第301回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:立春、試験、ワクチン(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 立春
兼題U 試験
兼題V ワクチン(不言題) 

2月15日(月) 投句開始
2月22日(月) 投句締切 翌日選句開始
3月02日 (火)  披講

投句: 万歩、白馬、春愁、素蘭、しゐ、楽千、水、鈴居、寿美子、秋童子、英治、翔河川、明子、実生、風子、丹仙
選句: 鈴居、春愁、風子、寿美子、実生、英治、しゐ、秋童子、翔河川、明子、素蘭、水、丹仙

披講

・9点句

春立つや母の名のある花鋏  明子
<鈴居(天)>
今年は特にコロナ禍で響いてしまいます。

<英治(人)>
技巧的。

<しゐ(天)>
亡き人の名の残る物の、何といとおしいこと。

<翔河川(人)>
春の花を切りながら

<丹仙(人)>
名が記された遺品を通じて、母が新春に再び立ち現れた感がありました。


・8点句

さり気なく父母さりげなく大試験  春愁
<風子(天)>
本当は両親も当事者も決して「さりげなく」ではない。逆説で表現すると押さえた気持ちが
より伝わる。

<明子(天)>
親にできることは、これだけ。でもこれが難しい。

<丹仙(地)>
「さりげなく」の反復が面白い。事に当たって無心であることがまことの心遣いか。


・7点句

梅一輪試験日の子の振り向かず  しゐ
<寿美子(人)>
送り出す親の気持ちに共感します

<水(天)>
送り出す親の声援が重苦しい。 でも感謝。がんばれ。

<丹仙(天)>
試験を受ける子、それを見送る親の心の内面には一切触れず、外に現れた情景のみを描くことが、逆に親子の一人一人の言葉にならぬ思いを伝え、句に奥行きを与えています。

氷河剥離して沈黙の春たちにけり  丹仙
<しゐ(地)>
レイチェル・カーソンの警告が今、地球のあちこちに現実となってあらわれている。不気味に押し黙る春がそこにある。

<秋童子(天)>
温暖化が進み、化学物質にもまみれてしまった地球。そんな厳しい私たちの世界にも、また春が。

<素蘭(地)>
  蝶墜ちて大音響の結氷期  (富澤赤黄男)
  濁流だ濁流だと叫び流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ(齋藤史)
氷河剥離してシュルレアリスムなる沈黙の春 たちにけるかも…


・6点句

立春の曲尺で掻く背中かな  英治
<風子(地)>
立春の曲尺、真っ直ぐではない。春はそう簡単には来ないのだ。

<翔河川(地)>
鯨尺かな

<水(地)>
電子辞書で曲尺をしらべてみた。


・5点句

試験管立てて倒して卒業す  白馬
<英治(地)>
なつかしい。

<素蘭(天)>
Congratulations!

立春の風が舵とるハイウエイ  風子
<春愁(天)>
春風を受けて疾走、爽やか

<秋童子(地)>
軽やかな春です。


・4点句

春立ちぬにわか床屋を縁側に  しゐ
<春愁(人)>
春、穏やかな日を浴びて、さっぱりと

<翔河川(天)>
暖かな日に

森少し大きくなりて春来たる  翔河川
<英治(天)>
そんな感じが。

<しゐ(人)>
柔らかく膨らんで。

立春や書いてまた消す予定表  秋童子
<風子(人)>
春は立っても予定は立たない。コロナ禍の立春。

<寿美子(天)>
待ちかねた春 遅々として自粛ごもりの日々
私のメモ帳 然りです


・3点句

啓蟄や出るに出られぬ籠の爺  水
<実生(天)>
かわいい。全く、同じ生活に。

新刊のインクの匂ひ春立ちぬ  春愁
<秋童子(人)>
確かに。実感としてよくわかります。

<明子(地)>
心が浮き立つ、気持ちの良い句ですね。

禍霊(まがつひ)に抗ふための種を撒く  万歩
<実生(地)>
発芽後が楽しみ。

<明子(人)>
種が根付いて、コロナが落ち着きますように・・・


・2点句

恐ろしや我が認知度の大試験  秋童子
<鈴居(地)>
恐ろしや

順番を待つは逃水追ふごとく  明子
<春愁(地)>
ワクチン輸入の日本の順番? 接種の順番か?

見えぬ敵はがゆい味方冴返る  風子
<寿美子(地)>
冴返る がズバリ効いていますね


・1点句

堤行くひとカラフルに春立てり  翔河川
<鈴居(人)>
少し心が和らぎます。

七回目の試験に挑む梅の花  風子
<実生(人)>
7回目、この歳でもまだ試験の夢見るけど、梅の花かぁ。私たちの頃は桜咲くとか散るとか、いやな電報を思いだしてしまった。

焼印を捺さるる列につく余寒  英治
<素蘭(人)>
「コロナに有効」仮説で焼き印ならぬハンコ注射(BCGワクチン)にオトナの接種希望者が殺到、、、去年の春の椿事です。

ワクチンを受けるも辞めるも命がけ  白馬
<水(人)>
初期の接種は治験の役割もあるような気がすから。