<鈴居(天)>
着物にピアスが普通に見えるのも今の時代だからこそ。

去年今年明けない夜のある如し  風子
<万歩(天)>
この混迷の月日はいつ終わるのだろうか、というため息が漏れ聞こえるようです

純愛の兄と妹や春の浜  やんま
<素人(天)>
観てないのですがそんな物語なのですか。

ちはやぶる紙と鉛筆去年今年  素蘭
<寿美子(天)>
神と紙をかけ言葉にして軽妙
今年も紙と鉛筆手放さず行きましょう

姑在れば百寿の冬となりしもの  しゐ
<寿美子(人)>
私の母も百寿を過ぎました
しみじみ感銘しました

<秋童子(地)>
きっと天上ではささやかな宴が催されていることでしょう。
こちら桃李定例句会も今回がちょうど300回。長い間支えていただいた主宰の丹仙様には、心から敬意を表し感謝申し上げます。

触れるもの鋭く寒きものばかり  万歩
<英治(天)>
歯切れがよい。


・2点句

悲しみを掬うが如く冬の星  秋童子
<万歩(地)>
夜空に黙する星々の澄んだ輝きが、地上の混迷を掬い取ってくれるようだ、という思いを詠った佳句

そこここにウイルスのなほ去年今年  英治
<素蘭(地)>
共生社会のなほ遠く…

でくまわし何が心をつかむのか  素人
<風子(地)>
同感です。どうしてそんなに人気があるのか分かりません。季語の「でくまわし」を見つけられて、成句となった。
見方を変えて、下手な操り人形劇を見ながら「何これ」と思ったとしてもいい。


・1点句

叡智愛Jターンせよ成人の日  素蘭
<丹仙(人)>
「叡智愛」が少々わかりにくいと思いましたが、在宅勤務で働く事のできなくなったコロナ禍以後の時代を生き抜く知恵と解釈すると、Jターンという新しい言葉が生きてきます。

コロナ過の成人の日や臍を噛む  素人
<風子(人)>
悔しい思いが伝わってきます。今年二十歳になった子達は気の毒ですね。

集ふこと叶はぬ儘や去年今年  春愁
<素人(人)>
来年も続くのでしょうか。

ショール白肩に余れる二十歳の歩   春愁
<翔河川(人)>
定番の白ショール