第333回桃李10月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:天高、林檎、八冠(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 天高
兼題U 林檎
兼題V 八冠(不言題)

10月16日(月)投句開始
10月23日(月)投句締切 翌日選句開始
10月30日(月)選句締切 
10月31日(火)披講

投句: 素蘭、寿美子、しゐ、白馬、翔河川、春愁、風子、明子、秋童子、実生、丹仙
選句: 春愁、実生、白馬、風子、翔河川、しゐ、秋童子、寿美子、素蘭、明子、丹仙

披講

・9点句

干物を手熨斗する音秋高し  明子
<実生(天)>
祖母は押入れの布団重ねもきちんとしていなかったらやり直し。蚊帳も。子供のころ大変だったけど、褒められたい一心で手伝った。洗濯物を干す時もパチパチと母と一緒に。洗濯竿を一番上まで、よっこらしょと。二人が出てきそう。

<風子(人)>
ある晴れた日、洗濯物を干すときにパンパンと皺伸ばしして干す。晴々とした音が聞こえる。

<翔河川(天)>
よく乾いて

<丹仙(地)>
手熨斗する音に着目したところ、秋の乾いた空気感が伝わります。秋高しという季語に聴覚のあらたな次元を付け加えたところが面白い。


・8点句

籾殻を探り見つけし林檎かな  秋童子
<実生(地)>
年の暮れ津軽でダムの現場から帰省する時、林檎を買って自宅に。籾殻がクッション材に使われて。子供達が林檎を探して籾殻散らかしていたっけ。
 籾殻手に入らないけど、やっとさつまいも熟成に使える調達できた。林檎ではなくいもだけど、探す手触りが懐かしい。

<翔河川(地)>
りんご箱の中かな

<しゐ(天)>
籾殻が緩衝材であり保護材であったころの林檎はまさに宝物のようで、探りあてた時の幸福感は格別でした。

<明子(人)>
子供の頃を思い出します。ついでにその林檎箱を机にしたことも・・・


・7点句

見はるかす雲外蒼天雁の頃  明子
<秋童子(天)>
八冠という偉業を成し遂げた青年の視界には、いまどんな景色が広がっているのでしょうか。
これからの活躍も本当に楽しみです。

<素蘭(人)>
藤井八冠の揮毫、書の研鑽もさすがです。

<丹仙(天)>
将棋の道はきわまりなく、一寸先の見えないカオスのような状況を突き抜けたときに見えてくる景色、「雲外蒼天」とはまさに藤井八冠の現在の心境にふさわしい言葉ではないかと思いました。

若き棋士の黙考続く夜長かな  しゐ
<白馬(天)>
最善(真理)を求める熟考と精神力は本当に凄い。

<風子(天)>
描写に余分かところがなくスッキリ収まって好感度が高い。

<寿美子(人)>
黙考の果ての八冠、本当に素晴らしい


・6点句

巡礼のゆくや色なき風の道  素蘭
<春愁(地)>
秋遍路の後ろ姿が・・・ 

<実生(人)>
色なき風の道、辛いだろうなぁ。

<翔河川(人)>
未踏の地へ

<明子(地)>
八冠のこれから歩みゆく道に思いをはせて。


・3点句

浦上の鐘地に哭きて天高し  丹仙
<寿美子(天)>
私の母は「長崎の鐘」が好きで、いつも口遊んでいました。
このような天高しのあることにこころうたれました



長崎の鐘は、母の愛唱歌でした。
このような天高しのあることに心打たれました

甲斐信濃わかつ山陵天高し  寿美子
<明子(天)>
大きな景ですね。

逆転の駒成り上がる秋灯下  寿美子
<春愁(天)>
不言題に相応しい句

古稀すぎて服は派手目に赤林檎  翔河川
<風子(地)>
古希が一番に年齢と服装を気にするときかもしれない。古希と赤林檎の取り合わせが上手い。

<丹仙(人)>
赤林檎に倣う派手な服、円熟した老人の心意気ですね。

天高し地上は戦火に惑ひをる  しゐ
<白馬(地)>
天に神、地に人

<秋童子(人)>
秋の空はこんな見事に晴れ渡っているというのに、地上では・・・。

セザンヌの円錐画法林檎剥く  春愁
<素蘭(天)>
セザンヌが静物画のモチーフとし腐乱するまで描き続けたという林檎。
旬の林檎を剥けば白い球体となるにつれ螺旋状に垂れ下がる皮。
前者は世紀を超えて画布上に存在し、後者は、、、


・2点句

あの夏を耐へて林檎の紅きこと  しゐ
<秋童子(地)>
林檎にとっても過酷な夏だったはずなのに、ここまで紅く実ってくれて!

一抹の不安林檎の良し悪し  風子
<寿美子(地)>
猛暑せいか今年の林檎は器量が悪いです
一抹の不安、同感します

天高し故郷の山河クラス会  秋童子
<しゐ(地)>
誰もが幼い顔のまま、ふるさとの山河に抱かれて笑っている。

漸うやうにくるり鉄棒天高し  春愁
<素蘭(地)>
初めて逆上がりができた時の眼に映る空の青いこと!


・1点句

神々を嫉むものあり林檎食む  丹仙
<春愁(人)>
アダムとイブ?

強さ秘め優しき王者秋うらら  秋童子
<しゐ(人)>
あの慎み深い王者に好ましさを感じないではいられません。

値を下げて訳あり林檎店頭に  実生
<白馬(人)>
今年は猛暑の為、果物が不作でした。