第312回桃李正月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:寒、初、歌

題詠または当季雑詠

兼題T 寒
兼題U 初
兼題V 歌

1月15日(土)投句開始
1月22日(土)投句締切 翌日選句開始
1月29日(金)選句締切 翌日披講

投句: 万歩、鈴居、素蘭、やんま、春愁、しゐ、実生、秋童子、白馬、明子、翔河川、寿美子、丹仙、風子
選句: 風子、寿美子、鈴居、実生、やんま、白馬、しゐ、秋童子、素蘭、明子、翔河川、春愁、丹仙

披講

・11点句

病む友に哀しき嘘や初閻魔  やんま
<風子(人)>
お互い分かっていても相手の気持ちを思い遣って嘘をつく。嘘を承知で聞き入れる。

<白馬(地)>
「大丈夫。直ぐ良くなるよ。」と優しい言葉。

<秋童子(地)>
閻魔さまもきっと許してくれることでしょう。

<明子(天)>
たとえ舌を抜かれるとしても、噓をつき続けねば・・・

<翔河川(天)>
悟られないよう


・8点句

サイボーグめく節々や寒の入  万歩
<寿美子(天)>
全く同感
サイボーグとは恐れ入りました

<翔河川(地)>
油が足りなくなって

<春愁(天)>
自分の身体でないような


・7点句

一管の笛愛しめり寒昴  素蘭
<風子(天)>
一菅の笛と寒昴は最上の取り合わせ。

<明子(人)>
笛の音の冴えた響きが、菅昴と響きあいます。

<丹仙(天)>
「愛」を「かなし」と読むところ、「寒昴」とよく響き合います。
たまたま、数日前に「いのち愛(かな)しく」と題された(使徒ヨハネ)渡辺清二郎遺稿集をよんでいましたので、この句にとくに惹かれました。


・6点句

憂き世にも調べのどけし歌始  秋童子
<風子(地)>
今年も歌会始が慣行された。人数制限があったものの、伸びやかに歌い上げる歌会は新年を迎える気持ちが高まる。

<寿美子(人)>
年始の歌会始の一部始終をおもいだします
さらりと読まれて納得の一句です

<白馬(天)>
中7・下5でほっとさせられました。


・5点句

寒行の声山門を下り来たる  明子
<鈴居(人)>
寒さが身に凍みます。

<やんま(天)>
気合い込めたる声の鋭し。

<春愁(人)>
山門を声、響き渡る

今日といふ命賜わり寒の水  やんま
<実生(地)>
毎朝感じるようになりました。

<秋童子(天)>
季語との照応に感心しました。


・4点句

讃美歌に憧れしころ春の雪  風子
<実生(人)>
姉がよく歌っていて。

<明子(地)>
十代の後半ごろでしょうか。春の雪という季語が効いていると思います。

<丹仙(人)>
復活祭が丁度「春の雪」の時節となります。若き頃の作者のキリスト教との出逢いが偲ばれます。

願い事また一つ増え初詣  秋童子
<実生(天)>
願い事毎年一つ増える羨ましいです。私は、3つ。

<やんま(人)>
人の業深し、生きていればこそ。


・3点句

茜空切り裂く影絵寒木立  秋童子
<素蘭(天)>
きっぱりと冬
黄昏

朝寒にざくざく音と茜空  実生
<鈴居(天)>
朝寒、ザクザクは合う。もう少しアレンジもありそう。

逆のぼるトンガの波や寒の川  しゐ
<白馬(人)>
影響の範囲が凄かったですね。
トンガの早期復興をーーー。

<丹仙(地)>
異常気象、疫病、政情不安など末世の如き現在の状況を映し出す俳句として選びました。

水底の日差しのゆらぎ寒明くる  寿美子
<しゐ(天)>
ああ、大好きな冬がもう終わってしまう!


・2点句

寒に入りとがって甘し金平糖  翔河川
<しゐ(地)>
甘いとんがりに慰められている時間。

防人の妻恋ふ歌や磯菜摘  寿美子
<春愁(地)>
万葉集の世界

ジャケットにカッパ重ねて寒衣  鈴居
<素蘭(地)>
フードかぶれば暖かいしとりあえず傘いらないし…この重ね着ルック重宝してます。

初弥撒やヨセフとなりて赤子抱く  丹仙
<寿美子(地)>
仏教徒の私でも 作者の
あくまでも深い信仰心に感銘します

初雪や大東京は不甲斐なく  しゐ
<鈴居(地)>
大都会ならではの光景

古くなり新しくなり初日の出  翔河川
<やんま(地)>
幾度拝み歳を重ねたか。


・1点句

寒鯉の泳ぎ忘れて池の底  翔河川
<しゐ(人)>
もうしばらく、何もかも忘れてそこでじっとしておいで。

野の狐穴より出でよ寒施行  丹仙
<素蘭(人)>
俚諺に曰く「狐七化け狸は八化け」 舌を出している人、ヤバくない?

見舞うこと増えて分厚く初便  しゐ
<秋童子(人)>
ついつい長文に。

ライバルは内なる己れ初鏡   春愁
<翔河川(人)>
新年には