投句: | 冬月、葉子、重陽、天藤志織、旅遊、木菟、香世、絵馬、暁生、碁仇、登美子、やんま、悠久子、ひとし、省吾 |
選句: | 葉子、碁仇、やんま、天藤志織、千両、暁生、木菟、重陽、登美子、冬月、香世、省吾、悠久子、愛、絵馬、ひとし |
夏泊まり重ねし吾子は日の匂ひ 絵馬
床屋過ぎ豆腐屋を過ぎ虫の闇 天藤志織
夏休み祖国に往くと、老司祭 絵馬
その道は幾筋もあり秋の瀬戸 悠久子
幼子の手に空蝉の透けて見ゆ 香世
空蝉や主ありし日の網代垣 重陽
滝壷や松の樹幹も洗はれて ひとし
まだ知らぬ明日の出会いに髪洗ふ 香世
青空に無心の雲や原爆忌 葉子
潮騒の音さはさはと昼寝かな 絵馬
ここにいま恋ふ人もなき木下闇 木菟
夏風邪に放浪の夢遠のけり 香世
我もその一つなるらむ万灯火 旅遊
毀たれし小学校跡青銀杏 登美子
遠雷を父の小言のごとく聞き 葉子
星流るトトロの棲める樹幹へと 天藤志織
大木を抱くが如し蝉の殻 碁仇
古里を覗きに来たら山椒魚 やんま
空蝉の飴色胸に飾りたき 悠久子
空蝉の転び果てたる夕べかな ひとし
空蝉や戻らぬものを待ち侘びて 碁仇
終戦忌はるかに父の齢超え 登美子
蝉時雨今年はなかぬと母の言う 省吾
空蝉をつぶして匂う深き闇 冬月
赤く出て白く沈めり夏の月 旅遊
夏草に道閉ざされてしまひけり やんま
ふるさとの定義なくして盆の月 冬月
去る人を追わず見ている遠花火 葉子
いつ帰る電話の向こうの蝉時雨 省吾