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歌仙風文学史:桜桃忌

1997/6/29-7/19

 

投句

作者

解説

発句 おうと憂き声のみ発し起きもせぬ みお 桜桃忌 太宰治
 サヨナラだけがぼくの人生 ばく グッドバイ 太宰治
第3 春雪を十日の菊と見しまこと  五十一 春の雪 十日の菊 三島由紀夫
初表4  業煮やすなり乾く川端 みお 川端康成
初表5 野邊縷々と聖人送る月寒し ばく  ノーベル賞 自殺した文士の
野辺の送り
初表6  糸緒の菊に幸おおかれと はる 野菊の墓 伊藤左千夫
初裏1 果敢なさは墓ある丘の渡し舟 みお 矢切りの渡し 野菊の墓
初裏2  師匠は口説く高座の蒲団 五十一 私小説 蒲団
初裏3 片田舎教師も逃げた山の里  みお 田山花袋 田舎教師
初裏4  空の浮雲双葉のあずまや  ばく 浮雲 二葉亭四迷
初裏5 仕官せぬ武蔵の望み独歩かな 五十一 武蔵野 国木田独歩
初裏6  椚(くぬぎ)誰が為忘れ得ぬひと ばく 忘れ得ぬ人 国木田独歩
初裏7 青猫も蝶を夢見る朧月 五十一  青猫 蝶を夢見る
初裏8  萩原何処がまず咲くだろう みお 萩原朔太郎
初裏9 あたふたと歌よ未熟な指揮に添へ ばく 歌詠みに与ふる書 子規
初裏10  書を下っさい肺は小康 みお 獺祭書屋俳話 子規
初裏11 蘆の花浪に揺らぐや不如帰  五十一 不如帰 浪子  徳富蘆花
初裏12  篤とみみずのたはごとを聞け  みお みみずのたわごと 徳富蘆花
名表1 眼見えずも春に琴の音授けたる はる 春琴抄 佐助
名表2  谷咲くつばき純一なる路  ばく 谷崎潤一郎
名表3 行人ぞ失せきナツメに降る明暗  みお 行人 明暗 夏目漱石
名表4  原始の雷鳥迷ひし梅園  ばく 煤煙 平塚雷鳥
名表5 僧兵は森だ奴卑らよ柄に手を  みお 森田草平 平塚雷鳥
名表6  乱れ髪梳く紫の上  はる 乱れ髪 紫
名表7 秋来むと恋衣敷く濡落葉  五十一 与謝野晶子 恋衣
名表8  ススキそよげば田に泣く菫  ばく 薄田泣菫
名表9 大和路を遙かに望む神無月  はる 薄田泣菫の詩の一節
名表10  寒の薔薇には間あり明け六つ みお 蒲原有明
名表11 牡蠣殻や玉兎に焦がる深き海  ばく 蒲原有明の象徴詩の一節
名表12  遠くにありて思ふ故郷  五十一 室生犀星の新体詩の一節
名裏1 室生寺の虫は最盛目覚め頃  みお 性に目覚める頃 室生犀星 
名裏2  遊子悲しむ夜明前にて  ばく 千曲川旅情の歌 夜明け前
名裏3 蕗のとう摘む村娘蓮華寺に  五十一 島崎藤村 「破戒」の冒頭部
名裏4  野の田を走れ火で消えぬよう  はる 野田秀樹
名裏5 鳥の撒く花のワルツか羽ばたける みお 花のワルツ 川端康成
名裏6  王が射とめし舞姫のごと 五十一 舞姫 森鴎外