第44回句会桃李6月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:鮎、梅雨、田植え(不言題)

夏の句 雑詠または題詠
有言の題詠(その言葉を使う)
は「鮎」または「梅雨」
不言の題詠(その言葉を使わずに、心を詠む)は、
「田植え」です。

6月15日(木)投句受付開始
6月22日(木)投句締切、選句開始
6月29日(木)選句締切、披講

投句: 富章、旅遊、重陽、戯子、好美、愛、裕美、めぐみ、未久、真由美、久美子、紗綾、妃呂乃、智子、千尋、麻美、和泉、美由紀、英子、梓、葉子、暁生、登美子、悠久子、池之端
選句: 重陽、戯子、葉子、香世、めぐみ、好美、木菟、暁生、富章、悠久子、松、登美子

披講

・10点句

枇杷熟れて夕べは雨と決まりけり  旅遊
<戯子(天)>
勢いがある。上五から中七への飛躍が、私には妙に納得できた。

<葉子(地)>
びわが熟れることと、夕方が雨と決まったということの間にどんな関係があるのか、という人もあるかもしれないが、ふしぎにこの二つが見事に結びついてなんともいい感じなのである。俳句にしかできない芸当か。

<香世(天)>
なぜ、枇杷が熟れたら雨と決まるのか。不思議です。
あるいは、左5は切れているのでしょうか。
独善的といえばそうですが、読者にかってな想像を投げ掛けたのでしょう。

<松(地)>
枇杷の色がうす暗がりの中で見えるように感じました。昔なら手を伸ばしてとったものを今は誰も食べないのでしょう。


・9点句

職退きし人かゆらりとあやめ見に  登美子
<戯子(地)>
初老男性の優雅な第二の人生を想像する。

<葉子(天)>
ゆらりとあやめを見るという表現がいい。もう時間に拘泥せずにすきなことができる人の余裕を巧みにとらえている。

<富章(天)>
職を退いて暇になった様子が「ゆらり」によくあらわれていると思います。
「人か」なので作者も同様の立場なのですかね。
寂しいような、ゆったりとして楽しんでいるような。

<松(人)>
読み手はたまたま暇モードの御仁か?ならいいのだけど。


・8点句

梅雨の闇盗人のごと老いは来て  葉子
<重陽(天)>
自然の潤い、成長を助長する梅雨も時にこのように感じるもの。 
人間の業か?

<木菟(天)>
 年はとりたくないものです。いつの間にか忍び寄ってくる老い、
誰もが経験しなければならないものだから、悲壮感はないけれども、
それだけにやるせない嘆きが、過不足なく伝わります。


 カラー写真のように鮮明な風景が浮かびます。素直に詠い上げた
佳句だと思います。

人*:若きらの一団白南風となり走る
 梅雨を吹き飛ばすような若者達のジョギング風景。季節感ピッタリだと思います。






天◎:梅雨の闇盗人のごと老いは来て
 年はとりたくないものです。いつの間にか忍び寄ってくる老い、
誰もが経験しなければならないものだから、悲壮感はないけれども、
それだけにやるせない嘆きが、過不足なく伝わります。

地○:沼を黄に染めて河骨群れ咲きぬ
 カラー写真のように鮮明な風景が浮かびます。素直に詠い上げた
佳句だと思います。

人*:若きらの一団白南風となり走る
 梅雨を吹き飛ばすような若者達のジョギング風景。季節感ピッタリだと思います。


天◎:梅雨の闇盗人のごと老いは来て
 年はとりたくないものです。いつの間にか忍び寄ってくる老い、
誰もが経験しなければならないものだから、悲壮感はないけれども、
それだけにやるせない嘆きが、過不足なく伝わります。

地○:沼を黄に染めて河骨群れ咲きぬ
 カラー写真のように鮮明な風景が浮かびます。素直に詠い上げた
佳句だと思います。

人*:若きらの一団白南風となり走る
 梅雨を吹き飛ばすような若者達のジョギング風景。季節感ピッタリだと思います。

 年はとりたくないものです。それでもいつの間にか忍び寄ってくる老い。
誰でもみんないつかは経験するものだから、悲壮感はないが、やるせなさが
しみじみ伝わってきます。

<登美子(地)>
本当はこの句、素通りしたかったのです。
でも心を掴まれてしまいました。
私もこの気持が分かる歳になったということですね。


・5点句

朴散華墓に明智の紋所  旅遊
<葉子(人)>
大望を抱きながら、失脚した明智の墓に大きな朴の花が散りかかるという皮肉、哀れさもある。

<悠久子(人)>
朴の花の大きな白い色と香を思い出しました。
朴の花を愛する詩人を思いました。
明智の紋がどのようなのかは知りませんが、似ているのでしょうね、朴の花に。

<登美子(天)>
悲運の武将の魂を弔うかのような「朴散華」が美しいですね。
深い木立に囲まれた静かな墓所を想像しました。

留守電に繋がるばかり梅雨じめり  悠久子
<重陽(地)>
苛立ちと虚しさが伝わる。

<香世(人)>
右5が付き過ぎのようにも思いましたが、よくある事なので
そうだ、そうだ、鬱陶しいよね、と一票を。

<富章(地)>
梅雨じめりと留守電ばかりが繋がってイライラしている所が
目に浮かびますね。


・3点句

かたつむり アジサイの下で 雨宿り  未久
<めぐみ(天)>


室内はコーヒーの香の梅雨最中  悠久子
<重陽(人)>
締切った屋内、湿気が香りを強く感じさせる。

<好美(地)>
サラリーマンって感じがしていつもには無いものなのでいいとおもいました。

噴水や葉擦れの音はあをき音  戯子
<好美(天)>
なんだかとてもすがすがしく思いました。噴水最近見てないな。

楽しいなあなたといっしょの雨宿り  真由美
<暁生(天)>
懐かしい昔を思い出します。思い出させてくれたご褒美に「天」!

梅雨晴やさざなみ三角にきらきら  登美子
<悠久子(天)>
最初から印象的な句でした。
「さざなみ」という言葉が好きなのと「さざなみ三角」のリズム、それに「きらきら」の音。
絵としても明るいイメージです。
若い方の句でしょうか、それとも?

我が場所はここぞと匂う栗の花  富章
<松(天)>
いささか舌足らずのかわいい句の最後にこんな枯れたのが、とチョットびっくり。この存在感、ありがたいですね。


・2点句

花火見に 一緒に行きたい あの人と  久美子
<暁生(地)>
願いが叶うことを祈っています。

海で飲むビールはかなりうまいんだ  英子
<香世(地)>
素直な句は、紋切り型でない以外性がほしいですね。
私は断然ビール党ですが、なぜか海でのビールの味は知りません。
そうか、うまいんだ。

波打ちて鮎は緑の皿の上  悠久子
<好美(人)>
この緑のされの上とはどういうことなのだろうか?やっぱりこのあと食べられてしまうのだろうか?ちょっとこういう言葉で表すと少し残酷。

<登美子(人)>
おいしそう!
跳ねるような鮎の姿が鮮やかです。

沼を黄に染めて河骨群れ咲きぬ  旅遊
<木菟(地)>
 カラー写真のように鮮明に写し取られた風景。それだけで心に残る
佳句だと思います。

若きらの一団白南風となり走る  登美子
<木菟(人)>
 梅雨空を吹き飛ばす若者達のジョギング風景。遠い青春時代が蘇る
ような。
 

<富章(人)>
白い運動着の中学生かな?爽やかですね。

初恋や貝のピアスの冴えにけり  池之端
<悠久子(地)>
爽やかさと「海の響き」です。


・1点句

暑い日に 日差しを見付けて 僕は咲く   好美
<暁生(人)>
どんな花が咲くのでしょうか?

六月や早苗のひげの吹れをり  重陽
<戯子(人)>
東京育ちの私には、残念ながら「早苗のひげ」は発見できない。
だからこのような句は私には到底作れない。
上五は迷うところだ。早苗と六月はあたりまえすぎるのか、ううーむ。