第328回桃李5月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:五月、母の日、子供の日

題詠または当季雑詠

兼題T 五月
兼題U 母の日
兼題V 子供の日

5月15日(月)投句開始
5月22日(月)投句締切 翌日選句開始
5月29日(月)選句締切 
5月30日(火)披講   

投句: 鈴居、素蘭、寿美子、白馬、しゐ、風子、実生、素人、翔河川、明子、春愁、秋童子、丹仙
選句: 寿美子、素人、鈴居、しゐ、実生、秋童子、風子、素蘭、翔河川、明子、丹仙

披講

・11点句

母の日や子の無き娘訪なへり  寿美子
<素人(天)>
母と呼ばれぬことの寂しさ

<しゐ(天)>
娘としての自身にこの覚えがあり「母よ、許せよ!」と、その頃に戻って言いたくなります。

<風子(地)>
母の日は 子のない娘を訪ねる母親の心情。

<翔河川(地)>
母にならなかった

<丹仙(人)>
様々な物語を背後に感じる句です。解釈が難しい。
たとえば、初孫の顔を見たくなった母のところに、娘が「母の日」を祝いにやってくる。母としてはうれしいことでも、娘にはやく母になってほしいという気持ちもあるーこの場合はほほえましい句となります。
しかし、「子の無き」といういい方から、「子供を産むことができない」という悲観的な意味を感じるならば、全然別な感慨が生まれます。そのばあいは、悲しみの句とも、慈しみの句とも、あるいは諦観の句ともよめましょう。


・9点句

あの声よあの足音よ子供の日  秋童子
<鈴居(地)>
足音で景色が一変しそうな雰囲気が。騒がしくも、楽しい1日になりそうですね。

<実生(天)>
現場にいた時初節句。お袋が祝いに来てくれた。

<風子(天)>
子供は巣立ってしまったが、あの頃の声や足音が、そして幸せだった日々が脳裏に蘇る。

<翔河川(人)>
子供がいた子供の日


・8点句

この子らの創る未来や子どもの日  素人
<寿美子(天)>
すごく前向き❣戦の無い未来でありますように

<明子(地)>
是非とも明るい未来でありますよう! 作者には微かな不安もありそうな・・

<丹仙(天)>
季語としては「端午の節句」のほうが伝統を感じさせるので俳句にはふさわしいのですが、敗戦後に制定された「子どもの日」には、従来の「端午の節句」とは異なる意味がありました。
 与謝野晶子は、「尚武」の精神を背景にもつ「端午の節句」を自分の家では決して祝わなかったそうです。自分自身は戦場に出ずに、若者たちを徴兵して戦場で死なせる為政者への批判が、彼女に有名な反戦歌を詠ませました。
「この子らの創る未来」は「平和を創る未来」でもあり、「荒廃した国土を再建する未来」でもあったでしょう。そういう希望を子供たちに託した大人たちの心を詠んだ俳句としてこの句を読みました。


・5点句

五月来る命あるもの皆光り  明子
<寿美子(人)>
今朝も住み慣れた川岸を一周、何もかも輝いていました

<しゐ(人)>
どこを見ても、何を見ても、眩しいほどに。

<秋童子(天)>
それが五月ですね。

柞葉の母なき母の日なりけり  素蘭
<寿美子(地)>
柞葉の枕詞が、しみじみと身に沁みます

<明子(天)>
枕詞に母への深い思いが詰まっていると思いました。


・4点句

ブラウスにふさわしき風五月かな  しゐ
<素人(人)>
髪を束ねてボタンを外す

<素蘭(天)>
シャツではなくブラウス。爽やかながら華やいで


・3点句

おのこなる日もありし夫にちまき買う  しゐ
<翔河川(天)>
今は好々爺

子供の日鉄兜より紙兜  白馬
<鈴居(人)>
本当にそうあって欲しい今日この頃です。

<秋童子(地)>
子どもたちの将来も、そうありたいものです。

若き日の母のアルバム繰る五月  丹仙
<鈴居(天)>
子供の日を紐解くと母に感謝をする日だそうです。


・2点句

子供の日祖父に教はる竹とんぼ  明子
<素蘭(地)>
竹とんぼ、独楽廻し、お手玉etc
パンデミック以前は高齢者による出前授業が盛んでした。

木洩日に静寂の祈り聖五月  丹仙
<実生(地)>
新緑、竹が、エビネがひっそりと。

5月の譜堤に座り奏たり  翔河川
<丹仙(地)>
「五月の譜」という出だしに惹かれました。空と水と光の交差する情景にふさわしい音楽を奏でる光景は一幅の絵のようです。

球を蹴る前歯なき笑み子供の日  春愁
<しゐ(地)>
底抜けに明るい声が聞こえてきます。

町内に子供のいないこどもの日  風子
<素人(地)>
少子高齢ここに極まる


・1点句

大任を果たし安堵の五月かな  秋童子
<風子(人)>
任されていたコンサート、俳句の大会などそれぞれの立場で大任の内容は違ってくるが、安堵の気持ちは五月の空のように晴れ晴れとしている。

母の日の花幼手に握られて  しゐ
<実生(人)>
たんぽぽを幼き手から婆ちゃまに、それも照れながら。

母の日を母は忘れてゐたりけり  明子
<秋童子(人)>
私の母も、晩年はそうでした。

息子らへ花いらないわ告げる妻  実生
<素蘭(人)>
花より団子、澤瀉屋! なんちって。。。

行合の雲のせはしく五月来ぬ  寿美子
<明子(人)>
お天気の急変、いかにも夏の始めらしいです。