第38回句会桃李3月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:雛、泥、眠い(不言題)

春の句 雑詠または題詠
有言の題詠(その言葉を使う)
は「雛」または「泥」
不言の題詠(その言葉を使わずに、心を詠む)は、
「眠い」です。
3月15日(水)投句受付開始
3月22日(水)投句締切、選句開始
3月29日(水)選句締切、披講

投句: 重陽、旅遊、富章、木菟、葉子、ひとし、香世、省吾、暁生、悠久子、楽人、碁仇、登美子、雲外
選句: 碁仇、葉子、重陽、香世、省吾、雲外、暁生、楽人、登美子、悠久子

披講

・11点句

かわづの目うかべて泥田ぬるみけり  雲外
<碁仇(地)>
子供の頃を思い出してしまった。
泥田のあっちこっちに、蛙が目だけを出して浮かんでいるのだ。
蛙そのものではなく、蛙の目を浮かべたところがうまい。

<葉子(天)>
泥田にかわづの目が浮かんでいる、というのは、なんとなくシュールで、滑稽で結構でした。

<重陽(天)>
ユーモラスな光景がまざまざと浮んできます。

<楽人(天)>
「かわづうかべて」ではなくて、「かわづの目うかべて」というところが、見事だと思います。


・8点句

春泥の小径を拾ひ逢ひたさに  木菟
<香世(天)>
ぬかるみの歩きにくいところを選びながら、
恋人のもとへ。きっと、ちょっとばっかりこの恋路には
障害があるんでしょうね。誰かさんの句かなあ。

<登美子(地)>
このひたむきな恋!
30年前にタイムスリップしてしまいました。

<悠久子(天)>
春泥とは名は美しいのに、実態はきれいなものではない。
それでも、この句からは美しさだけが。


・6点句

瓔珞のかすかな揺れや雛目覚む  葉子
<碁仇(天)>
「眠い」不言題がついていなかったが、たぶん、そうなのでは。
「雛」と「眠い」の二つの題を同時にこなしている。それも、無理なく。
他のものが眠気を憶える春の静けさの中、雛だけが目を覚ますのだ。

<登美子(天)>
思わずうなってしまいました。
私が詠みたかったのもこれでした。


・5点句

春暁や人を恐れぬ猫の群れ  旅遊
<碁仇(人)>
恋猫の句にせずに、春暁の句にしたところがよい。
確かに、喧嘩等々この時期の猫はなかなかうるさい。
まあ、他人の恋路じゃなかった、猫の恋路は邪魔せずにおこう。

<雲外(天)>


<楽人(人)>
うちの近所の野良猫も、ふてぶてしいというか、図々しいというか…。


・4点句

わが腕ゆりかごにして春の昼  悠久子
<省吾(天)>
子供がようやく歩き初めたころ、嬉しくて天気の良い日は
あちこち連れ回し、帰る頃には疲れてしまい、
腕の中で眠りこけていたことを思い出します。
もう20年以上も前のことです。

<登美子(人)>
なんと平和な光景でしょう。
うららかな春の日差しが満ち溢れていますね。


・3点句

梅の香にさそい誘われ夫婦づれ  省吾
<暁生(天)>
どちらからともなく誘い合い・・・いい感じですね

靴少し重たくなりぬ春の泥  楽人
<葉子(人)>
近頃はアスファルトの道ばかり歩いているので、泥が靴につくような道はなつかしい。どこへでかけた帰りなのだろうか。靴は重くとも、心は軽いのでは。

<暁生(地)>
うれしいときなど、靴が重くなったことなど、何のそのです

ミモザの黄連翹の黄のローマかな  葉子
<重陽(地)>
ローマと二つの「黄」が呼応して絵画を見るようです。

<悠久子(人)>
黄色が好きな私はそれだけで、この句の虜になりました。
絵が見えそうです。


・2点句

朧月声も朧に響きけり  旅遊
<悠久子(地)>
月も朧、声も朧の春の夜の物語はどのような。
そういえば、朧月夜の君という方もありましたね。
それとも、花見の酔客同志が大声で?いずれにしろ、綺麗な句です。

鞭打ちになったこっくり春の午後  木菟
<香世(地)>
やはり、午後ですよね。横にはなれません。
することがありますから。で、座っています。
しかし、睡魔が......

鱈の身をほぐせば春月中天に  雲外
<葉子(地)>
その鱈はどのように料理されたものだったのでしょうか?お酒もすすみそう。

春暁や闇退かぬ庫裡の隅  葉子
<雲外(地)>


見てあればかんざしふるふよ古雛の  登美子
<楽人(地)>
目に浮かぶようですね。
それにしても、観察が細かい。流石です。

新郎も新婦も洗ふ春の泥  ひとし
<省吾(地)>
新しい夫婦が野良仕事か何かを終えて
揃って帰ってきたところのような様が浮かんできます。
何となく良い雰囲気を感じます。


・1点句

校庭の春泥踏んで子ら巣立つ  暁生
<雲外(人)>


頼もしき背になり次男卒業す  香世
<暁生(人)>
我が次男も6年生だったこの1年間に、びっくりするほど伸びました

跳ねるなら天まで跳ねよ春の泥  碁仇
<重陽(人)>
に向かう躍動感がいっぱい!楽しい句です。

春の陽やゆらりゆらりと夢心地  暁生
<省吾(人)>
柔らかな春の陽を浴びると、本当にゆらりゆらりとしてきます。
川辺に寝そべって、青い空を眺めて時を過ごしたくなります。

陸橋の影淡くして春寒し  旅遊
<香世(人)>
ことしは、春が寒かった。曇り空の影はぼんやりしてます。
でもやはり春ですね。淡いんでしょうか。