第302回桃李三月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:啓蟄、踏青、受胎告知(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 啓蟄
兼題U 踏青
兼題V 受胎告知(不言題)
 
3月16日(火) 投句開始
3月23日(火) 投句締切 翌日選句開始
3月31日 (水)  選句締切・披講

投句: 白馬、素人、水、寿美子、万歩、素蘭、やんま、風子、実生、しゐ、春愁、英治、秋童子、翔河川、明子、丹仙
選句: 風子、万歩、春愁、寿美子、実生、素蘭、鈴居、秋童子、しゐ、英治、素人、明子、翔河川、丹仙

披講

・15点句

ひと粒の雫やどせり豆の花  寿美子
<万歩(地)>
受胎告知を思わせるようなフレーズです。

<春愁(天)>
晩春のひっそりしした景、親しみある句。

<素蘭(天)>
生命の象徴とされるそら豆の、幼年時代。。。

<英治(天)>
まさに受胎告知か。

<明子(人)>
豆の花の描写からの発想です

<丹仙(天)>
受胎告知の題詠として思い切り飛躍しました。豆の花の宿す滴を配合したところ、日本的な霊性の表現として面白く思いました。


・12点句

兄となる児の揚々と青き踏む  しゐ
<風子(天)>
幼い子に弟ができる。「お兄ちゃんになるね〜」と口々に言われてその気になった。揚々と青き踏むお兄ちゃんに成る子の健気さがたまらない。

<春愁(地)>
生まれた下の子に、兄となった自覚。胸張って・・・

<秋童子(天)>
急にお兄ちゃんらしくなって。

<素人(地)>
早くも兄貴の自覚ですか。良いことです。

<翔河川(地)>
しっかりと軽やかに


・9点句

青き踏む抱えし憂ひ消ゆるまで  明子
<実生(天)>
最初に飛び込んで来た句。抱えし憂、沢山持っているし。

<しゐ(天)>
人には告げぬ憂いを静かに抱いて。

<翔河川(天)>
自分と折り合いがつくまでか


・8点句

囀や天使の言葉告ぐるがに  明子
<風子(地)>
囀りは天使の声だと思ったことがある。身籠った時は、外国だったし、身内はいないし、喜びよりも不安が大きかった。

<実生(人)>
今、囀りが、天使の言葉を告ぐ、そうか、そうだったんだ。

<英治(地)>
家族のしあわせ。

<素人(天)>
そんな風にも思えます。


・5点句

神さまは天に椿は地に徴す  万歩
<寿美子(天)>
難しい兼題でした
スケールの大きな詩情に感銘

<丹仙(地)>
17文字に天と地を配合したスケールの大きな句。目には見えぬ高きにいます神と、地にあって開花する椿の目に見える姿こそ受胎告知の出来事の持つ象徴的な意味にほかなりません。


・4点句

啓蟄のひと日は部屋の模様替え  風子
<万歩(人)>
啓蟄に照応するフレーズです

<寿美子(地)>
私も同感、にわかに手足がうごきはじめました

<素人(人)>
そんな気になるのもよく分かります。

啓蟄や細き眼少しづつ開く  白馬
<春愁(人)>
空が眩しい、だんだん春らしく・・・

<明子(天)>
季節が動き出している様子を眼が開くと表現している。

みはるかす大和まほろば青き踏む  やんま
<寿美子(人)>
旅心誘われます

<素蘭(地)>
明日香村、大和三山、山の辺の道…いまだ色褪せぬ学生時代の踏青。

<丹仙(人)>
踏青とはもともと中国の行事でしたが、大和と結びつけることによって、それが日本人の心の表現となりました。青き踏むという大和言葉の原点に立ち返った句です。


・3点句

雨の中スキップする娘や青き踏む  翔河川
<鈴居(天)>
スキップって難しい🎵

連れ合いは神の母なり春の雷  丹仙
<秋童子(地)>
えっ、うちのカミさんが?!

<英治(人)>
こんな可愛い子を産んでくれるなんて。

天上の玻璃踏むここち青き踏む  素蘭
<万歩(天)>
青き踏むにふさわしい、すがすがしい感じが出ています


・2点句

風かたき信玄棒道地虫出づ  寿美子
<明子(地)>
この時期の山国の気配が良く伝わります

啓蟄のトカゲが逃げる犬走り  実生
<鈴居(地)>
暖かみが伝わります。

戸籍簿に「焼失」の印空襲忌  しゐ
<素蘭(人)>
戦災とは人災に他ならず、、、

<秋童子(人)>
区役所も保管書類もすべて焼けてしまって。

はや啓蟄佳きことの種も尽き果てて  しゐ
<実生(地)>
佳きことの種、沢山蒔いて。

不都合な女で良かつた地虫出づ  素蘭
<しゐ(地)>
本当に!!


・1点句

啓蟄や土手の穴ぼこ日々増ゆる  やんま
<翔河川(人)>
穴ぼこからなにがでる?

地虫出づ耳をダンボに駅ピアノ  春愁
<風子(人)>
駅ピアノを聞き漏らさずにと耳をダンボにした。「地虫出づ」、虫たちは地上へ春の息吹を
春の賛歌を聞きたくてどんどん出てくる感じが駅ピアノと響き合う。

聖母子像落花の頻り音もなく  春愁
<鈴居(人)>
卒業シーズンとなりました。振り替えればいつかいい思いでと成るでしょう。

踏青や大河の波は空を打つ  白馬
<しゐ(人)>
河口の景色でしょうか。空を打つ波が想像を広げます。