第336回桃李正月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:去年今年、成人式、震災(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 去年今年
兼題U 成人式
兼題V 震災(不言題)

1月19日(金)投句開始
1月26日(金)投句締切 翌日選句開始
2月02日(金)選句締切 
2月03日(土)披講 

投句: 寿美子、素人、白馬、春愁、明子、素蘭、しゐ、翔河川、風子、秋童子、実生、ヨアヒム、丹仙
選句: 寿美子、素蘭、明子、春愁、しゐ、翔河川、白馬、秋童子、実生、ヨアヒム、風子、丹仙

披講

・9点句

塹壕に見上ぐる星の去年今年  しゐ
<素蘭(天)>
いつまで続く哺乳類霊長目ヒト科ヒト属の愚行、、、

<明子(天)>
各地の争いが何一つ解決しないまま時が流れていきます。

<丹仙(天)>
ウクライナとロシア、あるいはイスラエルとハマスとの終わりの見えない塹壕戦の現場にいる兵士達を思いやった句として共感しました。
 私は、カンドー神父のエッセイ集「世界のうらおもてー泉のほとり」にあるドイツ兵とフランス兵の交流のことを思い出しました。長い塹壕戦で飲み水にも困っていた兵士達が、最前線に芳醇な地下水脈を発見し、現場の判断で一時的な休戦を実現して、その「命の泉」を共有したというエピソードです。軍法会議にかけられるかも知れぬ危険な行為であったとはいえ、戦争を煽るイデオローグよりも、このような前線にいた兵士達の交流こそが、平和の実現に貢献するという、カンドー神父の実体験に基づく物語りでした。


・7点句

1/fの玉響去年今年  素蘭
<寿美子(地)>
素晴らしい俳句にであうと日本語の美しさに引き込まれる
日々の幸せを続けていきたいと思います

<風子(天)>
エフぶんのいちの玉響心地よい音楽を聴いていたのでしょうか。それにしても1/fを持ち込んだ事に驚きと拍手を送りたい。

<丹仙(地)>
いろいろな読み方が出来るでしょうが、私は、去年今年の感慨に耽りつつ聴く除夜の鐘の音を形容したものと解釈しました。鐘の音には、どこか心の安らぎを与える響きがありますが、それを「1/fの玉響」と表現するところに新しさを感じます。。


・6点句

雪しきる生き残れるを悔やむ人  しゐ
<翔河川(天)>
家族をなくして

<秋童子(天)>
今回の能登半島地震では、自宅が倒壊して下敷きとなった家族を、助けたくても助けられなかった人のなんと多いことか。辛い現実です。


・4点句

傾きしまま避難所の注連飾  明子
<春愁(天)>
痛ましい

<翔河川(人)>
それどころではなく

地の基震へる屋根に重き雪  丹仙
<しゐ(地)>
天と地の間に生きるものの無力さを痛感します。

<翔河川(地)>
傾く屋根に

不機嫌なガイアの私獏枕  素蘭
<明子(人)>
何とかこれ以上ガイアが不機嫌にになりませんよう・・・

<しゐ(天)>
ヒトの世界を超越した場所から「私」を眺めているような感覚になり、不思議な魅力を感じます。


・3点句

いつの日か成人式を誓う能登  秋童子
<寿美子(天)>
被災された方々のご苦労、察して余りあります。
早くその日が来ますように

うつくしき言の葉たづね去年今年  寿美子
<実生(天)>
清廉、いつも探しているつもりだけど見つからない。

老いの身や部品の修理去年今年  秋童子
<寿美子(人)>
新年、新しい自転車にのりかえました。
老化したわが身も部品交換出来たらね❣

<白馬(地)>
骨・筋肉・内臓諸々。

篝火の闇に火零し去年今年  明子
<春愁(地)>
神々しい景

<しゐ(人)>
目を閉じてもまだ、闇にこぼれる火が鮮やかに。

元日の助け呼ぶ声消えた声  秋童子
<白馬(天)>
元日の--。本当に気の毒です。

去年今年この世の残り時間かな  ヨアヒム
<秋童子(地)>
この感覚、とてもよくわかるようになってきました。

<丹仙(人)>
一休さんの正月の句を想起しましたが、この句の方が共感できますね。

何を得て何を捨てたか去年今年  翔河川
<ヨアヒム(天)>
 断捨離に踏み切れない身にとって、決断を迫られる句!。


・2点句

金柑を甘煮にして送りたし  実生
<素蘭(地)>
連句でいうところの「平句ながら人情自他半の秀句」ですね。

成人式戦を知らぬ子等群るる  寿美子
<明子(地)>
何時までも戦争を知らぬ子供たちでいて欲しいと強く思います。

成人式8日と言われ大慌て  白馬
<実生(地)>
昔は15日、あれ8日なの。カレンダー大きく書いてよ。

大寒や捜索の手に休みなし  素人
<風子(地)>
被災者の数は日に日に増えて五十人程度が三百人近くに膨らんでいる。極寒の被災地に想いを馳せる。

ひとといてひとりがいいと去年今年  翔河川
<ヨアヒム(地)>
 中島みゆきの名曲「友情」を彷彿とさける。

盛り髪はロックンロール成人祭  春愁
<白馬(人)>
若さ発露!

<風子(人)>
50年代の(フィフティーズ)を思い出す一句。


・1点句

一斉に鳴る元旦の電子機器  風子
<素蘭(人)>
台北でもNHKの防災アプリいれてる人のスマホは鳴りっぱなしでした。

重ねくる辛きニュースや耳寒し  寿美子
<実生(人)>
耳寒し、耳暖かしを待ってます。

御慶述べそのまま被災地の話  明子
<春愁(人)>
話題はどうしても

嬰児の上に空爆去年今年  丹仙
<秋童子(人)>
狂気の沙汰です。無力感に囚われる日々ですが、それでも「NO」と抗議の声を上げ続けて行きたいと思います。