第346回桃李11月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:小春日、散紅葉、神の旅

題詠または当季雑詠

兼題T 小春日
兼題U 散紅葉
兼題V 神の旅

11月15日(金)投句開始
11月22日(金)投句締切 翌日選句開始
11月30日(金)選句締切 
12月02日(水)披講 

投句: 素蘭、寿美子、春愁、素人、白馬、風子、秋童子、翔河川、しゐ、明子、実生、ぽぽな、ヨアヒム、丹仙
選句: 風子、寿美子、ヨアヒム、ぽぽな、秋童子、素人、しゐ、明子、春愁、白馬、素蘭、実生、翔河川、丹仙

披講

・10点句

小春日や白寿の母へ紅を刷く  春愁
<寿美子(天)>
小春日 ほのぼのと心がぬくもります

<秋童子(地)>
なんと素敵なひとときでしょう!

<素人(地)>
元気でいての願いを込めて

<白馬(天)>
母・娘の情が良く分かります。


・9点句

水あれば水鏡して神の旅  ぽぽな
<しゐ(天)>
何とも優雅な、ゆったりした感じがします。

<白馬(地)>
神様もおめかしして旅へ。

<実生(地)>
行かないで。

<翔河川(地)>
二重写で


・8点句

小春日の惑星残し詩人逝く  ぽぽな
<明子(天)>
私たちは谷川俊太郎を失ってしまった。この惑星に残されてしまった。
寂しさが募ります。

<素蘭(人)>
「死んだ人はみんなことばになるのだ。」とは寺山修司の名言ですが…

<実生(天)>
たくさん救われたです。俊太郎さん、さようなら。

<丹仙(人)>
二十億光年の孤独という処女詩集を出した谷川俊太郎に献げる句として印象に残りました。


・7点句

散もみぢ長押に鈍き釘隠し  春愁
<ぽぽな(天)>
例えば、年季の入った六葉の釘隠しでしょうか。設えてある神社仏閣が見えてきます。そこに紅葉が散る光景に静かな風情が香ります。細部の描写が周りの状況を読み手に彷彿させ、とても優れていると思いました。

<明子(人)>
長押に渋い釘隠しのあるような、趣のある古いお屋敷。散もみじの
美しさが眼前に浮かびます。

<丹仙(天)>
紅葉の色と散りゆく時間が、その背後にある古代へと遡り行く歴史、それに配するに、鈍い釘隠しのある伝統様式の建造物のくすんだ色、落ち着いた空間性が、見事な対比を為していると思いました。


・6点句

小春日の干し菜の匂ひ暮れてなほ  しゐ
<秋童子(天)>
小春日ならではの大事なひと手間。豊かな暮らしぶりが想像できます。

<翔河川(天)>
なんの匂いでしょう


・5点句

神の旅機首はエデンの東向く  春愁
<風子(天)>
エデンと言われると、「エデンの園」を思いジェームスデーンの日ずるい顔を思い出す。なぜか魅力的な一句となって立ち上がるのだ。

<明子(地)>
現代の神の旅は飛行機も駆使して。
できることなら、エデンの東に向かう飛行機に乗ってみたいと思います。


・4点句

神の旅わが家の山の神もまた  素人
<寿美子(地)>
ウィットに富んだ一句
お賽銭たくさん供えたの?

<春愁(地)>
山の神、何処へお出掛け?

小春日や湯島に女男の坂三つ  素蘭
<ぽぽな(地)>
湯島の坂を巡ってみるには、小春日がぴったりですね。湯島界隈の風景も見えてきます。

<丹仙(地)>
のどかな参詣風景が浮かびます


・3点句

神の旅色なき風の中を行く  白馬
<ヨアヒム(天)>
「色なき風」の表現、素晴らしい。季語「神の旅」を生かしている。

ちょっと来い親鳥が子を小春かな  実生
<春愁(天)>
小綬鶏親子の微笑ましい景

散紅葉遺影の夫と散策す  風子
<ヨアヒム(地)>
 連れ合いを失った気持ちが伝わってくる。

<白馬(人)>
しみじみします。

散紅葉認知の母も微笑みて  秋童子
<素人(天)>
記憶の底にのこる思い出

散紅葉踏まねばいけず先師の碑  寿美子
<しゐ(地)>
散り敷く落ち葉の美しさに踏み惑うばかり。

<実生(人)>
ご無沙汰してるから、私も行かねば。

塗椀は波に兎図神の旅  明子
<素蘭(天)>
縁起物とされる「波に兎」図、塗椀の漆は英語でjapan
されどglobalに展開すれば、NODA・MAP、その不条理劇、、、

ビルの風ビルの渓谷散紅葉  ぽぽな
<風子(地)>
街なかを「ビルの谷間」と、言えば聞き慣れしていて面白くないが、「ビルの渓谷」と言い直すだけで新鮮味が出るから不思議です。

<寿美子(人)>
ビルの渓谷 詩情そそられます


・2点句

池の面を大地に仮装散紅葉  素人
<素蘭(地)>
大胆な見立てですが、落葉や雪で地面と溝や池の境界がよくわからずおっかなびっくり足を運ぶことってありますね。
その徘味が在原業平の屏風歌「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは 」との差異。

眼帯を外せば小春日和かな  丹仙
<ぽぽな(人)>
長く患っていた病かもしれません、手術の後かもしれません。眼帯をした視界は何かと不快であったことでしょう。ようやく外した時の解放感といった心の様子が、小春日和の穏やかさとよく響き合うと思います。

<翔河川(人)>
景色が暖かく

小春日の手品子にすぐ見破られ  明子
<風子(人)>
親子の微笑ましい一景が、小春日という季語によってより温かく感じられる。

<春愁(人)>
アットホームな家族団らん!!

自転する水の惑星神の旅  素蘭
<ヨアヒム(人)>
 スケールが大きい。

<しゐ(人)>
神の旅の速度と自転の速度が重なり、不思議な気持ちになります。


・1点句

神の旅能登は不在のままなるや  秋童子
<素人(人)>
復興遅し冬はそこまで

紅葉散る坂道をなほ一歩づつ  ヨアヒム
<秋童子(人)>
心惹かれる一句でした。