初折表 発句 二学期やフェニックスに毬のりしまま （鞠） 脇 素き風吹く出郷の道 （絹） 第３ 月休む辰巳の空の雲去りて （有） ４ 出世も近し泳ぐボラの子 （はる） ５ 海舟を一人漕ぎゆく壮士あり （ひとし） ６ 還らぬ鶴に名負ふ高楼（たかどの） （みお） 初折裏 初 盃挙げて宇宙の旅の平安を （涼） ２ ここに極まる遠距離の恋 （絹） ３ 春の土堤等間隔の二人連れ （初瀬） ４ 川やなぎ似て肌の優しき （若翁） ５ 笑う山稜線空へにじみ出る （尚史） ６ 天賦才惜し墜つる青柿 （若翁） ７ 豊饒の海も渇ける月の夜半 （ひとし） ８ 新酒求めて駒を進める （尚史） ９ 敵討ち手代姿の密使なり （ひとし） １０ あわせ鏡に文字おどるふみ （粋人） １１ 母招く旅立ちに花はつぼみて （若翁） １２ 新発意（しんぼち）の身に辛い春暁 （尚史） 名残表 初 光輪に田螺這い出てご挨拶 （ひとし） ２ 草津に行かむ野に湯の湧けば （粋人） ３ 湖ひかる煙の先の十五の夏 （松久） ４ 彼方の雲ぞ何語るべき （永渕） ５ 大臣の首のすげ替え間違えて （ひとし） ６ 群鶏鳴けど見えぬ夕暮れ （粋人） ７ もののけの生きてはいけぬ闇浅し （松久） ８ 吉備津の釜に霊験祈りて （ひとし） ９ 願はくは比翼の鳥の夫婦なれ （粋人） １０ 共寝の枕は連理の秘抄 （はる） １１ 花伝書に寄する静思も良夜にて （粋人） １２ 高野の聖（ひじり）踏むは朝露 （ひとし） 名残裏 初 脚絆にも色あしらへる菊人形 （安寿） ２ 風は誘ふか夢の旅路へ （みお） ３ 馬並めし戦場（いくさば）遠き冬薄 （粋人） ４ 耕す鍬に日の新しく （みお） ５ 薄き紙花漉きこむる年賀状 （ひとし） 挙句 灰のひと撒き春は還りぬ （東鶴） |