701 > ほの白き月を櫛に花飾り わが背の君はいづこにいます (吉美)(8月10日 22時57分) 702 > 我が君に捧げしえだは蓬莱の 月の宮より今宵かえらむ(月下美人/月影) (8月11日 16時13分)703 > 宵風は水のごとしも流れゆく雲に桂の円葉さやさや (堂島屋) (8月11日 17時59分)704 > ながらへて花に涼しき風ふけば ほの揺らぎけり雲の峯々 (吉美) (8月12日 14時54分)705 > 峰ゆかばさやかにかほるまつの風 仰ぐそらにはくもが旅せり (たき) (8月14日 23時47分)706 > わが懸けし埴摺りごろも今もかも吾を待つらむか濱松が枝に (堂島屋) (8月16日 12時46分)707 > 松が枝の香りを今に残せるかパシフィックホテル跡のマンション (志織) (8月16日 22時48分)708 > はるかなる海の潮の音聞こゆるか目覚めの朝をひろげて見ゐる (吉美) (8月17日 12時04分)709 > 空耳にひとり覚めたりけふけふと待つは赦しの舟の櫂の音 (堂島屋) (8月17日 12時27分)710 > 空耳と思えど風に鳴き渡る南の便り熊蝉の声 (志織) (8月17日 22時56分)711 > 恩師ありき授業も夢の学舎(まなびや)は蝉のしぐれの通奏低音 (吉美) (8月18日 07時08分)712 > 大學は一宇あまさず焼くべしと唱へし君は教授となりぬ (堂島屋) (8月18日 12時49分)713 > 冷や奴うち崩したる卓のうへ父はまもなく焼かれゆくなり (吉美) (8月18日 14時39分)714 > 入道雲うち崩したる姿にて平和な里の夕暮れとなる (志織) (8月18日 20時24分)715 > 夕立の里を掠めて往きにけりひとふき風の頬をぬらして (吉美) (8月20日 20時33分)716 > 頬ぬらすものは夕立だけでなくつれなき言の葉にてもあるらむ (志織) (8月20日 20時50分)717 > 虹淡く淡くたなびく夕空へ昨日の君が浮かびては消ゆ (堂島屋) (8月21日 17時40分)718 > 虹というは虫のしわざとそのかみの伝説思う雷過ぎしあと (志織) (8月21日 23時16分)719 > 蜘蛛の巣の破れ残りし糸の端に白露かかるネックレスのごと (小梅) (8月22日 13時39分)720 > 白玉の露に宿れる月影をかへりみすれば蝕はじまりぬ (堂島屋) (8月22日 18時27分)721 > 祇園会に三日月となる夜のふしぎ南蛮屏風飾る座敷も (吉美) (8月22日 18時42分)722 > 三日月の船そのかみの南蛮船救いに出でよ海底の悲劇 (志織) (8月22日 22時42分)723 > 敷島の大和島根に打ち寄せる一つひとつの波も悲しく (紫水) (8月23日 00時03分)724 > 大和路の歴史を映す青空にまばゆきばかり百日紅炎ゆ (志織) (8月23日 21時43分)725 > LEAN & SLIM 1945の皇軍兵士 百日紅のやうな手足を反らせ (堂島屋) (8月24日 13時01分)726 > すめらみことの人となる朝は凍れる寒紅の遊女の唇 (幸夫) (8月24日 15時17分)727 > 国境の川を越ゆるという朝の寒紅こころもち濃く引きぬ (志織) (8月25日 23時05分)728 > 歩む人絶えたる朝(あした)音もなくただしんしんと降り積もる雪 (小梅) (8月26日 15時52分)729 > 雪印工場出荷再開しなお濃くのうぜん百日紅の花 (志織) (8月26日 18時21分)730 > マグマ荒れ日本列島揺れ動き地震情報しきりと流る (小梅) (8月26日 21時47分)731 > 何事もなくすじ雲の流れたり大和しうるわし安らぎの国 (志織) (8月27日 18時25分)732 > ひいふっと扇射ぬきし鏑矢の音よ戦記のかくうるはしき (堂島屋) (8月27日 20時18分)733 > 軒先の尺余のつらら夫ともに敵艦撃沈痛ましきかの日 (小梅) (8月27日 22時25分)734 > 指先を滴り落ちる血を見れば思い出したり子供の頃を (たき) (8月29日 23時43分)734 > 日盛りの外の暑さを知らぬげに富士氷穴に太りゆくつらら (志織) (8月28日 23時21分)735 > コメカミに滴り落ちる冷水の染み入るかほり目じりの滝 (耽空) (8月30日 21時24分)735 > キャベツの葉指に触りてキャベツと云ふ丸き形を知らぬが故に (小梅) (8月29日 07時30分)736 > 菜を洗ふ手のぬくもりに返り見る 夫は写真にほほえみてあり (小梅) (8月30日 22時03分)736 > 甘藍を飽くまではみし記憶もち胡蝶息づく吾が指さきに (堂島屋) (8月29日 09時33分)737 > 夏休みの写真の中に句読点のような蜻蛉を舞わせていたり (志織) (8月30日 22時47分)738 > 写真にも残らぬ友の何となくいつも泣き顔なりし心地す (堂島屋) (8月31日 12時52分)739 > あと数時間命保つか露草は朝日浴びつつ紫の濃し (小梅) (8月31日 15時24分)740 > 色づかぬあじさいの花日の差さぬ片隅にありて生命永らう (ごろう丸) (9月1日 21時55分)741 > 秋風の生まれてきたる切通し忘られしごと残る額の花 (志織) (9月1日 22時29分)742 > 盛り上がる入道雲も見ず過ぎてはや虫すだく秋は来にけり (小梅)(9月2日 20時43分)743 > 入道雲育たぬうちに流されて秋雲のひとつに混じりたり (志織)(9月2日 23時56分)745 > 野も山も熱ひくがごと澄みきりて高々仰ぐけさの絹雲 (堂島屋)(9月4日 09時31分)746 > ちぎれ雲白く尾を曳き消え去りて群青の空果てなく続く (小梅)(9月4日 10時20分)747 > 果てもなき流竄の旅のつれづれに詠み捨てし歌なり吾が歌は (堂島屋)(9月4日 12時57分)748 > 橋桁に杖ひく人の寄りかかり群がる鴨にパン屑投げおり (小梅)(9月4日 20時55分)749 > 気がつけば友と呼ぶべき者もなく多感の五十路を一人迎えぬ (ごろう丸) (9月4日 22時56分)750 > 音読を繰りかえしつつひたすらに険しき旅せし芭蕉をしのぶ (『奧の細道』を読みて 小梅)(9月5日 12時37分)751 > ばなな輸入卸を業とせし祖父はつねに問ひにき芭蕉好きかと (堂島屋)(9月5日 19時27分)752 > ほっかりと目覚むる朝のひと時は夢の名残か祖父の背見えて (小梅)(9月5日 19時42分)753 > 起き抜けに鍾子期の名呼ぶ三年の年月を経てなお君を呼ぶ (伯牙)(9月5日 23時09分)754 > 起き抜けに夢の中にて見しはずの噴火を紙面に見つけ驚く (志織)(9月6日 00時20分)755 > 起き抜けの夢にニュースの紛れつつオットー・フランク逝去すと聞く (堂島屋・回顧)(9月6日 09時31分)756 > また一つ語る人去り戦争も 夢の話と変わる日近き (かおる)(9月6日 11時13分)757 > シュタウフェンベルグの夏も酷暑なるや戦記戦史は黙して語らず (ごろう丸) (9月6日 19時43分)758 > 極暑の海深き淵より叫びたる声とどかぬか この平成の日に (吉美)(9月7日 12時45分)759 > 昭和知らぬ子はすくすくとなよ竹の世を渡りゆけ吾が見ざる世を (堂島屋)(9月7日 18時06分)760 > おのが背を遙かに越ゆるリュック負ひ海の家へと孫旅立ちぬ (小梅)(9月7日 18時25分)761 > リュックからはみ出している北限の雑草という確信犯よ (志織)(9月8日 23時54分)762 > 雨足は俄につのり窓撃てば雀飛び立ち押し戻されぬ (小梅)(9月10日 18時00分)763 > ちちのみの父と思ひぬ降り出した雨のにほひに交じる潮騒(ぽっぽ)(9月10日 18時14分)764 > 爽涼の崎へだつとも小波に君をばゆかし思ふはやわが(重陽)(9月10日 18時21分)765 > 爽涼の崎は時折り大波を交え噴火の島と向き合う (志織)(9月10日 18時29分)766 > この島は空の島なり鳥渉る茜の雲に出船入り船(ぽんち)(9月10日 18時58分)767 > つやつやの大きなトマト切りかねて過ぎゆく夏を惜しむこの朝 (小梅)(9月11日 13時29分)768 > こきこきと缶切り開けて伊太利亜の完熟トマト潰してをりぬ (堂島屋)(9月11日 18時49分)769 > スパゲッティ茹でゐる孫の傍らに並べば伸びたる丈に驚く (小梅) (9月11日 19時53分)770 > 知らぬ間に丈高くなる裏庭の草色あせて秋の花咲く (志織)(9月11日 23時37分)771 > 花畑君みかけたし夢だにも楽園の人や思ひ止む (春秋)(9月12日 02時17分)772 > 楽園を遠み遥けみ物思はずけふの一日を足らはむと欲る (堂島屋)(9月12日 15時25分)773 > 待宵やしぐるる空を憂いつつあともうすこしそのバスストップ(春秋)(9月13日 00時13分)774 > DVD ソフトフォーカスで再現すマリリン・モンローの煌めく涎 (ぽっぽ)(9月13日 10時04分)775 > マリリンに会いたいという映画あり珊瑚礁の海がとても懐かしき (志織)(9月13日 23時51分)776 > ハチ公と待ちつづけること20分青山の人とてもなつかし(春秋)(9月14日 02時11分)777 > 颱風に水増せる河は故郷の流されゆきし人々悼む (小梅)(9月14日 15時32分)778 > 流されて渋谷青山六本木浮草旅情気のむくままよ (旅情)(9月16日 11時16分)779 > 流されてタヒチハワイの岸辺へとボトルメールのつたなき英語 (志織)(9月16日 23時27分)780 > 百年の波もゆららに流れ来し壜に詰められゴッホの素描 (堂島屋)(9月17日 16時11分)781 > 熟成のワインごくごく飲みくだす巴里のプチブル革命前夜 (旅情)(9月17日 17時45分)782 > 陶酔を余儀なくさるるごと独り言葉の一気飲みを楽しむ (志織)(9月17日 18時41分)783 > 蹴球や仏蘭西じこみ日本の益荒男一気にゴールきめけり (旅情)(9月18日 18時20分)784 > ゴールまでまだ日があるというごとく大きく跳ねし鮭は網の中 (志織)(9月19日 00時24分)785 > 囚はれしうつくしき人ギロチンへ恐怖の泡沫アンゴルモアや(春秋)(9月19日 01時48分)786 > ギヨティンの刃に油塗り終へて刑吏は眠る藁床のうへ (堂島屋) (9月19日 08時43分)787 > 藁蓑の頭巾纏いて牧草を暗きサイロで黙々と踏む(重陽) (9月19日 15時03分)788 > アルプスの少女のように牧草の中に体を投げ出してみる (志織) (9月19日 23時45分)789 > 牛飼ひがまろめて積める干草に湯気立てり見ゆ牧寒みかも (堂島屋) (9月21日 13時15分)790 > 湯気立てて出で行く団地行きバスの少し古びしボディーの白線 (志織) (9月23日 21時35分)791 > 雛壇の古き団地の秋風に響く槌音二世代普請 (重陽) (9月25日 14時18分)792 > 渦まいてアリンコ車忙しなく響く風神めまい某号。 (耽空) (9月25日 17時36分)793 > 空谷は響き惜しまず枝をかれて紅葉色なき風を追ひゆく (堂島屋) (9月25日 18時36分)794 > ままごともすこしとくべつな日のにおいもみじのおさらにくりをかざって (志織) (9月25日 23時51分)795 > 恥らいてとくべつな日の富士の山雲間に見ゆる初の白雪 (重陽) (9月28日 07時49分)796 > 何事もきのうと変わらぬ線路越しはっと目をひく冠雪の富士 (志織) (9月29日 23時17分)797 > 江ノ電のレトロ車両の窓に寄る若き二人の瞳燃えけり (重陽) (10月3日 05時23分)798 > 架線より火花こぼれしその刹那くちづけ交はす停電の闇 (堂島屋) (10月3日 15時46分)799 > 停電に悪夢の灯火管制のトラウマ払いゆとりもて待つ (重陽) (10月3日 20時46分)800 > 停電を幾度も重ね二十九時間のしつこい秋雷に耐ゆ (志織) (10月3日 23時10分) |