第39回句会桃李4月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:花、入学、憂愁(不言題)

春の句 雑詠または題詠
有言の題詠(その言葉を使う)
は「花」または「入学」
不言の題詠(その言葉を使わずに、心を詠む)は、
「憂愁」です。
4月15日(土)投句受付開始
4月22日(土)投句締切、選句開始
4月29日(土)選句締切、披講

投句: 旅遊、葉子、若翁、登美子、暁星、香世、富章、重陽、楽人、暁生、木菟、省吾、悠久子、ひとし
選句: 旅遊、若翁、木菟、葉子、香世、楽人、暁生、登美子、重陽、省吾、悠久子

披講

・11点句

花冷えやワインの澱を透かしみる  葉子
<旅遊(天)>
憂愁というか、孤独感というか。ひとりぼっちだなあという感じが出ていて、心ひ
かれる句です。

<木菟(人)>
 ワインには澱があってもいいものでしょうか。日本酒をながいこととって置いた
ら、かびが生えて飲めなくなってしまいましたが。何もすることが無くて、覗いて
みてる、憂愁の感じはよく出ていますね。

<香世(人)>
花冷えの日、大事にとっていたワイン、夫婦で飲む。
なんかの記念日でしょうか。季語がぴったりです。

<登美子(地)>
大人の女性のしぐさですね。
多分ワイン色の薄物を羽織って
じっとグラスを見つめる様子が絵をみるようです。

<省吾(天)>
何かを思い何かを考えているときは、じっと見ているようでも
何も見ていないのかもしれません。

<悠久子(人)>
憂愁を楽しんでもいるような。真似をしてみたい、いいムードです。


・8点句

白子干一匹一匹に臓のあり  香世
<旅遊(地)>
小さな命。それを見つめる作者。感じいりました。

<若翁(天)>
おろしにレモンをかけて食しようとしました。
なるほど、なるほどと感じました。
調理する人の感慨なのでしょうね。

<重陽(天)>
一言でいって着眼が実に面白い句です。


・6点句

杏咲く丘にカリヨン響きけり  旅遊
<登美子(天)>
フランスかスペインか。行ったことはないけれど
明るい異国の風景が浮かんできます。

<悠久子(天)>
春らしい雰囲気です。
色も、音も。


・5点句

黒鯉が群れて春水昏きこと  葉子
<楽人(天)>
冬の水と違って、春水には生命力が感じられますよね。

<重陽(地)>
この句は実景でしょう。感じがでていて巧く詠んでいますね。

足わるき母を連れ出す桜がり  省吾
<若翁(地)>
歩くことの大事さは分かっちゃいるけど!
なんとか連れ出す家族の思いやりでしょうか。

<暁生(天)>
エライ!! 親孝行に「天」。実は、僕も車で母を・・・・。


・4点句

そぞろゆく母と娘の花衣  省吾
<木菟(天)>
 どうってこと無い風景ですが、華やかで平和で、それだけで幸せになりそう。

<登美子(人)>
いいですね。母と娘とが連れ立ってお花見なんて。
すれ違う人が振りかえって見たりして・・


・3点句

花嵐九つの鐘鳴り出でぬ  暁星
<香世(天)>
九つの鐘とは。謎めいていい句ですね。

花の雨たより間遠となりしかな  登美子
<葉子(人)>


<香世(地)>
忙しく過ごしている日々ですが、ふと友を思い出すことがあります。
とくに静かな雨の日。華やかに咲いた桜も今日でおしまい。

そこかしこ自在に咲けり野良の花  暁生
<若翁(人)>
名も知らぬ花のなんと多いことでしょう。
自在にがいいですね。

<楽人(地)>
自在に咲けりが良いと思います。

祈ること切に知りたし麦青む  悠久子
<葉子(天)>



・2点句

灌仏や甘露滴る肌の艶  楽人
<悠久子(地)>
甘露だから光る、のでしょうか。

花の雲ひよどりの眼を瞑らせて  ひとし
<省吾(地)>
どういう情景なのだろうと、ずっと心にひかかり続けている句です。

予備校の入学式あり晴れた日に  楽人
<木菟(地)>
予備校に入るのが難しくて、中にはそれだけで志望校に九割方入ったようなもの、
というほどの学校もあるらしいけど、ここはやはり暗い入学式をせめて晴れた日に
という思い入れでしょうか。

囀りや焦がるゝ想ひそのままに  木菟
<葉子(地)>


寒寺も桜のころにはにぎわいて  省吾
<暁生(地)>
桜の美しさや賑わいが、目に浮かびます


・1点句

廃校を照らす桜の灯しかな  葉子
<旅遊(人)>
山村を通りかかると、このような廃校を見かけることがあります。桜の季節にこの
ような廃校に出会うと、さびしさはひとしおというところでしょう。

淡々となりゆく恋や花の雲  悠久子
<重陽(人)>
憎い句ですね。花の雲がお見事です。

春座敷女房そろりと足伸ばす  香世
<省吾(人)>
「花の下」とか「花むしろ」にせずに「春座敷」としたところが妙か?

春の日や柳の葉をも輝かす  富章
<暁生(人)>
春の陽ざしと柳の緑の色調がともにやわらかく、春が輝いています。

せせらぎを鵜の目鷹の目物芽かな  重陽
<楽人(人)>
釣りをなさる方の作なんでしょうか?解禁日が近いとか?
語呂合わせになっているのが面白いですね。