第337回桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:早春、下萌、麦踏

題詠または当季雑詠

兼題T 早春
兼題U 下萌
兼題V 麦踏

2月15日(木)投句開始
2月22日(木)投句締切 翌日選句開始
2月29日(木)選句締切 
3月01日(金)披講   

投句: 春愁、素蘭、しゐ、白馬、寿美子、翔河川、実生、風子、ヨアヒム、丹仙、秋童子、明子
選句: 春愁、しゐ、寿美子、風子、実生、明子、ヨアヒム、翔河川、秋童子、素蘭、丹仙

披講

・10点句

鋤き返す土黒々と春兆す  明子
<しゐ(地)>
これから幾千もの種が目覚めることでしょう。

<ヨアヒム(天)>
地球の息吹きを感じる。

<秋童子(天)>
この季節の農作業、まずは土の手入れからですね。

<素蘭(地)>
豊作でありますよう…

「舟唄」を聴きつ悼みつ麦を踏む  しゐ
<春愁(天)>
哀悼の気持ちが、つと口の端に

<風子(天)>
好き嫌いに関わらず、八代亜紀と共に生きた時代であった。それぞれの立場で彼女の訃報を受け止めた。麦を踏みながらイヤーホーンから流れる「舟唄」を聴きながら彼女を偲んでいる。

<実生(人)>
お酒は温めの燗がいい。昭和までかな歌も麦踏みも。

<明子(天)>
聴きつ悼みつ に思いがこもっています。労働の中で、というのが良いですね。


・6点句

たたなづく秩父連山麦を踏む  春愁
<寿美子(地)>
スケールの大きさに深呼吸

<ヨアヒム(人)>
「たたなづく」が良い。

<丹仙(天)>
「たたなづく」という万葉調の表現の歴史の奥行き、秩父連山の背景と麦を踏む足の感触が良く協和した句と思います。

麦を踏む男の腰の万歩計  寿美子
<明子(地)>
現代の麦踏という感じがします。面白いところに目を付けられました。

<翔河川(天)>
達成感もある

<素蘭(人)>
健脚農法、いいですね。


・5点句

抵抗のさまざまなかたち兜太の忌  しゐ
<実生(天)>
兜太助けてよ。

<丹仙(地)>
「抵抗のさまざまな形」と言い止めたところ、金子兜太を偲ぶ句として適切と思いました。


・4点句

稚児のくつ踏み出す一歩下萌ゆる  春愁
<実生(地)>
靴の汚れも何より楽しそう。

<秋童子(地)>
稚児が踏み出す先に下萌。これがお互いの最初のご対面でしょうか。

鳥声の日々増ゆる土手青みたり  明子
<しゐ(天)>
かすかな変化に五感が呼び覚まされていく春。

<翔河川(人)>
耳と目で

春浅し白衣の少年聖歌隊  丹仙
<寿美子(天)>
一瞬ウィーン少年コーラスを連想
浅春と白衣の取り合わせに惹かれます

<明子(人)>
少年たちのあの歌声、白衣と共に春浅しのイメージにぴったりです。


・3点句

聖灰を被りし農婦麦を踏む  丹仙
<素蘭(天)>
灰の水曜日の農婦
ミレーの絵画に描かれているような農村の、今四旬節。

蕗の薹蕗の若葉に隠れたり  実生
<しゐ(人)>
つい語りかけたくなるような愛らしさ。

<ヨアヒム(地)>
何気ないような、ささやかな発見。爽やか。


・2点句

下萌を辿る幼な子けんけんぱ  秋童子
<翔河川(地)>
見つけながら見つけながら

大団円ならぬことわり麦を踏む  素蘭
<春愁(地)>
もめごとが治まらず

ボランティアの少年少女下萌ゆる  寿美子
<風子(地)>
未来を背負って立つ少年少女達。頼もしい限りです。


・1点句

早春の息吹ただよふ雑木山  寿美子
<風子(人)>
冬とは違う枯れ草の山々。艶っぽい枯草とでも言える。やはり「息吹漂う」であろう。

早春やハイネの詩つと口の端に  春愁
<丹仙(人)>
ハイネの詩ーシューマンが作曲した歌曲など連想しますが、この句の調べ、口調の良さに惹かれます。

とんねるを抜け早春の山又山  風子
<寿美子(人)>
早春の軽やかなリズム
春を迎える吟行の喜びが窺われます

西坂に立つ殉教碑下萌ゆる  丹仙
<春愁(人)>


麦を踏む赤城榛名を目交ひに  明子
<秋童子(人)>
目の前に赤城、榛名、妙義。遠くに浅間。上州から眺める山々は実に個性的です。