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微積分連歌:京祭

1997/7/28-7/29

「微積分」という言葉の意味を考えてみました。微積分法の創始者は、「一粒の砂に全宇宙が 宿る」と説いたライプニッツです。dy/dx と書くときの dx は「まさに発生しつつある量」と 呼ばれました。折句の一語に一つの連句が宿り、常に次の句への動態を秘めた、この連歌は 「予定調和」に導かれ、頭韻を連ねた折句、発句、挙句が三位一体となり、小宇宙を形作ります。 折句の一語一語が微分に、連歌がそれを展開した積分に該当します。

 

折句 (微分)

(積分)連歌 

作者

発句 梅雨に入る二十日の後の京祭 敬一
つゆ  揺らぎたる山万緑の鉾  東鶴
つゆあ  赤々とつれなき昼に彷徨えば 五十一
つゆあけ  けざやかなる瞳いとど恋ひしく みお
つゆあけて 天馬ゆく月の砂漠をまっしぐら  はる
つゆあけてさ  三途の川も小さく霞む 敬一
つゆあけてさし 蜆掻く泥にこぼるる命かな 東鶴
つゆあけてさしの  野良声のしてふはと浮く鷺 みお
つゆあけてさしのぞ ゾクゾクとさせる私は雪女 はる
10 つゆあけてさしのぞく  久米の仙人震え落つるも 五十一
11 つゆあけてさしのぞくあ あんぱんの甘きを舐めて人心地 東鶴
12 つゆあけてさしのぞくあお  お礼の木の葉はらはら舞って はる
13 つゆあけてさしのぞくあおだ 誰がためぞ夜長に笛の渡りたる  五十一
14 つゆあけてさしのぞくあおだし  林泉(しま)の月影かはす盃 ひとし
15 つゆあけてさしのぞくあおだしの 残る蝉あはれとおぼせ綾鼓 東鶴
16 つゆあけてさしのぞくあおだしのひ  ひたすらに待て春来るまで はる
17 つゆあけてさしのぞくあおだしのひま   窓懸かる花に尋ねし祇園かな  五十一
18 挙句 梅雨明けて差し覗く青山車の隙   ほのかに見えし舞子紅ひく 東鶴

微積分連歌第一作 京祭 満尾 1997/7/29