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この句、名残の裏の初句にふさわしいと思いましたので、頂戴します。
去来の忌とは、旧暦九月十日です。秋の句であると同時に忌日の句は述懐の意味が込められますね。半世紀は、句の語り手が自分の人生の過ぎし日々を数えたということですが、同時に芭蕉も去来も人生五十年といわれた時代を生きたことを思い出させます。
半世紀は人の一生だけでなく時代の区切りにもなります。芭蕉やその直弟子たちがなくなった後、一時的に蕉風は衰退しますが、また半世紀経つと、三冊子や去来抄が出版され、それを機運として、芭蕉に帰れという運動がおこります。そういう様々なことを思いつつ、この句を頂戴しましょう。
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治定後、次の投句のあることに気づきました。
2 すたすたと渡りゆきたり銀杏散る 3 ふるさとの匂ひ懐かし柿揺るる 4 いはれなきいくさなき世を思ふ身は 5 世の移り遺跡に訊かむ露の寒
このなかでは5がよいですね。前句の飛天を承けて 敦厚などの大陸の仏教遺跡を偲ばせます。
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