桃李歌壇

目次 

桃里偶成

|卑|辞|行|耕|釈|絶|仰|晴|
|人|去|客|人|迦|景|嶽|来|
|不|既|外|倦|堂|問|経|早|
|是|還|人|客|上|尋|湖|発|
|信|街|花|庖|一|何|入|俗|
|玄|巷|客|人|望|処|一|無|
|公|裏|恫|逼|紅|在|宮|風|

[語釈]「晴来」やっと晴になって。
「嶽」富士山。「一宮」山梨県一宮。桃の名所。
「倦客」見物客の車で道が混んで邪魔なのを倦んでいる様。
「逼」突然の大勢の客に注文をこなすのに逼迫している様。
「外人」陶淵明「桃花源記」の一節「(ここのことを)外の人に言うに(及ばず)」   
に言うところの外人。
「恫」悲しみいたむ。

[作法]上平声一東押韻。平起式。


散文訳 (はる)

漢詩の読み方は、慣れていない方には難しいので、私が、梅足様にお聞きして
日本語訳を付けてみました。(あくまでも一つの読み方としてご覧下さいませ)

やっと天気が良くなったので、早朝出発しました。
俗世間(あるいは平地)は、(孤高の富士山頂とは違って)風もなく
山嶽を仰ぎ湖を経て一宮に入りました。
絶景は何処にあるかと問い尋ねて
釈迦堂上で紅に咲く桃の花を一望しました。
畑を耕す農夫は大勢の客にあきれ、レストランの料理人は忙しそう
観光客は所詮よそもの、花を愛する客人(である私)は(心ない人が多すぎるのを)
悲しみます
辞去して、もう甲府の繁華街に帰りました
卑しい人は、信玄公(のような高い志をもつひと)ではありません