2001 > 勁草に船影ぞなきロカ岬地果つところと吾も思ひき(重陽) (5月27日 04時11分) 2002 > 思い出が霧にようやく変わりゆく岬の果ての草のさゆらぎ(萌) (5月27日 19時57分) 2003 > 夕光の海広がりぬ岬には悲しき秘話のあまた残れど(素蘭) (5月27日 22時50分) 2004 > 流されてみようと思ふ夕光に穂わたが光を引きて流るる(たまこ)(5月28日 12時59分) 2005 > 山なみをきはやかに浮き立たせ今はつ夏の日は暮れむとすなり(登美子)(5月28日 19時39分) 2006 > 山なみの向こうにつづくハイウェイ知らない世界へあこがれのせて(萌) (5月28日 23時58分) 2007 > はつ夏の山辺彩りたよたよと雨に打たるるあぢさゐの花(素蘭) (5月29日 00時07分) 2008 > かるがると走り根を越え総身に木漏れ日まとふ夏はじめかな(堂島屋) (5月29日 12時07分) 2009 > 方位計小さく振れて初夏の阿夫利嶺(あふりね)指すも丹沢三峰(しゅう) (5月29日 14時16分) 2010 > 丹沢の霧の尾根道共にせし山友のひとり今はもう亡く(萌) (5月29日 23時24分) 2011 > 面影のきみとこしへにうら若く年ふることのなきを淋しむ(素蘭) (5月30日 00時51分) 2012 > あの頃は若かったねと言いながら互いの白髪見つめあってる(登美子) (5月30日 07時53分) 2013 > 白髪を染めて自分を誤魔化してますます加工の世となりにけり(藍子) (5月30日 16時37分) 2014 > 何がなし加工のあとの多すぎる野菜さえもが科学のモザイク(萌) (5月30日 23時56分) 2015 > ハイブリッドなる穀物の席巻に種苗ビジネスいよよ栄える(素蘭) (5月31日 00時16分) 2016 > 新ジャガの煮っころがしを皮ぐるみ口にほふれば生きてる実感(重陽) (5月31日 05時07分) 2017 > 片隅に茄子とトマトの苗植ゑて老母楽しき日課を得たり(登美子) (5月31日 06時45分) 2018 > 掘りだされてじゃがじゃがじゃがいも言ひぶんが何かありさうな顔をしてゐる(たまこ) (5月31日 12時01分) 2019 > 親族に怪我人あれば蚕豆を摘みに帰省といふ人のあり(堂島屋) (5月31日 12時22分) 2020 > 豆の蔓伝いて大空へとゆける物語すれど鈍き梅雨空(萌) (5月31日 23時29分) 2021 > 鈍色の雲と雲とのあはひより放射となりて光洩れくる(素蘭) (6月1日 00時50分) 2022 > 荒梅雨の八十島かけて雲表を遠かけりゆく旅人われは(堂島屋) (6月1日 12時24分) 2023 > 傘を打つ雨音たのし荒梅雨の街は視線を高くしてゆく(たまこ) (6月1日 22時46分) 2024 > 花柄の傘の中にてつい明るき花の影へと頬を向けたり(萌) (6月1日 23時34分) 2025 > あぢさゐの濃きむらさきの色さして黄昏てゆく六月の宵(素蘭) (6月2日 00時18分) 2026 > あじさいのはや色づいてゆく町に今夜の月は暈をもちたり(萌) (6月2日 01時06分) 2027 > 雨降れば雨に染まって七変化これがわたしの生き様だから(登美子) (6月2日 05時57分) 2028 > 梅雨闇に白き十字のほの明かり日陰の花の愛(かな)し懐かし(素蘭) (6月2日 15時42分) 2029 > かすかなる路傍の風にどくだみの夕陽にゆれし白き十字は(重陽) (6月2日 17時51分) 2030 > 十字架の夕日を浴びて輝けり湾に散らばる島のかずかず(萌) (6月2日 19時08分) 2031 > 残照に映ゆる内海風はらみ小(ち)さきヨットの帆影となりぬ(素蘭) (6月3日 00時58分) 2032 > 風のなかの椋は総身の葉を返しこの山里の白き帆となる(たまこ) (6月3日 09時19分) 2033 > 丹沢に風立ち出でてうぅすらと睡りを覚ます山帽子かな(しゅう) (6月3日 21時37分) 2034 > 開港祭の山下公園初夏の陽と潮風に映ゆ白き夏帽子(萌) (6月3日 22時00分) 2035 > 眺望のひらけしところ背のザックおろして憩ふ心地良き風!(素蘭) (6月3日 22時14分) 2036 > 霧渦巻く尾根道に立ち茫々と行く方知れぬ恋を思へり(登美子) (6月3日 23時18分) 2037 > 尾根道をゆけば眼下の雲海は日ざしにとけてほぐれてゆきぬ(萌) (6月4日 23時12分) 2038 > 掴まんとすれど指間を逃れゆく霧のやうなるふたりのこころ(素蘭) (6月5日 01時14分) 2039 > 山の端ゆさねさし相模霧深く切符売場はしづ心なし(元気) (6月5日 14時45分) 2040 > 思ひ出のやうにほつほつくちなしの花咲きそめて震ふ心は(たまこ) (6月5日 19時09分) 2041 > たそがれに残りて白く輝けるなほまぼろしかくちなしの花(重陽) (6月5日 19時23分) 2042 > たそがれに曲がったことのなき道をたどれば赤レンガ倉庫に出でぬ(萌) (6月5日 23時20分) 2043 > 懐かしき声友の死告げたれば追憶といふ小径たどりぬ(素蘭) (6月6日 00時28分) 2044 > 同窓会名簿に「亡」の字多くして思い出せない顔が消えゆく(登美子) (6月6日 17時52分) 2045 > しし厚き中年男ものいへば遠き白皙まなかひに立つ(堂島屋) (6月6日 20時36分) 2046 > まなかひの君溌剌と笑みたるも紫立ちし雨に翳りぬ(素蘭) (6月6日 23時58分) 2047 > 紫陽花の雨の中より現われし赤い靴の少女の化身(萌) (6月7日 00時45分) 2048 > 朝なさな露を纏ひて紫陽花は色あざやかに日々に満ちゆく(重陽) (6月7日 04時42分) 2049 > 書き貯めしノートの塵を払いつつ「この虫もまだ生きている」とは(元気) (6月7日 14時11分) 2050 > 塵の中より出でてきし旧アルバム見て黒飴の甘さの如し(涼) (6月7日 17時40分) 2051 > べるべっと褪せしALBUM埋め尽くすことも幸福確認なりき(堂島屋) (6月7日 19時09分) 2052 > アルバムの中のひとりは外つ国の季節の違う風に吹かれる(萌) (6月7日 23時16分) 2053 > 外つ国に赴任せし間の近況を綴りてくれし手紙色あせ(素蘭) (6月8日 00時04分) 2054 > あせてよし!という彼からのメール来て誠意の恋など今も実らぬ(6月8日 11時15分) 2055 > うかれ猫はらみ猫いま親猫となりて余生のふりをしてゐる(堂島屋) (6月8日 12時37分) 2056 > 猫の方こそ大胆すぎたアプローチ彼に嫌われたのも当然(今は猫) (6月8日 14時40分) 2057 > しばらくは猫になってもいい気持ち梅雨の晴れ間の風に吹かれて(萌) (6月8日 23時59分) 2058 > 猫の仔のまどろみゐたる昼下がり風にさわさわ和毛(にこげ)靡かせ(素蘭) (6月9日 01時05分) 2059 > ほんわかとまどろむ猫の愛しさよ野良の寿命はニ・三年といふ(藍子) (6月9日 09時44分) 2060 > 猫の背をなでる夫の手の動きそのやさしさはなによと思ふ(たまこ) (6月9日 09時55分) 2061 > やさしさが思ひがけなきトラウマにそは橋叩くことのはじまり(重陽) (6月9日 18時31分) 2062 > 陸橋から見つめていたる夕焼けの下に広がる思い出の海(萌) (6月10日 00時00分) 2063 > 神話などとうに崩れて幼らの心に傷の癒し難かり(素蘭) (6月10日 00時16分) 2064 > 温かきうちに頬擦りしたまへと息絶えし子を前に医師いふ(堂島屋) (6月10日 17時31分) 2065 > いとけなき児らに刃は刺すものか痛みを知らぬ憎悪の果てに(素蘭) (6月11日 00時45分) 2066 > 胸の奥深くに残る傷ありてときに疼くを知らぬ顔して(登美子) (6月12日 15時54分) 2067 > この場所から新しき旅立ちを誓う残る者の無念を力に変えて(萌) (6月12日 23時02分) 2068 > 人体もまた小宇宙さればこそ光と闇の相剋の旅(素蘭) (6月12日 23時11分) 2069 > ゲノム読むシャンポリオンよ秘められしファラオの呪ひ触るるなよゆめ(堂島屋) (6月13日 12時49分) 2070 > 判らない方がよいこともある人の造れぬ神秘のままに(萌) (6月13日 23時17分) 2071 > DNA解析すればみなひとはミトコンドリア・イブなるといふ(素蘭) (6月14日 01時08分) 2072 > 緑陰の枝巻きのぼる青き蛇イブをいざなふやうには見えず(堂島屋) (6月14日 12時57分) 2073 > 知恵の実にいざなはれゆく人間のこころ神さへ御するすべなし(登美子) (6月14日 18時04分) 2074 > 「パンツをはいたサル」が猿より偉いとはいつまで言っていられる、ヒトよ(萌) (6月15日 00時14分) 2075 > 稼働せぬ〈もんじゅ〉の智慧を御すといふヒトの業には暴走なきか(素蘭) (6月15日 00時20分) 2076 > 健忘の地球いへらく「人類は自然と癒えし疥癬のごと」(堂島屋) (6月15日 19時08分) 2077 > 本当に癒しが必要なのは宇宙飛行士の眼に青かった地球(萌) (6月15日 23時12分) 2078 > キャンバスに青塗りこめし哀しみは薔薇の翳りにピカソ誘(いざな)ふ(素蘭) (6月16日 01時15分) 2079 > 暴走もそりゃああったわ青春は哀しきものとやうやく知りぬ(登美子) (6月16日 06時17分) 2080 > 暴走の科学技術も思わざる人の手の優しさに帰りし(萌) (6月16日 23時58分) 2081 > 生殖も治療も科学なりし世に手のぬくもりを忘るなと願ふ(素蘭) (6月17日 01時08分) 2082 > Gene 操作せる美男美女幅きかす世にながらへむ珍獣として(堂島屋) (6月17日 17時40分) 2083 > 予知できぬ世の中こそが面白し我も珍獣可笑しく生きん(しゅう) (6月17日 23時12分) 2084 > 100万回生きた猫さえ100万回目の満ち足りし生で終えたり(萌) (6月17日 23時23分) 2085 > 千年を経てみづみづしき恋の歌 ひとは悲しき恋するものぞ(素蘭) (6月17日 23時37分) 2086 > 顔見えぬ人にも人は恋すべし 仮想の国の歌垣ぞよき(堂島屋) (6月17日 23時41分) 2087 > 目礼を重ねし四季の朝なさな路地ゆくひとの名は知らねども(重陽) (6月18日 07時35分) 2088 > 名も知らず路傍に咲ける雑草(あらくさ)を愛でつつ歩むはつ夏真昼(素蘭) (6月19日 00時16分) 2089 > 夕づけば近所の奥さん集まって花談義する路傍の花壇(登美子) (6月19日 06時10分) 2090 > さう云へばてんたう虫のやうなのが此処に一匹居たのだつたか(元気) (6月19日 16時31分) 2091 > 別荘地の入り口に立つ看板に飾りのようなてんとう虫ひとつ(萌) (6月19日 23時34分) 2092 > 看板に偽りのやうな綺羅まとひ空漠論議低きに流る(素蘭) (6月20日 00時00分) 2093 > どの社説みても「論議を期待す」と書けり定見なき戯論さへ?(堂島屋) (6月20日 20時18分) 2094 > わんぱくが正座しているようだという四角いスイカ15000円(天声人語から、しゅう) (6月20日 21時46分) 2095 > 半島の背中を行けばごろごろとスイカころがる惑星の海(萌) (6月20日 23時26分) 2096 > 太陽を一周するに165年海王星の四季とは如何?(素蘭) (6月20日 23時45分) 2097 > 遥カナル太陽ノゾム常闇ニマダ見ヌ春ハ疾ニ過ギケム(月下美人) (6月21日 05時46分) 2098 > 常闇の宇宙をめぐる星辰よ過つなかれその運行を(登美子) (6月21日 06時24分) 2099 > わたくしの中の宇宙はそよ風のいつも通えるすき間をもちたい(萌) (6月21日 23時58分) 2100 > 日の神の馬車御しがたくパエトンはゼウスの雷に打たれしといふ(素蘭) (6月22日 00時54分) |