第55回句会桃李2月定例句会披講

選句方法:天地人方式(各3、2、1点)
兼題:鶴、ビル、宇宙(不言題)

冬または春の句 当季雑詠または題詠
季題:「鶴」 キーワード題:「ビル」 不言題:「宇宙」
2月15日(木)投句受付開始
2月22日(木)24時 投句締切、翌日選句開始
3月 1日(木)24時 選句締切、翌日MLで合評開始
3月 3日(土)24時迄 MLにて作者名を伏せたまま合評
3月 4日(日)披講

投句: 旅遊、遊糸、千両、葉子、顎オッサン、洗濯機、登美子、灯心、夜宵、やんま、賢次郎、海斗、あずき、素蘭、木菟、重陽、晴雲、悠久子、香世、とびお、明子、星麿☆、しゅう、頼髪、省吾、七梟、若芽、冬月、めだか、富章、絵馬
選句: 星麿☆、やんま、葉子、海斗、重陽、顎オッサン、千両、七梟、あずき、旅遊、樂子、晴雲、灯心、香世、木菟、とびお、めだか、洗濯機、絵馬、暁生、明子、しゅう、悠久子、登美子、梓、冬月、頼髪、素蘭、富章

披講

・12点句

草餅を買いて真昼の汽車に乗る  省吾
<やんま(天)>
私と違うところはビールではないところだ。真昼の悦楽、一直線に西に向かって行く。

<晴雲(天)>
草餅のお好きな方のところへふらっとお出かけになる風光る春昼。車を降りて、そんな小さな旅がしたくなる季節ですね。

<とびお(天)>
草餅はきっとキオスクでなくてどこかの和菓子屋で求めたのでしょうか。
はやる気持ちと、乗る前の寄り道の弾んだ気持ちがすてきです。

<めだか(天)>
旅の途上。ローカル線の日常のひとこまでしょうか。
いずれにしてもこの草餅は、真昼の空いている車内でいただきましょう。
お茶ももちろん手元に。出かけるのではなくて、帰るのである。朝早く家を出て、町での所用も済んで、とくれば、駅前のあの和菓子屋の草餅を買わずにはいられない。
「草餅を買ってお昼に汽車に乗りました」との違いを考えているのですが…、

桜時冥王星へ行ったきり  しゅう
<やんま(人)>
さても遠くまで行ったものである。

<千両(人)>
 なんか、よく判らないのだが、インパクトがあった。
 さくらの樹の根本には死体がうまっていると言う。と、いう。潔さだろうか?

<洗濯機(天)>
NASAが飛ばした惑星探査機があったのでしょうか.とっくに忘れてしまっているので,
とぼけた味だけ残って面白い.世に「鉄砲玉」といわれる人種もあり,駅前の「冥王星」を
皮切りに太陽系を一巡しないと帰れないのかも.
また「木の芽時」という言葉もあるくらい,これからそわそわしてくる向きもある.

<絵馬(地)>
これまで句会桃李にはこういう句が少なかったので、新鮮さを取りました。
冥王星のような遠くのものを、地上の人間の放浪癖と結びつけたところ、
取り合わせになんともいえぬおかしみと軽快さがありますね。
宇宙の不言題詠から、どうやら、桜と冥王星の結合という新しい詩情が
生まれたようです。

<登美子(地)>
口語体がむしろ魅力で。
誰が冥王星に行ったのか。
もしかしたら冥界の意味か。
不思議な句。

<素蘭(天)>
桜と冥王星の対比が絶妙ですね。行ったきり帰らないのはハッブル望遠鏡でしょうか。それとも、冥王星はPluto・黄泉の国の神、桜の花の咲く頃に亡くなられたお方でしょうか。


・10点句

窓ふきの眼と眼があひしビルの春  絵馬
<葉子(地)>
いつもよくこわくないものだなあ、と見上げるビルの窓ふきの人たち。私はまるで蝉がとまっているようだ、と思うので、ビルの夏だったらもっと面白かったと思う。でも目があうというのはよい。瞬時に何を目で語り合ったのだろう。

<顎オッサン(天)>
都会のビル風は寒かろう。ガラス越しの人間臭さ。どこまで温かみがあるのだろうか。

<梓(天)>
たぶん、春先の模様替えで、ビルの窓を拭いている。まだ、風はさむいかもしれないけれど・・その窓をふいているひとガラス越しで目を合わせたのではないでしょうか。あるいはまどを吹いている人同士が目であいずしたのかな。いろんな情景が想像されて楽しいです。

<頼髪(地)>
「春」だからOKという感じがします。「お互い大変ですねぇ」という雰囲気。
「冬」だとライバル会社間の冷たい視線だったりして。


・9点句

朧夜へ踏出す異星の者のごと  洗濯機
<七梟(天)>
春の夜は何かが起きそうな心躍る感があり、いつもの町並みも違って見える

<とびお(地)>
朧夜と言えばもののけ。ほかの星から来た記憶が呼び覚まされる夜ですね。
レプリカントがベンチの座っているかも。

<めだか(人)>
「踏出」している脚の覚醒度が微妙で、くすぐられます。
うーん、だんだん、「朧夜へ踏出」せるのは「異星の者」しかないような気がしてきました。

<登美子(天)>
「異星の者」・・ぎょっとしました。
そう、我々だって宇宙人ですよね。
幻想的な朧夜がもたらした錯覚。

胡座かく鑑真和上長閑なり  七梟
<顎オッサン(地)>
苦労もいつかは報われる。そう信じたい小春日和である。

<灯心(地)>
鑑真和上の慈顔は春こそ相応しいと思いました。

<香世(地)>
高僧ほど見た人に安らぎを与えます。鎌倉長谷の阿弥陀如来象も胡座をかき穏やかで長閑でした。

<富章(天)>
この句をよんでまっ先に教科書に出て来た鑑真の木像を頭に浮かびました。
厳しい人生を歩んで来た鑑真の表情が下五の「長閑なり」でとても温和な表情になっていると
思います。


・8点句

雛どちは恋の噂に夜を更かし  葉子
<あずき(天)>
お雛さまは、雛祭りの少女たちかしら?春の夜のはしゃぎ声が聞こえてくるようです。とても楽しい句ですね。クスクスクス……

<灯心(天)>
春三月、なんとまぁ愉しい絵空事。

<梓(地)>
お雛様が語りかけてくるような感じが好きです。上手いなあ..


・6点句

その奥に叫んでみたよ冬銀河  やんま
<重陽(天)>
心の叫びと宇宙が呼応して・・。大きな句です。
何を叫んだのか!とても知りたい!

<頼髪(天)>
読者のスペースを確保してくれている句が好きです。
叫びたくなるような星空が見たくなります。
やっぱり季節は冬ですね、光束が引締まる。

春の坂てんてん地球儀天球儀  洗濯機
<海斗(天)>
ユーモアがあり、何度も読み返した句です。
”てんてん”がとても良い。
てんてんてんまりが春の坂を転げ落ちて行く危うさ、どこへ行ってしまうのか
見届けたい思い。
気が付けば、まりは地球儀・天球儀へと形を変えている。
そんな幻想的な場面を感じ、天としました。

<暁生(人)>
春らしい、軽やかでリズミカルな言葉の響きですね

<梓(人)>
手鞠歌のようなリズムが面白い。坂を下りていったらそれがそのまま地球儀のイメージになるところが何とも。

<富章(人)>
春はぽかぽかとして頭の中にも花が咲そうな雰囲気ですね。
春だとこんな風景も何となく信じられるというか許せてしまうような
そんな雰囲気が出ていると思います。

淡雪やビルの間(あわい)の風の澪  重陽
<木菟(天)>
なんと言っても、兼題を含めて、選ばれた三つの言葉の組み合わせが秀逸です。

<冬月(天)>
とても美しいイメージだと思う。風の澪は本当にビルにはあるように思う。淡雪を配したことも奏功している。

風邪の子の機嫌良きかな内緒言  香世
<星麿☆(人)>
お孫さんがおじいちゃんに耳もとで何か話し掛けてる感じ。
風邪も回復に近い状態で、多分、寝込んでいる間に仕入れたおばあちゃんの情報なのでしょうか?子供と思って甘く見てたら、結構聞き耳立ててたりして。(^^)

<重陽(人)>
微笑ましい光景が存分に詠まれています。
贅沢な希望ですが、「機嫌良きかな」が不言であれば更に深い句になったように感じます・・。

<千両(地)>
 なんとなく、暖かい布団が、放してくれないような、ほほえましい。

<あずき(人)>
風邪の子は、辛い症状を通過したようですね。まずいお薬と外遊びをもう少しだけ我慢したら、内緒のお約束の遊園地へ行けるわね。

<登美子(人)>
風邪だから寝ていなくてはいけないけれど
それほど重症ではなくて機嫌は良い。
ママを一人占めして内緒話。
なお機嫌が良くなる。楽しい。

ビル街の中の目印雛の店  悠久子
<樂子(天)>
いつも待ち合わせるあの店は様変わりしてしまいました。そういえばもうすぐ桃の節句です。あの、「雛のショーウィンドの前で待ってるよ」と、さっき夫からメールがありました。
 若い夫婦の、土曜の夜のデイトです。妻のおなかには新しい命が・・・
 こんな事を想像しました。 
   

<明子(地)>
無表情なビル街の一角にある、雛人形の鮮やかな色彩があふれるお店。
忙しく行き交う人達も、その店の前を通る時だけは柔らかい表情になるような
気がします。

<しゅう(人)>
3句目はいろいろあって迷ったが、雛の句では新鮮な感じがしたのでこの句を頂いた。

光年の彼方のとある雨水かな  洗濯機
<海斗(地)>
時間の流れとは何か、生とは死とは・・・との永遠の命題を考えているとそれは
いつしか感傷に変わってしまい勝ちです。
その感傷を雨水が癒してくれるのではないのか。
水は飲む為だけのものではないということです。
光年の彼方の雨水の音を私も聞いてみたい。

<めだか(地)>
時も空間も、過去未来に拡がるだけ拡がって「とある雨水」とは、どこ?
「彼方の」が少し気になりましたが、「光年」と「雨水」がうつくしい。ものすご〜く遠いはしっこのようでもあるし、すぐ近くかもしれない。天も地もなく雨だけが静かに降っているところも想像しました。

<冬月(地)>
こういうことも、将来あるかもしれないなと思った。星野之宣のSFコミックにありそうなシーン。吉本隆明がコラムで面白いことを言っていた。時間意識は未来に伸びるのと並行して過去にも伸びてゆくと。歴史が社会の夢の痕なのだとするとSFは社会の見ている夢なのかもしれない。

侘助や躙り口より別天地  晴雲
<葉子(天)>
躙り口から茶室の中に入ると、そこには小宇宙がある。おもわぬところに存在する静かな宇宙。面白い発想。侘助の花もきいている。

<絵馬(人)>
「侘助や」と切ったところに惹かれました。ありふれた侘助が、ここでは日常的世界を切り、茶の湯の別天地を開く小宇宙へと案内しています。

<悠久子(地)>
宇宙を詠むという難題をここまで見事に!
「天」に選びたいと迷いました。
茶室は一つの宇宙です、侘助はその象徴として似つかわしい花。


・5点句

塵までも我につながり春動く  顎オッサン
<木菟(地)>
 宇宙塵を取り上げた、時事問題が句意を広くします。一面何だか悲しくなるような。

<しゅう(天)>
春の斜めに差し込む柔らかい日差しは、白く塵を浮き立たせ、塵を連れて動くのを実感する事があります。ちょっと大仰な表現なのですが塵なので嫌味が無い。ただ、「塵までも」がもう少しすっきり表現できないだろうか。「春動く」が良かった。

月星はただ輝いてそこにあり  若芽
<暁生(天)>
なんだか哲人の句の雰囲気があります

<富章(地)>
月や星がただそこに輝いていると詠んでいるだけなのですが
「ただ輝いて」によって大昔から何も変らずに星が輝いているという宇宙の時間の流れの
長さを感じられました。

白梅の呼気あふれしむ闇夜かな  めだか
<絵馬(天)>
宇宙の不言題、今回は面白い句が多かったのですが、この句は、出題者の冬月さんが引用された長谷川櫂「俳句の宇宙」の内容に最も近いですね。
東洋のコスモロギーでいう宇宙は、現代の天文学で云う宇宙ではなくて、
この句で描かれたような、人間の直接経験に即しながらも、それをつつむ時空の
深い奥行きを意味します。この句の場合は、息づく梅花の馥郁たる薫が、
そのまま俳諧の宇宙を開示しています。

<素蘭(地)>
月も星もない真闇に吸い込まれてしまいそうな瞬間。底知れぬ静寂と孤独のなか自分ひとりの空間にかえるとき、白梅の香りが一層心に沁みてくるのでしょう。「はくばい」と読ませることで歯切れの良いリズムになっていますね。


・4点句

鶴の舞ふまぼろし残し春衣  木菟
<香世(天)>
夕鶴の話を、鶴、まぼろし、衣、と言う言葉で思い起こさせます。その着物を取り出す度に、思いが重なり、優雅で憂いのある装いになることでしょう。

<悠久子(人)>
「つう」を想うよりは「天女」を。
残された春衣は「羽衣」でしょう。
ただ、鶴と春衣は二つとも季語なので、気になりながらも、頂きます。

犬ふぐり笑い上戸が肩たたく  香世
<海斗(人)>
笑い上戸に肩をたたかれたいですね。
この笑い上戸を若い娘と見ました。
犬ふぐりは、綺麗ではないがとても愛嬌のある花ではないでしょうか。
色白よりも笑顔のほうが七難隠すと思っているのは、私だけではないで
しょう。
この笑う心が閉ざされることがありませんように。

<あずき(地)>
「犬ふぐり」は、本当に可笑しくて、恥ずかしい名前ですね。笑い上戸にその花の名前を教えてあげたら、きっとこのような光景があるのではないかしら?

<灯心(人)>
肩を叩いたのも叩かれたのも、共にふくよかなる中年女性に違いないと推察致しました。


・3点句

ビルの街春一番は擦過傷  あずき
<明子(天)>
春一番という風はたしかにちょっと暴力的です。ビル街だったらなおさらです。
それでもやっぱり春を連れて来る風、街にも人の胸の内にもかるい擦り傷を残すぐらいで
吹き抜けていく・・・。何だかとても納得してしまいました。

風呂水の沸く時で知る春の訪れ  若芽
<星麿☆(天)>
春って、自然現象で感じることが多いかなと思っていましたが、この句のように日常生活で感じることもあるのだなと、発見の句でした。(@v<)-☆

屏風絵の鶴も帰るか羽ばたいて  葉子
<悠久子(天)>
屏風絵とありますが、これが良いと思いました。
油絵では鶴も飛立たないようですし、日本画も小さい物ではじっとして居そうです。
広い雪原から鶴が舞立つ、羽ばたきの音すら聞こえそうで。

山と空の間おぼろや遠景色  登美子
<旅遊(天)>
「おぼろ」がよく効いていると思います。春の遠景はこの句で決まりという感じ
です。

神代より川流れ凍つ鶴の舞  冬月
<千両(天)>
 この句がいいと思うのだが、……。テレビでみた鶴の姿を思い出す。
 鶴など、まして、丹頂鶴の求愛のダンスなど、世が50年昔なら、
我は見ることかなわず北の果 であろう。
 しかし、TVで見た鶴は、見たことになるのであろうか? やはり、見た。
 ……のだろう。……なぁ。


・2点句

名のみ知る父祖の地に鶴越冬す  明子
<樂子(地)>
いつか訪わなければならないと思いつつ月日は流れて、もう、ン十代半ばになってしまいました。
今年、鶴は何羽来ただろうか、そう思うと矢も楯もたまらず旅支度をしたのでありました。

春灯り痩せた女のビルの窓  木菟
<重陽(地)>
この断片には、何かしら語りかけてくるものがあります。
「春」と「痩せた」が衝突してこれが何ともいえない妙味を・・憎い句です。

春の雲ビルより曲がる風の神  冬月
<七梟(地)>
ビル風という無機質的なものを『ビルより曲がり風の神』と心なごむ表現に惹かれました。

蝋梅のにおうがごとく春を生け  顎オッサン
<旅遊(地)>
「春を生け」がいいですね。

日に乾くボタンホールや冬の蜂  めだか
<洗濯機(地)>
洗濯物が乾くとしたら,当然生地の方からだから,ボタンホールが乾いたのならよほどいい天気.
突然現れた冬の蜂がボタンホールを足がかりにしてぶら下がっている.
ボタンホールに注目されたのは,細密な観察だと思います.

白に白の落款はねる兎かな  めだか
<しゅう(地)>
雪原の兎であろう。「落款」が魅力的だが、野兎の野趣に遠いような、格好良過ぎるように思って、選を迷った。でもとてもきれいなので頂いた。

今さらに一人で食べる鏡餅  富章
<星麿☆(地)>
少し季語からズレてしまいそうですが、何だか面白い句でした。思わず微笑む感じ。(^^)

鶴舞ふや二十五年といふ節目  遊糸
<晴雲(人)>
銀婚式のお祝い、おめでとうございます。鶴が舞ふような節目、羨望のまなざしで、選ばせていただきました。

<頼髪(人)>
リズムがいいなと思いました。

ビルの群言えぬ想いが漂いぬ  若芽
<暁生(地)>
なんとも言えない想いが伝わってきます

生涯を夢追ひかけて鳥雲に  遊糸
<旅遊(人)>
一瞬、我が身のことかと思いました。ところで「鳥雲に」は何を意味するのでしょ
うか。

<明子(人)>
鳥雲に、という季語の持つニュアンスが生きていると感じました。

仮の世の鶴かんばせを胸の内  灯心
<やんま(地)>
精密描写であり、観念描写を隠して妙なり。まこと鶴の美しさはこの世のものとは思われぬ。

如月や水漬く屍も抱き取れず  素蘭
<晴雲(地)>
いたましい、人為的な事故。同じくらいの子を持つ親として、この句とともによく記憶されることでしょう。奇跡のような一縷の望みを抱いて。

中空にいのち曝して鶴渡る  登美子
<葉子(人)>
鶴たちの危険な長い旅を思うと、「いのち曝して」は的確な表現だと思う。

<木菟(人)>
 あんな大きな鳥が「渡り」をするには、ずいぶんと危険がまとわりついているのでしょうね。


・1点句

薄氷や何を抱けるビルの街  頼髪
<素蘭(人)>
機能的無機的なビルに象徴される企業社会と、そこに働く人一人一人が抱くさまざまな思いや感情。両者の今の関係は薄氷に近いようにも思えてきました。

啓蟄やビル風に飛ぶ広告紙  遊糸
<七梟(人)>
啓蟄とビル風のギャップがおもしろい、土の中から出てくる虫とコンクリートに覆われたビルの街

鳥の目になってみようか摩天楼  晴雲
<香世(人)>
分かりやすくて、同感です。飛行機は苦手ですが鳥になって飛べるなら摩天楼や富士山の上も飛びたいですね。ただ、鳥目なら夜は苦手でしょうから、夜景は無理かな。

あの庭は鶴の置物ありにけり  悠久子
<とびお(人)>
なぜだか、不思議な句です。「あの」のせいだと思うのですが、その鶴のある庭に興味をそそられました。

時の旅終えて老人鶴を撮る  とびお
<顎オッサン(人)>
鶴は千年、人には人生というかけがえのない歴史あり。

冴ゆる星カーク船長号令す  頼髪
<冬月(人)>
こういう選び方は悪いんでしょうが、スタートレックが好きなので。

肉厚の手を逃れ得ず懐手  海斗
<洗濯機(人)>
「肉厚の手」というのは,柔らかく包み込んで,しかも逃がさない,大きな力を持った手です.
一見いやらしいような図柄ですが,不言題「宇宙」なので,何者も逃がさないその手は,
たとえば地球の引力なのでしょうか.あるいはその図は,大自然の大きな力の前には,
懐手をして身をまかすしかない人間のありようでしょうか.

ビル群に寒月嵌る夜明け前  灯心
<樂子(人)>
うんとこしょ、どっこいしょ!もうすぐ夜が明けるというのにどうしょゥ〜
人間たちはどうしてこんなに狭いところにまでビルを建てたのでしょうねぇ
それにしても私、あんまり星がきれいなもんだから、散歩してたらついついビルの間にまぎれちゃったのよ。   ヨーイしょっと!!あっ外れた!
人間たちが起き出さないうちに、帰らなくちゃ!?!?