第357回桃李十月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:落穂、夜寒、ガザ停戦(不言題)

題詠または当季雑詠

兼題T 落穂
兼題U 夜寒
兼題V ガザ停戦(不言題)

10月15日(水)投句開始
10月22日(水)投句締切 翌日選句開始
10月29日(水)選句締切 
10月31日(金)披講   

投句: 春愁、素蘭、白馬、しゐ、風子、寿美子、秋童子、実生、翔河川、ヨアヒム、素人、丹仙
選句: 春愁、寿美子、しゐ、風子、秋童子、実生、素蘭、白馬、ヨアヒム、翔河川、素人、丹仙

披講

・9点句

救ひ主無きベツレヘム民冱つる  春愁
<寿美子(天)>
人間の業の深さ スケールの大きな嘆きに共鳴します

<ヨアヒム(天)>
 人類の絶望的な所業。祈る言葉すら浮かばない。

<丹仙(天)>
「民冱つる」の下五が印象に残りました。嘗てジェノサイドを蒙った民が、今度は虐殺をする側に回るー隣人の「顔」への配慮を欠く民となったイスラエルの民の状況をよく表しています。


・8点句

風呂が沸きましたと夜寒の電子音  風子
<春愁(天)>
確かに、便利になりました!

<実生(地)>
毎日聞いているけど確かに冷たい浴室は苦手です。

<翔河川(天)>
他人行儀に


・6点句

この国のまた壊れ行く夜寒かな  秋童子
<実生(天)>
また壊れゆく、怖いと思った原子力空母の甲板の二人。

<白馬(地)>
悲しい出来事ばかり

<ヨアヒム(人)>
アベノミクス復活を公言する高市政権、高インフレに苦しむアルゼンチン・ギリシャ社会に近づこうとしている。

大根蒔く戦なき世を願ひつつ  寿美子
<素蘭(人)>
山口青邨に「大根蒔く戦に負けし貧しさに」という句がありました。
焼け跡から立ち上がる人の営みが健やかに育ちますように…

<素人(天)>
同感です。

<丹仙(地)>
日常生活の未来への備えのなかにこそ平和の種子があると思います。

目が醒めてまた目の醒むる夜寒かな  ヨアヒム
<しゐ(天)>
何か憂いがあってのことか、何度も何度も目がさめ、そのたびに寒さが深まっていくような夜を想像します。

<秋童子(地)>
毛布でも出そうか、などと迷っているうち寝てしまい、また・・・。

<翔河川(人)>
急に寒くなって


・5点句

言語野に遊ぶ独りの夜寒かな  素蘭
<しゐ(人)>
夜の寒さと長さをも楽しんでいるような。

<風子(地)>
この頃急に寒くなりましたね。この句の通りです。

<翔河川(地)>
静寂の中で

ジエノサイド果ての停戦うそ寒し  秋童子
<風子(天)>
ジェノサイド*さんざん殺戮を繰り返して、ほんとかね〜と思ったけど、やっぱり約束を破りましたね。うそ寒いです。

<ヨアヒム(地)>
 21世紀は、ディストピアの時代なのか!


・4点句

幼手に落穂の束のあふれをり  しゐ
<秋童子(人)>
一生懸命お手伝いをしているのでしょう。

<素蘭(地)>
笑顔もあふれていそう

<丹仙(人)>
情景が活き活きと眼に浮かぶところが良いですね。


・3点句

落穂にも実のなきものも一人の夜  翔河川
<しゐ(地)>
実の入らなかった籾殻と「一人」の姿を重ねて、どちらも愛おしんでいるように感じます。

<実生(人)>
やっと実った穂だから拾ってみたら実入りしてない。寂しいなぁ。

落穂喰む雀につこりこしひかり   秋童子
<白馬(天)>
「あっコシヒカリだ!」雀はよく知っている

救急車音を落として夜寒かな  白馬
<寿美子(地)>
救急者で運ばれる人 残された人 夜寒が効いています

<素人(人)>
そんな配慮することもあるのかあ

身震ひをして戸を閉ずる夜寒かな  素人
<秋童子(天)>
「さぶっ」と思わず首をすくめて。

アレルイヤ詩編を歌ふ夜寒かな  丹仙
<素蘭(天)>
ともに暮らす家を大切に目指すゴール
西行法師の和歌「なにごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」に通底する「畏敬的驚き」を原点として


・2点句

屍抱く瓦礫の街に月昇る  しゐ
<素人(地)>
悲惨ですよね。真の停戦と復興を願います。

もくろみの秋かノーベル平和賞  風子
<春愁(地)>
目論見通りにはいかぬもの


・1点句

朝ぼらけ落穂を拾ふ山の鳥  寿美子
<風子(人)>
爽やかな朝の日差しの中、山鳥が落穂を拾う風景に癒されますね。

落穂とは喜捨とはものの情けかな」  素蘭
<寿美子(人)>
少し観念的と思いつつ同感します

難解な編み図に惑ふ夜寒かな  しゐ
<春愁(人)>
納得!!

夜寒急く犬と妻待つ午前様  春愁
<白馬(人)>
まだ元気ですね。