第45回句会桃李七月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:海、山、北国(不言題)

夏の句 雑詠または題詠
有言の題詠(その言葉を使う)
は「海」または「山」
不言の題詠(その言葉を使わずに、心を詠む)は、
「北国」です。

投句: 好美、やんま、暁星、富章、葉子、重陽、旅遊、未久、愛、裕美、めぐみ、紗綾、梨英、妃呂乃、美由紀、英子、和泉、智子、千尋、真由美、久美子、麻美、香世、省吾、登美子、悠久子、池之端
選句: やんま、重陽、香世、葉子、碁仇、省吾、木菟、暁生、絵馬、悠久子、登美子

披講

・9点句

痩せ猫と昼寝の僧の細きすね  葉子
<重陽(天)>
俳味があります。痩せ猫と細きすね、そして昼寝とても良い感じです。

<香世(地)>
猫は俳句によく登場しますが、痩せ猫は少ない。
それが、僧と昼寝する。僧も痩せている。なるほど。
貧乏寺なのかな。

<省吾(地)>
野良猫さえ逞しく、世俗に溶け込んだ僧侶の目立つこの頃において
この様な風景は近くでみかけるには苦しい状況ではありますが
やはり、猫と僧侶は細いほうが良く似合う、と私が言えば
誰か笑う人がいるかも。

<木菟(地)>
 痩せと細と、似たような表現を使い分けたあたり、押しつけがましい感じもありますが、見たことはないのですが、お寺の雰囲気がさもありなんと納得できます。

羅や畳紙ほのかに香りゐて  葉子
<木菟(天)>
 むかし、一年ぶりに着る羅を広げたときの、何とも言えない良い匂いを懐かしみました。畳紙とか、ふだん和服を着る人が居なくなって、忘れていた言葉を思い出しました。

<絵馬(地)>
さりげない詠みぶりですが、なんと粋な句でしょう。
作者が夏の句会に出かける場景と(勝手に)とりまして
こちらもよい気分となりました。
 
  夏の会艶な人見て句を忘れ  絵馬

<悠久子(人)>
羅を涼しげに着ている人も素敵ですが、畳紙から取り出している人も絵になりますね。
香袋からの移り香も。
広い日本間と庭と、そして簾がほしいと思います。

<登美子(天)>
美しい句ですね。
羅を涼しげに着こなして畳紙を広げている女性・・
畳紙がほのかに香るのは匂袋でも入れてあったのか。
絵のようですね。


・8点句

サーファーに海傾きて入道雲  やんま
<香世(天)>
すぐに天ときまりました。素晴らしい。シャープです。
いわゆる俳句の世界から抜けた感じがとてもよい。

<暁生(地)>
いい絵ですね

<悠久子(天)>
「海傾きて」が効いています。
絵か写真にありそうな、いかにも夏らしい風景ですね。
本当はサーファーが傾いているのに。


・7点句

十薬や間遠になりし友の文  旅遊
<葉子(人)>
疎遠になりつつある友との関係が、あまりよい匂いではない十薬によって巧みに表現されている。なんだか雨も降っているように感じもするのは、ふくらみのある句というべきか。

<碁仇(天)>
十薬の花を見て、友の健康のことをふと思ったのでしょう。
ちょうど良い付き具合だと思います。

<絵馬(天)>
十薬はドクダミ。毒を矯める意。
梅雨時にぱっとしない花を咲かせますが、俳句では、結構詠まれます。 
たとえば、川端茅舎に

 どくだみや真昼の闇に白十字 茅舎

の句がありますね。この句の十薬は、日陰ものでありながら、俳句の中で
突如として輝きを得ています。日常の目立たぬ草木を題材にするのも
俳句の本領。

さて、「間遠になりし友の文」ですが、「十薬」との配合には、なにか
はっとさせるものがあります。 
日頃音信がなく、普段は気にも留めていなかった人の思わぬ手紙に
驚いた気持ち、懐かしさと共に、すこし異様な感慨も交じった、複雑な
感情が「十薬」にこめられているようです。


・5点句

ほのにほふ扇子のかたをみやりけり  重陽
<省吾(天)>
実に良い雰囲気であると思う。
でも、実際には大胆にも「みやりけり」とは行かないだろうし、
みやらずにいたほうが、ずっと楽しい気持ちで居られると思う。

<登美子(地)>
ほのかに香る扇子を使っているのは
もちろん和服の女性?
静かに風を送っている様子が美しいです。
きっと私でも見遣るでしょうね。


・4点句

荒梅雨や崩れし髷は負相撲  旅遊
<葉子(天)>
負け相撲をまげが崩れたことで表現しているのがうまい。荒梅雨もその情景にぴったり。

<木菟(人)>
 頭をつけて勝った業師の、むしろ勝相撲が崩れた髷に似つかわしい気がしますが、勿論勝負は時の運、こんなことも多々あるでしょう。相撲好きにはこたえられない句です。


・3点句

蛍火のとぎれとぎれて闇のいろ  重陽
<碁仇(地)>
私の家の近くの川には蛍がたくさんいて、6月の晴れた夜には、夕涼みがてら
その河川敷を散歩する事にしています。いわれてみればなるほど、闇にも色が
有るような気がしますね。

<省吾(人)>
蛍を観たのは何時のことだっただろう。
蛍ときいただけで比較的最近観たような気になっているが、
こんな風景はもう何十年も観ていないはずだ。
そう思うと無性に観たくなってきた。

海彦と山彦がゐる走馬燈  悠久子
<葉子(地)>
若い人は走馬燈って何?というかもしれない。第一海彦や山彦の話も知らないかも。でもこういう句に出会ってその世界を知ってみるのもいいのでは。年輩の人は郷愁を感じるだろう。

<碁仇(人)>
懐かしい祭りの風景を思い出しました。
祖父に手を引かれて、アセチレンランプの明かりの下を...。

海行って でも見てるだけ泳ぎたい  智子
<やんま(天)>
はい、おじさんも立派な金槌ですよ。
金槌って分かります?
おじさんはね頭が金槌だから泳げないんです。
見てるだけの人大好きです。

山の端で暑さにためらう月の顔  省吾
<暁生(天)>
お月様はすずし顔が似合うよね


・2点句

かき氷頭キンキンつらいです  麻美
<やんま(地)>
鼻の上、眼の間、ツーんと来て、ンーと唸る。
これたまらないエクスタシー。
おじさんて変かなあ。

洗濯機三杯分の帰省かな  香世
<重陽(人)>
躍動する若々しい姿が素直に詠まれていて微笑ましい。

<絵馬(人)>
「洗濯機三杯分」とは大袈裟のようにも聞こえますが、実際に
それくらいになるかもしれませんね。
詠み手は、帰省する側よりも、迎える側ととるほうが良いでしょう。

夏休みに寮あるいは下宿から戻った息子を迎えた母親、
あるいは単身赴任の夫を迎えた妻、
の気持ちが、にユーモラスに表現されています。

もっとも、女権拡張の当節では、帰省する娘を迎えた父親、
単身赴任の妻を迎えた夫と解釈する方が俳になるかも(^_`)

ドア閉めて街の炎暑を断ち切りぬ  登美子
<悠久子(地)>
ありますあります、この情景、この気持。
街の異常な暑さを、ほんの少しでも建物の中へ入れてはならじと。

夏祭り互いの浴衣にときめいて  千尋
<重陽(地)>
祭りと浴衣、非日常が二つ重なって・・。ときめきが伝わってきます。


・1点句

波乗りの焼けた素肌に一目惚れ  千尋
<香世(人)>
素直でいいですね。そんな日もありました。はい。

花火燃ゆ人燃ゆ山の湖に  悠久子
<登美子(人)>
海ではなく山の湖での花火大会って新鮮ですね。
花火が打ち上げられるたび、
見物人たちも花火の色に染まるんですね。
楽しいです♪

夏の夜虫も囁く暑いとね  美由紀
<やんま(人)>
俳句の競争会で句会というのがありますね。
そんな場所ではいい夏日ですね、
って暑さも余裕で楽しんじゃう訳。
雨だろうが雷さまだろうが楽しいのね。
>夕立や、やんまおやじが濡れ歩く←これ楽しんでる。
囁やっ句の君へ/つぶやっ句のやんまより