桃李歌壇  みお作品集

学生時代

それは 光に溢れ
スコールが降っても 暗く閉ざされること無く
悲しいメロディーの
軽く明るく流れる 日々であった

朝は毎日 コーヒーを飲み
芝に出した ビニルの椅子で伸びをした
午後には お茶を飲み
黄金の日が 朱に沈むまで見つめていた

だが何時か 島を去る時がくる
結局は 埋められなかった空白を
例えば 机の上に置いた
空のバッグと 重ね合わせる

せめて降れ スコールよ
空港まで30分の ドライブを
路傍の椰子も見えぬ 水の壁で包めよ
ブーゲンビリア 南洋桜を散らせよ