第305回桃李6月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:蛍、梅雨、時の日

題詠または当季雑詠

兼題T 蛍
兼題U 梅雨
兼題V 時の日

6月16日(火) 投句開始
6月23日(火) 投句締切 翌日選句開始
7月01日 (水)  選句締切・披講

投句: 春愁、鈴居、白馬、やんま、万歩、実生、寿美子、翔河川、素蘭、しゐ、秋童子、英治、明子、素人、風子、丹仙
選句: 英治、鈴居、万歩、春愁、しゐ、実生、素蘭、秋童子、翔河川、寿美子、やんま、風子、素人、明子、丹仙

披講

・11点句

洗ひ場の跡ある流れ蛍飛ぶ  明子
<英治(人)>
趣がある。

<万歩(人)>
蛍とぶ姿をみて、ありし日、そこでは人の交流があったと、懐旧の念に囚われている

<素蘭(天)>
写実的ながら実に幻想的。

<寿美子(天)>
戦前 城下の対岸に紡績工場の寮の洗い場がありました
絶え間ない水音草むらに飛ぶ蛍、母に聞いた女工哀史迄
思い出されます

<風子(天)>
昔は小川に洗い場があり、野菜、茶碗、おむつも洗っていた。その跡が残る川辺に蛍が飛んでいる。昔も今も蛍は飛んでいる。その川の自然が保たれている事が喜ばしい。


・10点句

九十九橋渡れば異界蛍飛ぶ  素蘭
<英治(地)>
異界への橋らしい。

<万歩(地)>
橋はこの世とあの世を分ける結界である。その橋の向こうに飛ぶ蛍は異界の幻である

<風子(人)>
九十九髪で良いのではないか。橋は<渡れば>があるから省略できると思う。
気になる一句として頂いた。

<明子(地)>
蛍は一気に異界へ連れていってくれます。

<丹仙(天)>
九十九橋という名前と蛍の配合が、戦国乱世の時代に遡る異界伝説を思い出させますね。

蛍の夜シャボンの匂ふ男の子  寿美子
<春愁(天)>
風呂上がりの蛍狩り。天花粉と石けんの匂い

<しゐ(地)>
早めにお風呂を済ませて、おばあちゃんに着せてもらった浴衣を夕闇に踊らせながら蛍を追う、愛らしい姿が目に浮かびます。

<秋童子(地)>
昭和の匂いと情景を思い出します。

<明子(天)>
初々しさの溢れる句。今でいう胸キュンなシチュエーションですね。


・6点句

青梅雨の匂へる島の泉かな  丹仙
<万歩(天)>
いかにもみずみずしい、別天地の景が見えてきます

<やんま(天)>
島の泉にふくいくと薫る風。

時の日や電子レンジに呼ばれをり  寿美子
<鈴居(地)>
侘しい電子音が今どき風景であり、時の記念日にも重なり。ピンポン。🎵

<春愁(地)>
現代社会の生活を上手く切り取っている

<翔河川(地)>
機会に使われて


・5点句

時の日や叩けば動きだす時計  春愁
<英治(天)>
面白い。

<寿美子(地)>
コロナ禍のせいで動かない毎日
私も誰かに叩いてほしい、動き出す時計は立派!


・4点句

八十歳の傘の重さや梅雨に入る  やんま
<しゐ(天)>
傘というものの重さ、、、、、、これまで気づかなかった重さを実感する思いでした。

<翔河川(人)>
ビニール傘にするか


・3点句

あしばやに過ぎゆく日々や水すまし  風子
<実生(天)>
水すまし、時を告げるのか。

かみ合わぬ会話の行方梅雨籠り  しゐ
<素蘭(人)>
夏百日とはいうものの、、、

<寿美子(人)>
ため息の聞えてきそうな一句です

<やんま(人)>
同し部屋に同居する時間の長さよ。

誰がために開く五輪や梅雨寒し  秋童子
<素人(天)>
説明しないまま押し切ろうとする狡さ。

梅雨の蝶日向に翅を拡げけり  明子
<翔河川(天)>
やれやれ天日干し

ファミレスの日替わりランチつゆの晴れ  翔河川
<鈴居(天)>
ほっと一息する一時

父母の手を握り連れ出す蛍の夜  素人
<秋童子(天)>
足元が不安な老父母を誘って。いい孝行ができたことでしょう。


・2点句

彷徨へる龍馬のをんな梅雨の蝶    春愁
<風子(地)>
梅雨の蝶が飛んでいる。まるでお竜さんのようだ。

時の日は時を惜しみて過ごしけり  万歩
<素人(地)>
不可逆な時の流れに想い馳せる。

時の日やガキ大将の訃報聴く  しゐ
<やんま(地)>
ガキ大将も時の流れにはかなわない。

時の日や遅刻ばかりの少年期  素人
<素蘭(地)>
サンズイをシンニョウ、シカバネの雨は羊となって、迷える少年。たぶん、今も、どこかに…

時の日や天使正時に鳴らす鐘  明子
<丹仙(地)>
「天使正時」が何とも言い得て妙。天智天皇の御代であれ大正天皇の御代であれ、精密に時を刻む「時計」は外来の機械で、日本土着の時間感覚はアバウトなものだったかもしれませんね。

初ほうたる清少納言筆を止む  春愁
<実生(地)>
見ていたような。


・1点句

さがしもの見つからぬまま梅雨に入る  翔河川
<春愁(人)>
最近の"あるある" です。上手い

時の日の鐘ごんと鳴る寛永寺  やんま
<明子(人)>
いつもの鐘の音が、時の日と気づくと胸に響きます。

時の日や孫歌う歌古時計  実生
<しゐ(人)>
無邪気に歌う孫なのだが、「今はもう動かない♪」と歌われると、何とも複雑な気持ちに。

残されていよよ一人の蛍狩り  英治
<秋童子(人)>
これもまた人生ですね。

ほうたるを呼んでみたしと思ふ夜  万歩
<鈴居(人)>
ほうほうほうたる来い。

蛍飛ぶ金のぬいとり宵闇に  しゐ
<丹仙(人)>
「金のぬいとり」が鮮やかに情景を際立たせています。

世の囃すパンダ誕生梅雨晴間  英治
<素人(人)>
明るい話題です。 小さいですねえ。

カピバラに前歯が二本あけの梅雨  風子
<実生(人)>
かわいい。