投句: | 芳生、旅遊、巴人、元気、素人、英治、四万歩、鞠、郭公太、馬客、七梟、ぽぽな、冬扇、やんま、水、木菟、伊三、葉子、晴雨、眞知、梵論、柊、愛子、香世、庚申堂、登美子、旻士、徳子、素蘭、顎オッサン、省吾、明子、丹仙 |
選句: | 柊、巴人、郭公太、英治、顎オッサン、蘇生、芳生、やんま、香世、葉子、旅遊、冬扇、鞠、水、伊三、ぽぽな、馬客、梵論、四万歩、旻士、涼、悠久子、木菟、省吾、素人、晴雨、登美子、眞知、愛子、庚申堂、明子、素蘭、丹仙 |
母の膝たたみて薄し良夜かな 愛子
背に月を纏ひて帰る湯治かな 丹仙
子の塚へ影さしのべて夜のすすき 馬客
月並みの人生で良し赤のまま 素人
もの思ふらし子は月に窓閉ざす 登美子
満月や皿洗ひ機のひとりごと 香世
灯消し目をつむりても十三夜 鞠
照らされて銀に染めらる蕎麦の花 素人
たっぷりの水を硯に良夜なる 旅遊
指先に銀波遊ばせ秋の湖 愛子
旋盤の故障直らず月今宵 冬扇
月齢は佳し甘鯛の潮満ちる やんま
すれちがう湖畔の道や赤蜻蛉 省吾
金色を池に入れたり月今宵 伊三
戦中の青春縷々と寝待月 鞠
長き夜のどう直すとも月並句 芳生
宵闇の一塊の黒宮の杜 芳生
歳月の重きに沈む秋思かな 愛子
秋の夜にさやかに影をたまはりぬ 明子
秋の夜や語り尽くして天仰ぐ 眞知
秋日和ちと恨めしや月曜日 ぽぽな
色褪せし絵のない絵本月仰ぐ 明子
失ひし恋は映さず秋鏡 登美子
幼子の薄しつかり持ち帰る 柊
月極と大書されたる秋の空 梵論
月草に一露空を活けるかな 顎オッサン
月島へ秋灯明かくバス渡る 英治
歯の麻酔醒めゆく気配九月来る 明子
病棟の窓に溢るる夜半の月 徳子
二日月眉描くときは背を向けて 登美子
満月やうさぎアポロの靴を履き 顎オッサン
名月や人それぞれにけふの影 英治
秋の湖闇の孤舟の灯が点る 巴人
妖精のお喋り止まぬ三日月夜 郭公太
バスを追ふ月や釦の取れ掛けて 冬扇
マッチの火借りて香焚く秋彼岸 香世
提灯のいらぬ夜道や鹿ぞ鳴く 庚申堂
癌病棟赤き月見る柘榴の実 伊三
歌人の手垢まみれし秋の月 庚申堂
夢煌煌かぐや姫より落し文 やんま
酔ひ眩むグラデーションの月明り 梵論
月天心帰りそびれし吾を見る 素人
ひとりただ独り居て見る夜半の月 木菟
はなすすき雲に漕ぎゆくひかりあり 梵論
望月の影踏みをする子供かな 柊
クロワッサン朝餉に食べるおかしさよ 葉子
ミシン踏む足止め仰ぐ望の月 芳生
満ちずともすでに満ちたり月見酒 省吾
無月よし立小便の夢さめて 水
名月の裏は見るまい目玉焼く 水
写生帳買ひに出でたる良夜かな 旅遊
竹取の翁となりぬ良夜かな 顎オッサン
中秋の名月なればと酒買いに 葉子