1601 > 現世のうつろひわたることごとの冨士にかたぶくあしたへの月(重陽) (3月14日 15時59分) 1602 > スカラベは護符となりしやジンジャエラ太陽神の贄(にへ)となる間の(素蘭) 砂漠で発見された少女ミイラ (3月15日 00時13分) 1603 > スカラベを手に乗せ熱砂の風に立ち太陽神のめぐりを廻る(たまこ) (3月15日 07時07分) 1604 > をちこちの御符を纏ひし青年の街をたばしる速便単車(重陽) (3月15日 08時22分) 1605 > 大念珠首に懸くるは死刑囚の作法と僧の教へくれしが(堂島屋) (3月15日 12時47分) 1606 > アメリカから死刑囚と云う投稿歌ぎゅうっとレモン絞って落とす(しゅう) (3月15日 14時38分) 1607 > 一粒の檸檬が卓に発光す窓を暗めて黄砂ふる日を(たまこ) (3月15日 20時01分) 1608 > 黄砂降る山辺の寺に続く道 樹の花あまた咲き継ぎてゆく(萌) (3月15日 23時34分) 1609 > 万葉の歌碑辿りたし菜の花と桜彩る山辺の道(素蘭) (3月16日 00時40分) 1610 > この海の光りと風の戯むるをいにしへ人の残せし歌に(重陽) (3月16日 05時46分) 1611 > いち面に芥子菜の花咲く河原 遊ぶ三人子わたしの滴(たまこ)(3月16日 08時14分) 1612 > 早春の山に遊びてゆくりなく出遭ひし源流いまに忘れず(登美子) (3月16日 16時00分) 1613 > 山というほどの高さにあらねども森林浴に洗われし身よ(藍子) (3月16日 16時31分) 1614 > 森林浴すらも花粉の名のもとに気安くできぬ愁いの春よ(萌) (3月16日 23時47分) 1615 > 春は杉・檜・鴨茅次々とアレルゲンなる風媒花咲く(素蘭) (3月17日 01時08分) 1616 > 杉山よりわきたつ微塵の灰黄が弥生の風を染めて流るる(たまこ) (3月17日 08時11分) 1617 > 一陣の風み吉野の花散らし弥生の空を染めて流るる(素蘭) (3月17日 15時35分) 1618 > 裏山にタラの芽生ふるふるさとに父母が畑うつ頃となりけり(登美子) (3月17日 16時59分) 1619 > 春のキャベツ胸にかかへてあたたかし山の畑の媼がくれぬ(たまこ) (3月17日 18時12分) 1620 > 岬へとうねりてつづく道ぞいにキャベツ畑の日を浴びており(萌) (3月17日 18時33分) 1621 > なつかしき三浦大根輪に切りてザックザックと疾く頬張りぬ(重陽) (3月17日 19時31分) 1622 > 「ザックザックと小判が出てきました」とは錬金術は効かぬ政局(萌) (3月17日 23時46分) 1623 > 三月の道路走ればここかしこ工事ばかりで穴ぼこだらけ(素蘭) (3月18日 01時29分) 1624 > 声をあげ チャンバラをする 子供達 マウスをもつ手 今は声無し(3月18日 12時51分) 1625 > 杖を突く 母の手を引き 思い出す 若きし母の 遠いぬくもり(天女) (3月18日 12時58分) 1626 > 初めての 投稿にまで あたふたとする 名無しのごんべ 初心者メ-ル(天女) (3月18日 13時44分) 1627 > メールにて伝わらぬもの緩やかに過ぎゆく時の息づかいなど(萌) (3月18日 19時15分) 1628 > 薔薇・パンジー・すいせん・カトレア地下の花鋪に蝶蝶のこない時が流るる(たまこ) (3月18日 22時17分) 1629 > 駅前の花舗に並びしカタカナの花の多きや杞憂の春に(萌) (3月18日 23時56分) 1630 > メキシコの森に紅葉の擬態してあまた舞ひたるオオカバマダラ(素蘭) (3月19日 00時09分) 1631 > 擬態とはかなしき仕草 ヒト属の我なるをもう認識できず(萌) (3月19日 00時28分) 1632 > 尋ねきて語りつがれし元禄の赤穂の志士の思ひやいかに(重陽) (3月19日 07時47分) 1633 > 早春の赤穂岬の浜に散る貝の白さや大石主悦(たまこ) (3月19日 11時14分) 1634 > 浜辺行き貝を拾ひし日のことを思ひぬひとつ年重ねるけふ(登美子) (3月19日 14時47分) 1635 > 生れくる子の名を二人はなしつつ並んで描きし三月の海(たまこ)おめでとうございます。登美子さん (3月19日 19時59分) 1636 > 生(あ)れし日の雪の深さを聞きをれば闇より降れる雪を恋ふらむ(素蘭) (3月19日 20時11分) 1637 > 神秘なる雌雄の契り至高なる生(あ)れし赤子の神秘なるかな(重陽) (3月19日 20時22分) 1638 > 春の夜の神秘なるかな黒蝶は疼き孕みて真珠(たま)を生ませり(素蘭) (3月19日 23時42分) 1639 > 亡き父のまだ若き頃高尾山に虫捕りを我に教えたる夏(萌) (3月19日 23時47分) 1640 > ひみつめきて開きし子の掌にだんご虫のガラス細工のやうな殻あり(たまこ) (3月20日 10時32分) 1641 > 葉にすがり殻脱ぎ捨てむとする蝉の透きとほる羽かすかにふるふ(登美子) たまこさん、ありがとうございます。 (3月20日 16時42分) 1642 > 春の朝かすかに聴こえしうぐいすの鳴き声日増しに軽やかなりて(藍子) (3月20日 16時53分) 1643 > ちさき穴殻に穿ちて祝祭の卵飾(よそ)へり春待つ午後に(素蘭) (3月20日 21時03分) 1644 > 卵色のマフラーをして早春のまだやや冷たき風の中ゆく(萌) (3月21日 00時01分) 1645 > 衝動買ひせし訳が未だに続きゐて緋色のパシュミナ厭ひ始めつ(たまこ) (3月21日 10時49分) 1646 > 晋山式いまし終はれり客僧は萌葱ごろもの裾ひるがへす(堂島屋) (3月21日 20時28分) 1647 > 軍服の白あざらけき原潜の艦長せめて真実を語れ(登美子) (3月21日 23時08分) 1648 > 分岐する度に淋しい方を来てゆきあたりたる夢中山幻住寺(たまこ) (3月21日 23時08分) 1649 > 支線への分岐を過ぎて心なし線路の声の高くなりたる(萌) (3月21日 23時31分) 1650 > 雪解けの水分かれゆく高原に水芭蕉咲く四月来たりぬ(素蘭) (3月22日 00時31分) 1651 > LessonのIを子供と読んでみる四月は心を素直にさせて(たまこ) (3月22日 13時21分) 1652 > あいまいみい・ゆうゆわゆう・ひいひずひむとつづりしむかししぬばゆるかも(堂島屋) (3月22日 19時05分) 1653 > 老紳士ビュッフェのケーキ選びをり“Eanie meanie minie mo?”(どれにしようかな?)(素蘭) (3月22日 20時08分) 1654 > 銀座通り一歩入りしケーキ店昼間の行方不明を楽しむ(萌) (3月22日 23時36分) 1655 > 何処へと鳥帰るらむ黄昏に浜辺さまよふわれを残して(素蘭) (3月23日 00時28分) 1656 > 昨日は蛙・今日は燕がもどり来て夢の中にも戻りこぬ父(たまこ) (3月23日 18時26分) 1657 > 飛ぶ夢を見つづけつひに覚めぬ君 生けりとや云ふ死ねりとや云ふ(堂島屋) (3月23日 12時22分) 1658 > 島つ鳥鵜の眼鷹の眼掻い潜り鵜の真似するは烏なりけり(元気) (3月23日 17時12分) 1659 > 何求め続けてきたのか鳥さへも空を自在に翔けるにあらず(登美子) (3月23日 17時59分) 1660 > 鳥ならば羽の付け根のそのあたりに風が染むなり人生半ば(たまこ) (3月23日 21時20分) 1661 > 救済を歌に求めし受刑者の三十一文字に自由あれかし(素蘭) (3月23日 21時28分) 1662 > 一万の自転車盗み一生を罪に彷徨え代償高し(元気) (3月24日 13時44分) 1663 > 一台の自転車貴重なりし日の哀切描く『自転車泥棒』(素蘭) (3月24日 15時43分) 1664 > みんな何故?生きているのかその一生 花鳥風月そのまま在るなり(藍子) (3月24日 15時45分) 1665 > 初花のほころべる日に西からの地震の便りに心傷みぬ(萌) (3月24日 17時23分) 1666 > 専制に虐げられた人々の身を思いやれ清き人々ぞ(元気) (3月24日 17時53分) 1667 > おぞましく朽ちし巨木に躍動す虫けらという尊き命(重陽) (3月24日 20時15分) 1668 > 二本(ふたもと)の桜湖畔に花散らし実生の命育みてゆく(素蘭) (3月24日 23時25分) 1669 > もつともつと後ろへ下がれ千年の桜の全景を撮(と)るといふなら(たまこ) (3月25日 08時09分) 1670 > をさな木の恥らふごとき初心なる青き蕾みにしばし心とどめむ(重陽) (3月25日 09時06分) 1671 > やはらかに若木の桜含(ふふ)まりてはつかに咲ける春を待つらむ(素蘭) (3月25日 15時51分) 1672 > 雨の中目立ちてふくらみて来たる桜に急ぐなと囁けり(萌) (3月25日 18時36分) 1673 > 凝らしても吾におぼろなむら雨をものの芽よろずしかと待ちける(重陽) (3月25日 19時09分) 1674 > 蒼き花野を海原に変えつらむ土筆坊やは波と戯る(素蘭) (3月25日 20時33分) 1675 > 春の野をひとり占めして摘むれんげ私はむかしの姫みこ気分(たまこ) (3月25日 21時19分) 1676 > ふるさとに病得たるといふ父の心をさなき日を翔けてゐむ(登美子) (3月25日 23時37分) 1677 > 病みしこと告げずに生きるその春に惑ひし心翔ける言葉は?(春秋) (3月26日 00時07分) 1678 > 悲しみはまだ明けぬのか喪のあくる君よりこない賀状せつなし(素蘭) (3月26日 00時38分) 1679 > きはまれる悲しみ故に閉ざすらし固き思ひの睦るを待たん(重陽) (3月26日 06時23分) 1680 > 持ち寄りしお菓子の匂ふ歌会に境涯詠一首辛夷の白さ(たまこ) (3月26日 08時53分) 1681 > 交はりをいとひて来しがwebてふ世界を知りて聞く花便り(登美子) (3月26日 10時55分) 1682 > 交はりてはじめて知るや吾が成せる日々ことごとの色も匂いも(重陽) (3月26日 13時40分) 1683 > 檻のなかに一頭なれば白熊の明日も今日と同じであらむ(たまこ) (3月26日 17時40分) 1684 > うつつにはあらぬ夢路に漂ひぬわれを演じて疲れし夜には(素蘭) (3月26日 23時13分) 1685 > 夢路にも遠き黄砂の霞みたり桃源郷の大仏哀れ(萌) (3月26日 23時20分) 1686 > 叱つたり叱られたりして母とゆく桃源郷はカーンと晴れて(たまこ) (3月27日 07時53分) 1686 > 石仏の跡形もなき岩窟のいにしえ人の祈りはあらむ(重陽) (3月27日 07時53分) 1688 > 天空に光奏でる交響詩恩寵のごとオーロラを見ゆ(素蘭) (3月28日 00時02分) 1689 > 天空ゆ今しミールの堕ちる時と校正室のさらに静もる(たまこ) (3月28日 09時31分) 1690 > 春の空のくぐもる光りうけをりて毛細管にめぐる血をおぼゆ(重陽) (3月28日 10時48分) 1691 > 道の辺の草みな小さき花つけて地より享けたる青き血めぐらす(登美子) (3月28日 16時45分) 1692 > スカーフのごとく広がり早春の中州は砂も緑をおびる(たまこ) (3月28日 18時31分) 1693 > 早春の入り口にいてひと言の夢のようなる風を受けおり(萌) (3月28日 23時21分) 1694 > 早春の画廊に淡き色あふるパウル・クレーの油彩画ありて(素蘭) (3月28日 23時50分) 1695 > 淋しさの滴の垂るるやうな日は洲之内徹の『気まぐれ美術館』(たまこ) (3月29日 08時06分) 1696 > 虚しさの淵をいでばやおりおりの絵と人間の『絵のなかの散歩』(重陽) (3月29日 09時06分) 1697 > エッシャーの画中に棲みてこがね鬚もつ鬱猫は翁さびたリ(堂島屋) (3月29日 12時47分) 1698 > 佐太郎の三四二のかの子の桜花ともに仰ぎて良き歌仲間(たまこ) (3月29日 20時19分) 1699 > 雲閉じて今にも雨の来るらしき花に冷たき風も吹き初む(重陽) (3月29日 20時40分) 1700 > 天象の導きなるかわが生は星の宿りの静けさにゐて(素蘭) 『星宿』佐藤佐太郎 (3月29日 21時50分) |