第314回桃李3月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:春泥、初蝶、ウクライナ(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 春泥
兼題U 初蝶
兼題V ウクライナ(不言題)

3月16日(水)投句開始
3月23日(水)投句締切 翌日選句開始
3月30日(水)選句締切
3月31日(木)披講

投句: やんま、風子、素蘭、寿美子、白馬、万歩、実生、春愁、しゐ、丹仙、秋童子、素人、翔河川、鈴居
選句: 寿美子、風子、素蘭、しゐ、実生、秋童子、白馬、万歩、素人、翔河川、丹仙

披講

・8点句

韻を踏む歴史の轍春の泥  春愁
<素蘭(天)>
  山路を登りながら、こう考えた。
  智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく    に人の世は住みにくい。
今更ながら『草枕』(夏目漱石)の冒頭を、、、

<しゐ(地)>
かなしい轍。

<翔河川(天)>
マークトウェインも嘆いている

その先は戦の坩堝鳥帰る  寿美子
<秋童子(天)>
もはや全土が戦場と化しているのに、それでもお前は戻って行くと言うのか・・・。

<白馬(天)>
ウクライナの上空を飛びませんように。

<万歩(地)>
静(鳥帰る)と戦さ(動)の対比が効いています


・5点句

春泥をよけ行く靴はおろしたて  翔河川
<実生(地)>
どこ行くの。

<素人(天)>
さもありなん。 人情ですよね。

初蝶来  か行変格こ・き・くれ・こよ   春愁
<寿美子(地)>
初蝶と文語文法の取り合わせ、作者の発想に脱帽します
一瞬 古文の先生の思い出が甦りました

<丹仙(天)>
初蝶来の「来」はカ行変格活用の「ことば」が擬態語のように、初蝶の飛ぶ様を表現しているのが面白い。

初蝶の河の光に溶けにけり  寿美子
<素蘭(地)>
堤防から河川敷まで埋め尽くす菜の花も初蝶も渾然と…

<万歩(天)>
明るい春の景が見えて来ます

春の闇世界もわれも無力なる  しゐ
<風子(天)>
ぬくぬくとテレビを見ながらお茶飲みながら、ウクライナのニュースを、少し気のひける思いで見ている。世界の良心が束になっても、未だ何もできぬ有様で、全く無力さを感じてしまう。

<秋童子(地)>
惨状を目にしながら、何もできない無力感。

被災者を小さく励まし初の蝶  秋童子
<実生(天)>
もしも被災したら身も心も励まされるだろう。

<白馬(地)>
初蝶を見て心ほっこりして下さいね。


・4点句

再会の涙を拭う布も無く  鈴居
<しゐ(天)>
何もかも奪われて。

<実生(人)>
やめて戦争。


・3点句

初蝶やりぼんでくくるミルフィール  風子
<寿美子(天)>
ホワイトデーのプレゼントかしら❣
早春の喜びは素敵なお菓子から


・2点句

凍て緩むはるかな空に唸る凧  万歩
<丹仙(地)>
「凍て緩む」と、遙か彼方にあって音の聞こえない「凧」の唸りの配合が季節の移りゆきのダイナミズムをうまく表現しています。

胸奥に一陣の風初蝶来  素蘭
<翔河川(地)>
風のように

春泥よ児らのなきがら抱きとめよ  しゐ
<風子(地)>
雪解道を延々歩く難民達。ノンフィクションの「流れる星は生きている」、満州からの引き上げの情景を思い浮かべます。息の切れた幼子を置き去りにしなければならない親の心情を思うと涙が止まりません。

初蝶来白く上下に戯れて  白馬
<素人(地)>
紋白蝶ですね。この時期よく見かけます。


・1点句

凍て返る浅き夢見て独裁者  春愁
<寿美子(人)>
ウクライナの子供たちのニュースに心が痛みます
浅き夢ならば早く断ち切りたいのですが

薄氷を割るが男の子のならひとぞ  素蘭
<万歩(人)>
あるある、光景です

春泥にゆく手阻まるロシア兵  素人
<丹仙(人)>
膠着状態になったウクライナの戦況を「春泥」がよく表しています。

春泥や老いの歩幅の短かけれ  やんま
<翔河川(人)>
なんぎなこと

春泥をつけて戻りぬ杖の母  寿美子
<白馬(人)>
転ばずに散歩からお帰り。ひと安心。

春泥を飛び越すきみの腕高く  翔河川
<素蘭(人)>
チャレンジ精神に〇

泣き歩む稚児後にする祖国なり  鈴居
<秋童子(人)>
あの男の子はその後どうなったのか。気になって仕方がありません。

初蝶よ初心者マークを付けてやろ  翔河川
<風子(人)>
初蝶の初々しさ、初心者マークは蝶々でしたか? 

春一番トヨタもマックも退散す  風子
<素人(人)>
現状を知らされていないロシアの民のためにも。

指点字触れて伝へり初蝶来  丹仙
<しゐ(人)>
特別な方法で伝えられていく蝶の姿が印象的でした。