第317回桃李6月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:十薬、蝸牛、時の日

題詠または当季雑詠

兼題T 十薬
兼題U 蝸牛
兼題V 時の日

6月15日(水)投句開始
6月22日(水)投句締切 翌日選句開始
6月29日(水)選句締切
6月30日(木)披講

投句: 寿美子、素蘭、実生、しゐ、白馬、翔河川、鈴居、風子、明子、春愁、丹仙
選句: 風子、英治、寿美子、しゐ、鈴居、素蘭、明子、翔河川、丹仙

披講

・10点句

かたつむり殻に銀河の渦誌す  丹仙
<風子(地)>
小さな蝸牛から大きな宇宙への飛躍は素晴らしい。

<寿美子(天)>
近年ついぞ蝸牛を見ません。
ならばいっそのこと気宇壮大に銀河まで心を広げましょう

<明子(天)>
目前の蝸牛から宇宙の銀河までワープ‼

<翔河川(地)>
小さな殻に宇宙が


・9点句

十薬の風の通へる外厠  寿美子
<風子(天)>
「の」と「や」の違いを考えてみた。掲句の場合、現実に、今、外厠と十薬を見ている。あるいは作者自身が厠の中に居て十薬の匂いを感じている、一物仕立ての句。

「や」の切れ字を入れると十薬は目の当たりにあり、「風の通える外厠」は取り合わせの言葉選びかもしれぬ。この場合、二重構造となり句に深みが増す。二句一章の句。

<英治(人)>
ついこの間まで。

<明子(地)>
懐かしい景色ですね。

<翔河川(人)>
トイレに起きるとドクダミの香り

<丹仙(地)>
十薬の咲いている場所その風情を実に的確に捉えています。


・7点句

時の日や終末時計また進み  明子
<寿美子(人)>
今回は人間の愚かさ浅ましさ痛切に感じています
地球の終末が神様には見えているのでしょうか?

<鈴居(天)>
漏刻はゆっくり流れて時を刻む

<丹仙(天)>
ウクライナの戦乱はNATOとロシアとの対立によって、世界は核兵器を使用する第三次世界大戦に突入する危険性を増大させました。俳句はたんなる花鳥諷詠だけでなく、そのような切迫した世界の終末をさりげなく予示することもできます。さらにいえば、そのような終末論に直面しても、平常心を持って植樹することを薦めたキリスト者にも通底する奥行きの深いジャンルでもあります。


・6点句

漏刻の頃より流る畦の水  鈴居
<しゐ(天)>
そこでは時も、水も、ただゆったりと流れているように思える。

<素蘭(天)>
麦の収穫を終えた田に何日もかけて水を張り、田植えを待つ。
そして今、近江はまさに早苗月。


・5点句

どくだみ咲く闇に無数の十字持て  しゐ
<素蘭(地)>
梅雨闇を仄かに照らす白い十字花
学生期の心象風景ともいえそうな

<翔河川(天)>
白い十字ですね


・4点句

時の日や銀座は闊歩するところ  素蘭
<風子(人)>
時の日と銀座、どんな関係性があるのか。強いて言えば時間を楽しむ場所か。付かず離れずの関係が快い。

<英治(天)>
勢いがあって面白い。

軒下に十薬干して住みつげり  明子
<英治(地)>
もはや見られぬ景。

<寿美子(地)>
下五住みつげりに心ひかれます


・2点句

軒先に十薬吊す未亡人  風子
<鈴居(地)>
薬にするのでしょうか。オマジナイのようで雰囲気がある。

花十薬重き荷背負ひジャンバルジャン  春愁
<しゐ(地)>
どくだみとジャンバルジャン!
その取り合わせに驚いた後に、不思議な共感が。


・1点句

帰り来ば木戸十薬にふさがれて  翔河川
<しゐ(人)>
このたびの家主の留守は、少しばかり長引いたのでしょうか。待ちくたびれたどくだみが精一杯のお出迎え。

かたつむり家付娘の母は老ゆ  しゐ
<丹仙(人)>
家付娘の母とカタツムリとの配合がなんともユーモラスです。

少女駆け来るででむしを手に這はせ  明子
<素蘭(人)>
はち切れんばかりの笑顔で…

葉をつたい天めざし行く蝸牛  翔河川
<鈴居(人)>
ゆっくり、しっかり。