第347回桃李12月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:冬日、聖夜、平和賞(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 冬日
兼題U 聖夜
兼題V 平和賞(不言題)

12月15日(日)投句開始
12月22日(日)投句締切 翌日選句開始
12月29日(日)選句締切 
12月30日(火)披講   

今月の不言題は「平和賞」という言葉を使わずに(ノーベル)平和賞を詠んで下さい

投句: 白馬、素蘭、寿美子、素人、春愁、風子、実生、しゐ、秋童子、丹仙、翔河川、ヨアヒム、明子、ぽぽな
選句: 春愁、素人、寿美子、しゐ、実生、白馬、ぽぽな、翔河川、秋童子、ヨアヒム、素蘭、明子、風子、丹仙

披講

・8点句

冬の日の子の影長く母を待つ  翔河川
<春愁(天)>
"の"の連なりが、却って長きを"待つ"感覚に・・・

<素人(人)>
鍵を忘れて家に入れず

<風子(人)>
寒々とした光景。母のいない家は灯火のない暗闇。鍵っ子は今もどこかに。

<丹仙(天)>
情景が目に見えるように浮かぶ文句なしの秀句です。


・7点句

介護士へ微笑み返す聖夜かな  寿美子
<白馬(地)>
患者さんの笑顔が嬉しい。

<ぽぽな(天)>
介護士の微笑みに、微笑みで答えているのですね。
感謝に満ちた関係が見えてきます。日頃からする行為かもしれませんが、聖夜の微笑みは、個人の行為を超えた、普遍の力、慈愛そのものとなります。

<ヨアヒム(地)>
 仕事とはいえ、アタマが下がります。

冬日向籠となる竹削りをり  明子
<春愁(地)>
冬日のなか、ゆったりと時が流れる

<ぽぽな(地)>
竹の含水量が低くなる冬は工芸に最適ということです。職人の集中力がみなぎる静かな時間が素敵です。

<翔河川(天)>
縁側でしょうか


・6点句

胸中の奥へ冬日の届かざる  風子
<実生(天)>
何があったの。?

<秋童子(天)>
冬の日差しでは、この塞ぐ思いはなかなか晴れません。


・5点句

寒空のトーチパレードオスロ燃ゆ  秋童子
<しゐ(天)>
トーチの炎の色と白い息、人々の表情がとても印象的な夜でした。

<素蘭(地)>
象徴的な光景でした。


・4点句

祈るために手のひらはあり冬の月  ぽぽな
<寿美子(天)>
お互いを思いやる祈りでありますように

<丹仙(人)>
第九交響曲の最後の合唱が聴こえてきました。高き天空のかなたにいます父に祈るために、この手のひらが造られたのかもしれません。

寒月や金平糖の角の数  素蘭
<明子(地)>
金平糖の角は核廃絶を願う人達の象徴でしょうか。

<丹仙(地)>
金平糖の角の数は、36という不思議な数であるとか。寒月からの飛躍が面白い。もっともなぜ平和賞の不言題となるのかよくはわからないのですが、イグ・ノーベル平和賞を差し上げたい。

冬の日を余すことなく浴びて鳥  ぽぽな
<しゐ(地)>
冬の日差しが、小さな鳥の一点に集まっているように感じられます。

<翔河川(地)>
ふくれどりか


・3点句

いくつもの夜をたくわえ冬日差す  しゐ
<明子(天)>
夜をたくわえる、という発想に惹かれました。確かに冬という
季節は夜の存在感が強い気がします。

聖夜とて街はひっそり寝静まる  素人
<ヨアヒム(天)>
 ドイツの小さな街で3年間暮らした当時の情景を想い出します。

鶴群れて核無き宙へ飛び立てり  春愁
<白馬(天)>
何国でしょうか? 皆の願い。

手作りが織り成す妻の聖夜かな  秋童子
<風子(天)>
家族のために三日三晩の準備をして聖夜を迎える妻に感謝の念。口にはださねど無口な夫は心から感謝している。

平和の声届かぬ民や冬ざるる  ヨアヒム
<素人(天)>
いつ戦争は終わるのだろう

アッシジの山に賛歌の冬日影  丹仙
<素蘭(天)>
1997年の地震で大きな被害を受けたアッシジのサン・フランチェスコ聖堂
細心の修復作業を経て2000年に世界遺産登録
冬日を浴び鳥は囀る
大地の讃歌


・2点句

遅すぎた春ではあれど被団協  素人
<実生(地)>
重いお話だった。

穏やかな冬日や父母の忌に集ふ  寿美子
<素人(地)>
遺影の笑みに少し癒され

反核の願ひ輝け寒北斗  寿美子
<風子(地)>
反核の情熱が消えかかる頃、息を吹き返したような輝きを放つ寒北斗。まさに。

人々の祈りの重く聖夜更く  しゐ
<秋童子(地)>
国内外では不条理なことがたくさん起きているのに、何もできない無力感。人々はただ祈るのみです。

道長とまひろの月も聖夜かな  風子
<春愁(人)>
タイムリー

<実生(人)>
セリフ、背景、色々と深い思いが表現されていて。

若き等に託す願ひや冬の星  明子
<ぽぽな(人)>
語り継ぐべきことは語り継がれてゆくと思います。冬の星に希望を見ました。

<秋童子(人)>
受賞演説は核兵器廃絶の取り組みを、世界の若者たちに託す願いも込められていました。

我が為に贖ふ詩集聖夜かな  明子
<寿美子(地)>
そんな聖夜の喜びも hozannna 


・1点句

杵を持つ孫の手震え冬日さす  実生
<しゐ(人)>
小さなお孫さんが全身で杵を持ち上げる姿がリアルに目に浮かびます。餅つきができる家で育まれるものの豊さが想像されて、幸せな気持ちになりました。

午後三時気配の変わる冬日かな  秋童子
<ヨアヒム(人)>
 暖冬とはいえ、詠まれた通り、空気感が変わりますネ。

聖樹の灯ティファニーブルーの小筐解く  春愁
<素蘭(人)>
ブルーもレッドもホワイトも…掌サイズのトキメキ♪

てくてくと聖夜の灯り月ひとつ  白馬
<翔河川(人)>
寒い夜道で

冬日燦不定愁訴かロダン像  春愁
<白馬(人)>
ロダンは愁い顔----。

ムスリムの母子と祝う聖夜かな  丹仙
<明子(人)>
人種も立場もすべて乗り越えて、心から祈る聖夜であってほしいと
願います。

医者いらずあれこれいはず冬日向  素蘭
<寿美子(人)>
そのうえお喋りできる仲間があれば長生きできますね