桃李百韻投稿室

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七は「高みへと誘ふ花のかがよひて」
丹仙(103/3/30 21:23)

> 六  峠の茶屋の名代草餅       千種    仲春  食物
>
> に続く七句に次のように、たくさんの花の句が寄せられました。

1 見渡せば天竺までも花の波

大げさな表現ですが、フィナーレを豪華に演出しようと言う心でしょう。

2 花よ待て百万石のお出ましを

百万石というと加賀の殿様ですか。

3 湧き水にいちにち躍る花の影

奥深い山、人のいないところで花影が躍るという意匠は良いですね。

4 己が身を花にまかせて佇ちてをり

これも唯一人で、花の木の下に佇んでいるという感じです。西行のお墓にでもお参りした感じですね。

5 園丁のまどろみ覆ふ花吹雪

花守をやっている身として共感致します。

6 花果てになべて和めるアダージオ

アダージオですから園遊会でモーツアルトのディベルトメントがなっているという感じです。

7 老婆子(ろうばす)の先を古道の花に風
8 慇懃に老婆子(ろうばす)先を花の道

茶屋の婆さんに案内されたとの見立てですが、「老婆子」というと、なんだか中国の禅の古典に出てくる親切な老婆を連想しました。

9 信楽に文様をなす花吹雪
10 同行の笠もうれしや花明り

信楽は信楽笠。花見の茶店でやすむ「人」の風体でつけました。良い感じです。

11 又平の手振り面白花に酔ひ

これは、蕪村の書いた俳画を句にしたようです。

12 花吹雪翁の影も見かけたり

この翁は、ひょっとすると芭蕉かも知れませんね。

13 花浴びてダンスをさらふ翁と媼

こちらは、ややモダーンな情景にしました。

14 雲は猶流るものかは花の山

これは面白い句ですね。「花の雲」を詠むのに、本物の「流れる」雲との対比を使いました。

15 花誘ふ古往今来人の波

これも良い句です。ただ、初句に「去来」の文字があるのが残念です。

16 高みへと誘ふ花のかがよひて

この句には、なぜか西行法師の心を感じ、非常に印象に残りました。

17 花の友尋ぬる鄙の手土産に

これは名代の草餅を手みやげにした、という意味で内容的に前句に良くついていますね。

18 花見舟上り下りもゆるやかに

滝廉太郎の歌を思い出しますね。

19 踊り子の遠ざかり行く花ふぶき

こちらは祇園の都踊りのイメージでしょうね。

まさに花盛りでした。どの句も印象に残ります。これらの投句は桃李百韻興行の記念になりますね。
一句選ぶというと難しいところですが、前句の場が山類ですので、それにふさわしい花の句として

  高みへと誘ふ花のかがよひて    明子

を頂戴致します。  


[この記事の元になった記事です。 ]

名残裏七句募集(花の定座) : 丹仙(103/3/30 08:42)


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