2101 > イカロスの翼は溶けて落つるとも焦がれてやまず神の領域(登美子) (6月22日 06時26分) 2102 > 「でうすえくすまきな」機械じかけの神々にとりまかれたる百鬼夜行図(堂島屋) (6月22日 10時28分) 2103 > 一対の角を具えし鬼出でて能楽堂にしわぶきも消ゆ(重陽) (6月22日 13時48分) 2104 > 時にみずから心を鬼にしてゆけり光だけでは辿れない道(萌) (6月22日 23時23分) 2105 > 検証を厭ひ叙情の微温湯につかりしわれを冷めて眺むる(素蘭) (6月23日 00時51分) 2106 > 天城越え道なき恋に迷ふともさめぬ微温湯火照るこのみよ(月下美人) (6月23日 13時44分) 2107 > 懸鶉の聖者路傍につらつらと恋の道ゆき眺めてをりぬ(堂島屋) (6月23日 19時26分) 2108 > 北国に遅き春告ぐ白玉のつらつら椿つらつら愛し(素蘭) (6月23日 21時33分) 2109 > 夏椿すこし頼りなげなる花 山の気帯びし寺に咲きたる(萌) (6月24日 00時31分) 2110 > おほかたの寺宝焼けぬと慶長の役を語りし韓の法師は(堂島屋) (6月24日 19時39分) 2111 > 古唐津の碗に描きて偲びしか海に隔たる野辺の八千草(素蘭) (6月25日 00時19分) 2112 > 栗の花の匂へば思ひだす街の三角公園青いシーソー(たまこ) (6月25日 19時35分) 2113 > 三角に残る中洲を安住の地として百鳥ゆふべ戻り来(登美子) (6月25日 20時32分) 2114 > 閑適の歌うたふらむ老鶯は恋も悩みも忘れしに似て(堂島屋) (6月25日 21時25分) 2115 > 緩やかにうねりてつづく山道を夏鶯を聞きつつゆけり(萌) (6月25日 22時47分) 2116 > いにしへの恋物語追ひながらたどる古道に鶯を聞く(素蘭) (6月26日 00時23分) 2117 > モバイルのアンテナ渡り鶯は朝のお勤めわがもの顔に(重陽) (6月26日 06時40分) 2118 > 土手道の行く手はばみて蔓性の草はびこりぬわがもの顔に(素蘭) (6月27日 00時45分) 2119 > わが行く手はばむものあらばはじめから遠回りするすべ身につきぬ(登美子) (6月27日 07時46分) 2120 > 側線を持つや円転滑脱に苦海を遊ぶ君が才覚(堂島屋) (6月27日 17時51分) 2121 > 支線へと入れば線路ぎわの草の丈高まりて草の香のなか(萌) (6月27日 23時34分) 2122 > 西国の満願寺へといく鉄路廃れしのちに草や覆へる(素蘭) (6月29日 00時13分) 2123 > ティールームに和の雰囲気をとり入れし竹の絵柄の壁紙やさし(萌) (6月29日 00時13分) 2124 > もくもくと雲のわきたる壁紙を貼りめぐらせし小児病棟(素蘭) (6月29日 00時22分) 2125 > 梅雨雲が眼下に見ゆる機窓から遥かに湧きし夏雲も見ゆ(重陽) (6月29日 09時28分) 2126 > 天の原かけてあらぶる雷鳴を下に聞きつつ富士の高嶺は(堂島屋) (6月29日 11時18分) 2127 > 中伊豆の最上階の富士見の湯真向かうはだか我は卑しき(しゅう) (6月29日 21時34分) 2128 > 一日の山旅なれどいただきに富士を見しかば心足らへり(登美子) (6月29日 23時19分) 2129 > 富士の嶺の秀麗な姿いつの日か終わりが来るというも必然(萌) (6月29日 23時35分) 2130 > みちのくの旅の終はりに眺めしは雪いただかぬ伊吹霊峰(素蘭) (6月30日 00時33分) 2131 > 眼下には陸と海との二色が見え隠れしつ襟裳へ向かう(重陽) (6月30日 13時14分) 2132 > 機影ただ魚影のごとくまつぶさに観るはラララの宇宙人かな(堂島屋) (6月30日 17時44分) 2133 > 魚影追ひ静寂の波にたゆるとき魚眼レンズのわれとなりたき(素蘭) (6月30日 18時21分) 2134 > 補陀落へ急ぐともなく欠伸するおほきくらげと我はならまし(堂島屋) (6月30日 18時37分) 2135 > 外国航路かつて行きかいし港のんびりとくらげ浮ける真昼間(萌) (6月30日 19時26分) 2136 > 原子炉の熱排水を吐呑してくらくらくらげくらげ犇く(堂島屋) (6月30日 19時33分) 2137 > バーチャルの世界に集へばただよへるくらげのごとき恋もあるらむ(登美子) (6月30日 20時13分) 2138 > バーチャルの吟行なれど母川にきみと蛍を追ふも楽しき(素蘭) (7月1日 00時33分) 2139 > 点ひとつただよふごとき蛍火が真闇の宙にやがて止りぬ(重陽)昨夜の蛍狩 (7月1日 05時02分) 2140 > 蛍狩り迷子となりし吾が記憶ただすに母は「いさ知らず」とふ(堂島屋) (7月1日 18時18分) 2141 > 幼き日の記憶はときに交錯や螺旋を描き闇に消えゆく(登美子) (7月1日 18時40分) 2142 > ゆっくりと螺旋描きてとぶ蛍水道局の敷地に消えぬ(萌) (7月1日 19時23分) 2143 > ふるさとの小川に舞いし蛍火よ今はホテルの眺め物なり(月下美人) (7月1日 20時42分) 2144 > くろぐろと水を湛へし奥つ城のたまづさなれば蛍恋ふらむ(素蘭) (7月1日 22時13分) 2145 > 蛍狩り無灯火バスに迷ひ入る蛍ひとつに歓声の湧く(堂島屋) (7月1日 23時02分) 2146 > 夕闇にひとつ光れるほうたるを追はば真闇へ迷ひ入りなむ(素蘭) (7月1日 23時33分) 2147 > 蛍こいこちらの水はあ〜まいよ麻酔医のようつつ闇の空(しゅう) (7月1日 23時39分) 2148 > 夕闇に消えがちになるウィンドウの灯はユニクロでないカジュアル店(萌) (7月2日 00時13分) 2149 > アンタレス・マースふたつの赤星が消ぬがちに見ゆ 不穏なる空(素蘭) (7月2日 01時27分) 2150 > ほうたるの妖しき光 天昇る 流星ふたつ太古の昔(伊三) (7月2日 02時41分) 2151 > 天に昇り星となりたる神々は現世のままの物語持つ(登美子) (7月2日 15時43分) 2152 > 神様はこんなに近いくるひなく天道虫に星を印して(たまこ) (7月2日 19時12分) 2153 > ときめきのような天道虫の模様に感動しつつ朝がはじまる(萌) (7月2日 21時37分) 2154 > 七つ星背中にしよへる天道の陰陽となり時は廻らむ(素蘭) (7月3日 00時14分) 2155 > 七つ星昔の人はたどりつつどんな願いを空に託せし(萌) (7月3日 22時37分) 2156 > 園児らの飾りし竹の短冊に今様事の願ひ多かり(素蘭) (7月4日 01時01分) 2157 > 織姫の焦がれて待つらむその一夜をのこ刹那に燃やさむとすや(登美子) (7月4日 07時35分) 2158 > 「人は空ばかり見てる」と歌姫の喝破するあり『地上の星』聴く(堂島屋) (7月4日 20時46分) 2159 > 歌姫のコンサート聞く星まつり 雷にたたられた夕べに(萌) (7月4日 23時39分) 2160 > 凍て空に愛でし昴もビーナスも消ぬる夏空月の耀ふ(素蘭) (7月5日 00時26分) 2161 > 酔眼をふと挙げたれば卵黄のやうなる月が出てゐる家路(堂島屋) (7月5日 18時14分) 2162 > くすり指の爪の半月・白い星 なんの兆しか夏の来る前(たまこ) (7月5日 19時41分) 2163 > 大腿部骨折癒えてカルシウムぬけし十指の爪の陥没(堂島屋) (7月5日 20時20分) 2164 > カルシウム抜けたるような月食は霞の幕の向こうで進む(萌) (7月5日 23時27分) 2165 > 酸性雨日常化してカルシウム日々溶かさるる日本列島(素蘭) (7月5日 23時55分) 2166 > 朝なさなカルシウム剤嚥下せる妻癒さまく骨粗鬆症(重陽) (7月6日 07時47分) 2167 > カルシウム筋肉体操有酸素運動ああ忙しき老後(しゅう) (7月6日 08時55分) 2168 > 羊羹の如き骨格筋を持つマグロ食はうよレクター博士(堂島屋) (7月6日 18時54分) 2169 > とどまるは即ち死といふ回遊魚 しばしは憩へ 人なる君は(登美子) (7月6日 19時20分) 2170 > 銀色のアルノ流るるフィレンツェの街回遊する若き旅人(素蘭) (7月7日 00時52分) 2171 > 東雲のはるか夏海を凝視せる若き男は身じろぎもせず(重陽) (7月7日 07時56分) 2172 > ひとときの梅雨の中休みにありて真夏の表情見せている海(萌) (7月7日 08時23分) 2173 > 選ばれた人という意識悲しく海の画像の蒼きを閉じる(しゅう) (7月7日 22時28分) 2174 > 葦の海分かれし壁を預言者の閉づるもあはれファラオの民に(素蘭) (7月8日 01時50分) 2174 > 葦の海分かれし壁を預言者の閉づれば水もあはれファラオの民に(7月8日 01時40分) 2174 > 葦の海分かれし壁を預言者の閉づれば水もあはれファラオの民に(素蘭) (7月8日 01時40分) 2175 > 夏海の水禍の子らの痛ましき高波巻ける遠き台風(重陽) (7月8日 08時21分) 2176 > 台風の遠くにありて列島にひと足早き真夏呼びたり(萌) (7月8日 18時25分) 2177 > 蒸す夜の長屋の路地に繋がれて小犬眠りし’60年代(堂島屋) (7月8日 18時33分) 2178 > ’60年代わが青春の手探りに安保闘争触れもせざりき(登美子) (7月8日 18時57分) 2179 > 闘争の季節過ぎたるキャンパスにアンノン族の跋扈始まる(素蘭) (7月8日 20時28分) 2180 > 時流れ今の子らはという吾も虹をかけんと駆けし時あり(重陽) (7月8日 20時49分) 2181 > 虹薄れ あせり・あこがれ・あきらめの三叉路に立つ 不惑目前(堂島屋) (7月8日 21時19分) 2182 > 果無の熊野古道の道半ば路傍に小さき墓しづもれり(素蘭) (7月9日 01時05分) 2183 > 風化してまなざしやさしき石仏を旅の路傍におろがみて行く(登美子) (7月9日 08時18分) 2184 > 腰越の浜みる露地の小仏に弔ふ花のたれか手むけむ(重陽) (7月9日 18時54分) 2185 > 雪方の遥かに在れし安曇野に3A顔の夫婦野仏(しゅう) (7月9日 20時52分) 2186 > 安曇野に湧きいづる水涼やかに渓潤せり花山葵咲く(素蘭) (7月9日 23時40分) 2187 > 渓水に喉潤しぬここからはひたすら登らん虚空目指して(登美子) (7月10日 06時29分) 2188 > なみなみと“KOBE WATER”汲みて航く 出船 入船 黒船 赤船(堂島屋) (7月10日 23時46分) 2189 > 思い出の神戸は昼の日の光夜の灯りと輝きのなか(萌) (7月11日 00時03分) 2190 > 離島までワンデイ・トリップ甲板に浴びる陽射しを怖ぢけざるころ(素蘭) (7月11日 01時07分) 2191 > セスナ機は無事着水できるという言葉を信じて初めての空の旅(萌) (7月11日 23時41分) 2192 > 今天女迦陵頻伽の衣まとひでんぐり遊ぶ宇宙空間(素蘭) (7月12日 10時03分) 2193 > 宇宙とは人が認識することができる範囲の現象と思う(萌) (7月12日 23時36分) 2194 > コンパス座ぼうえんきょう座南天は航海時代の名残に満ちて(素蘭) (7月13日 01時05分) 2195 > 連れ立って父と母とが夕焼野人生航路のはての平安(登美子) (7月14日 06時27分) 2196 > いつの間に小さくなりし父母が目を見開きて吾を送りぬ(重陽) (7月14日 11時08分) 2197 > 〈訂正〉掌中に慈しみゐる玉繭のからころからと唄響(とよ)もして(素蘭) (7月15日 01時24分) 2197 > 掌中に慈しみゐる玉繭のからころからと唄を響(とよ)もす(素蘭) (7月15日 00時24分) 2198 > 私たちの世代に「玉ねぎ」は武道館の屋根の略称、歌にもあった(萌) (7月15日 22時21分) 2199 > 六本の尖塔聳ゆコーランの聲あふれくるブルーモスクに(素蘭) (7月15日 23時57分) 2200 > 胸内に常に声なき声流れ夏は祈りに満たされてゐる(登美子) (7月16日 07時08分) |