1997/7/9-7/26
投句 |
作者 |
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発句 | 噴水や水が水打ち白熱す | 絹 |
脇 | 地の蹠(あしうら)に迫り来る夏 | 東鶴 |
第3 | 眼差しは雲抜けて天さまよふに | みお |
初表4 | お風邪召すなと狩衣をかけ | はる |
初表5 | 言はねども知る満願の月今宵 | 鞠 |
初表6 | 新酒で祝ふ我が世継なれば | ひとし |
初裏1 | 秋風裡(しうふうり)吾子の腋下のやはらかく | りう |
初裏2 | 敷くによしなき和草(にこぐさ)の上 | ゆう |
初裏3 | 初恋の片恋長し川暮るる | 絹 |
初裏4 | 夕漕ぐふねの鬢(びん)の残り香 | りう |
初裏5 | 饅頭の穴より覗く十六夜 | ひとし |
初裏6 | 電信柱に結へし手紙 | はる |
初裏7 | 最新のウインナワルツを鹿鳴館 | 鞠 |
初裏8 | 歓尽きし刻寒柝を聴く | 涼 |
初裏9 | 臘八も吉良の屋敷は高鼾 | ひとし |
初裏10 | 待ちに待ちたる今ぞ時機(とき)なり | 絹 |
初裏11 | 我もまた絶景かなと花煙管 | ひとし |
初裏12 | 太く短く春を謳歌し | 鞠 |
名表1 | 蕗の塔ほう解かぬ間に摘まれたる | みお |
名表2 | 訊ねずにおく胎の児の性 | 涼 |
名表3 | 心して青き地球を護らなむ | 絹 |
名表4 | 火星何ゆえ水の失せしや | みお |
名表5 | 田草取る眼に炎帝の赤々と | ゆう |
名表6 | トマト囓りし農夫セロ弾く | はる |
名表7 | 遠つ祖の燿歌に倣ひ夜もすがら | 鞠 |
名表8 | 琴抱き来たれ明日も桃李に | ひとし |
名表9 | すっぱりと髪を下ろして秋の霜 | ゆう |
名表10 | 干戈を余所に愛づる名月 | 涼 |
名表11 | 首塚も今は昔と桔梗咲く | ひとし |
名表12 | 連歌に偲ぶ天下人の夢 | ゆう |
名裏1 | 難波津の茂る葎を分け入れば | ひとし |
名裏2 | ここかかしこか五輪予定地 | 鞠 |
名裏3 | 日の丸の高く靡けば山笑ふ | ゆう |
名裏4 | 風に乗る鳥雪崩響きて | ひとし |
名裏5 | はらはらと花ひとひらの命なる | はる |
挙句 | 生まれ変りて春の糠星 | 絹 |