第350回桃李3月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:椿、春雪、四旬節

題詠または当季雑詠

兼題T 椿
兼題U 春雪
兼題V 四旬節

3月15日(土)投句開始
3月22日(土)投句締切 翌日選句開始
3月29日(土)選句締切 
3月30日(日)披講 

投句: 寿美子、素蘭、春愁、白馬、風子、ヨアヒム、しゐ、丹仙、実生、翔河川、秋童子、明子
選句: 白馬、風子、実生、しゐ、寿美子、秋童子、春愁、翔河川、ヨアヒム、素蘭、明子、丹仙

披講

・9点句

消えた後に募る恋しさ春の雪  ヨアヒム
<白馬(天)>
若き恋心を雪に託して

<風子(地)>


<寿美子(地)>
雪害を知らないせいかロマンチックな創造ばかり膨らみます

<秋童子(地)>
もうこれで、しばらく会えなくなってしまうのだと。

降りたくてたまらぬように春の雪  しゐ
<実生(地)>
寒かった。案外牡丹雪だったけど、歓迎しないのにお待たせと言ってるみたいな雪でした。

<秋童子(天)>
これまで降りたくても降れなかった雪たちが、3月のいまごろになって、ようやく思う存分に・・・。

<翔河川(天)>
前が見えなくなるほど

<明子(人)>
先日の雪は、本当にこんな感じでした。


・7点句

日の洩るる聖堂の午後リラの花  春愁
<ヨアヒム(地)>
 季語「リラの花」が生きている。

<素蘭(天)>
リラの花咲く復活祭
プロヴァンスの小さな村の由緒ある教会
見果てぬ夢になりそうですが…

<丹仙(地)>
晩春、復活祭のころの聖堂の叙景が懐かしい。


・6点句

ガザの子にこの一食を四旬節  寿美子
<白馬(地)>
出来ることならUbarで配達してあげたい

<明子(天)>
本当にそれが出来たら・・・胸が痛くなりました。

<丹仙(人)>
四旬節は大斎の時節が、その食事代を奉仕活動に振り分ける慣習がありますが、ガザの子に焦点をあてたところが今を感じさせます。


・5点句

春雪の濡らしたる絵馬木の香立つ  明子
<春愁(地)>
天神様の絵馬、祈願成就の予感

<丹仙(天)>
春雪の本意をよく捉えた印象的な句です。

道標に乗せてありたる落椿  明子
<白馬(人)>
村の角

<しゐ(天)>
道標に乗せた人の思いと、通りがかりにそれを見て心を動かされた人の思いは、とても清らかなところで繋がっているように思えました。

<翔河川(人)>
赤い椿だろうか


・4点句

椿落つ音してしばし歩を止めて  翔河川
<秋童子(人)>
落ちた音、気になりますよね。

<ヨアヒム(天)>
 気付きにくい小さな音、着目した視点が素晴らしい。

耶蘇寺の手水に消ゆる春の雪  寿美子
<翔河川(地)>
すぐに消えてしまう

<素蘭(地)>
北鎌倉の余寒かな?


・3点句

荒波や紅に紅継ぐ崖椿  春愁
<風子(天)>


落椿若き葬送遠ざかる  しゐ
<寿美子(天)>
椿は春の木 赤い落ち椿に夭折の無念おもわれます

しづこころ無き世の中に落椿  ヨアヒム
<春愁(天)>
慌ただしい落ち着いた心がない世の中に椿も次々と・・・

姉ちゃんと呼ぶ叔母ありて椿餅  風子
<実生(天)>
叔母さんの声、懐かしいなぁ。良くおはぎなど届けてくれたっけ。地縁のみの関係だけど
母を姉ちゃんと言って。


・2点句

教皇の平癒をひたに四旬節  しゐ
<実生(人)>
退院して良かった。平癒をひたに、ひたにの言葉に思いがこもっていて。

<寿美子(人)>
何事も思うようにならない世界情勢
せめて教皇のご平癒を祈ります

主を三度「知らぬ」とペテロ受難節  ヨアヒム
<しゐ(地)>
私もまた「知らぬ」と何度でも言ってしまう人間であろうことを思い、胸にこたえる。

浄閑の苔むす寺や落椿  丹仙
<春愁(人)>
浄閑寺、荷風の「里の今昔」が思い起こされる

<素蘭(人)>
深山椿に妖女の姿を連想する漱石
幾百年の星霜を経た古刹の椿ならばその翳りはいや増しに、、、

ともしびを囲む夕餉や四旬節  明子
<風子(人)>


<しゐ(人)>
ほのぐらいあかりの中で、イエスの生涯に思いを寄せて祈る家族の姿が浮かびます。

紅椿足摺岬風岬  寿美子
<明子(地)>
漢字だけの句ですが、明るい土佐の岬の光景が目に見えるようです。


・1点句

空襲を語る三月子に孫に  秋童子
<ヨアヒム(人)>
 人類の苦い歴史を風化させてはいけない。