第354回桃李7月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:蓮、泉、端居

題詠または当季雑詠

兼題T 蓮
兼題U 泉
兼題V 端居

7月16日(水)投句開始
7月23日(水)投句締切 翌日選句開始
7月30日(水)選句締切 
7月31日(木)披講  

投句: 白馬、春愁、寿美子、素人、素蘭、しゐ、明子、翔河川、風子、秋童子、実生、ヨアヒム、丹仙
選句: 素人、春愁、しゐ、風子、翔河川、実生、明子、秋童子、白馬、素蘭、ヨアヒム、寿美子、丹仙

披講

・16点句

母の名をしるす手鎌や夕端居  寿美子
<しゐ(天)>
かたわらに母が座っておられるような。

<翔河川(地)>
黙々と畑仕事をしていた

<実生(天)>
みんなあつまるのかな涼しさ欲しくて。

<明子(天)>
涼もうと縁側に出たら、そこに母の名がある小さな草刈り鎌があることに気が付いた。ひとしきり母の思い出に浸りながらの端居。

<白馬(天)>
一仕事終えた後、ふと見つけた亡き母の名前。

<素蘭(地)>
除草を終えてやれやれと…
母が愛用していたので私的には「手鎌」より「ちょんちょん」がしっくり


・10点句

いらぬことみな四捨五入夕端居  春愁
<しゐ(人)>
考えたくはないが考えずにいられない「いらぬこと」が多すぎる日々。四捨五入に共感します。

<翔河川(天)>
どうでもいいことは

<明子(人)>
こう暑いと本当にこんな気分になりますね。

<白馬(人)>
何歳の感慨でしょうか?

<ヨアヒム(人)>
今更くよくよ生きても仕方がない。

<寿美子(天)>
天災人災増すばかりの大暑
さらりと託せる夕風を待つ


・7点句

菩提樹の影伸び来たる泉かな  明子
<風子(地)>
日が西に向き始め沈んで行く時、菩提樹の影は泉に近づいてくる。

<ヨアヒム(地)>
「冬の旅」を旋律を思い出す。

<丹仙(天)>
菩提樹の影は、旅する人間 homo viator に安息の場を与え、泉は天より恩恵として注がれた雨水が地下に滲み通り、地下水脈となって大地を潤し、この二つが結び会うところに生きた宗教的霊性の息吹を感じます。今回の句会で、この句が私の心に最も響きました。


・5点句

蓮咲くや一枚ごとに小さき音  秋童子
<ヨアヒム(天)>
小さき生命の息吹を感じる。

<丹仙(地)>
「巨椋池の蓮」という随筆で、和辻哲郎が、「蓮の花そのものの形や感触の中に何かインド的なもの、日本の国土を遥かに超えたものが感ぜられた」と書いています。無明長夜が明け、朝の光を浴びて蓮が開花する音は、寂静の心を持つもののみが聞くことができる沈黙の声であり、信仰の神秘 Mysterium fidei というべきでしょう。

楊貴妃の観音像や泉湧く  白馬
<素蘭(天)>
像容の美しさから「楊貴妃観音像」と呼ばれる聖観音像
清水が涌出したことから鎌倉時代に泉涌寺と改称されたそうですが、平安時代には「長恨歌」を想起させる仙遊寺と称した御寺
伝説に彩られるのも宜なるかな。。。

<寿美子(地)>
熱田大社の奥に吟行
涼しい守景でした


・4点句

青年の夫と繋ぐ手泉湧く  風子
<実生(人)>
清廉。

<秋童子(地)>
昔の思い出も、泉も、まだしっかり湧き続けているのですね。

<寿美子(人)>
素晴らしい思い出を 反芻できるお幸せ!

泉水を飲みて靴紐しめ直し  翔河川
<素人(地)>
目的地まであともう少し

<しゐ(地)>
その水をすくえば、手の中にブナの木洩れ日も揺れる。

蓮池の花ごとに仏おわしませ  しゐ
<翔河川(人)>
どの花にも仏様が

<実生(地)>
大小の仏様思い浮かべて。

<丹仙(人)>
和歌には釈教の歌の伝統がありますが、この句には、蓮池の持つ仏教的な感興を率直に詠んでいる自然さがあり、そこに惹かれました。


・3点句

傍らに読みかけの本夕端居  明子
<素人(天)>
続きは明日目が草臥れた

黒富士のなほ黒々に夕端居  ヨアヒム
<秋童子(天)>
夕暮れに西の空を見ると、影絵のような富士山が刻々と濃さを増して行きます。そんな時の流れをギュッと凝縮したこの句に惹かれました。

森深し碧き泉に白馬かな  秋童子
<春愁(天)>
あたかも東山魁夷を思わせる景、美しい・

夕端居綺麗な虫と会話する  白馬
<風子(天)>
夕涼みをしていると偶に玉虫色の虫とか、緑のカマキリとかに出会うと嬉しくなって話しかけたりする。


・2点句

泥水に蓮の花咲く政ごと  実生
<白馬(地)>
この度の参院選。花の心が欲しい。

葉畳に一弁こぼす白蓮  寿美子
<春愁(地)>
一弁こぼす・・・がいい

化けさうな傘有りますか古代蓮   春愁
<風子(人)>
傘のお化けと古代蓮の関係はないですね〜。でも何となく
あるような気がしてくる。そこが面白い。

<素蘭(人)>
破蓮は秋の季語です←キッパリ!

八ヶ岳一望にあり泉鳴る  寿美子
<明子(地)>
雄大な景色。爽やかな空気に包まれるようです。


・1点句

こんこんと砂噴き上げて湧く泉  素人
<春愁(人)>
間欠泉か?

蓮葉に雨粒弾みはじめたり  明子
<秋童子(人)>
弾んだり、転がったり・・・、さぞや雨粒も楽しいことでしょう。

ゆっくりと不忍池蓮開く  白馬
<素人(人)>
今年は少しつぼみ少なし