2201 > 無名者の声なき声にあふれしむ無言館とふ哀しき器(素蘭) (7月16日 22時43分) 2202 > 構造を改革せむと口々にその言の葉の今は虚しく(重陽) (7月17日 09時24分) 2203 > 新しい道を拓いた人々も今は主流で寝ているだろう(元気) (7月17日 12時59分) 2204 > 〈新しき村〉にたまねぎ・かぼちゃなど眠りし人とともに育つや(素蘭) (7月18日 00時23分) 2205 > 新しき風も吹かぬかいくらでも出て来る埃もううんざりだ(登美子) (7月18日 06時10分) 2206 > 参議院選挙熱弁ふるふより仕事のできる涼しきひと欲し(紀) (7月18日 10時54分) 2207 > 算木院・祝儀院とや加齢臭よどむ魔殿は鬼門に等し(堂島屋) (7月18日 12時10分) 2208 > クーベルタン男爵の遺志ほど遠き五輪貴族の集へる館(素蘭) (7月18日 20時14分) 2209 > 糾へる縄の如しとすべからく思ひて沿はぬ日々を見遣りぬ(重陽) (7月19日 05時14分) 2210 > 塞翁が馬の連れ来し暴れ馬乗るか乗らぬか決めかねてゐる(素蘭) (7月20日 00時40分) 2211 > 暴れ馬がすなはち優駿とも言へず手綱さばきを間違えぬよに(登美子) (7月20日 17時41分) 2212 > ぬばたまの夜毎身を焼く篝火に手綱とられて潜ける鵜はも(素蘭) (7月21日 12時42分) 2213 > 夜毎身を燃やす蛍のまたたきのあひ見ぬままに消ゆるもあらむ(登美子) (7月21日 20時46分) 2214 > なまぬるき風に吹かれてそぞろ歩く逢へぬ今宵に二星またたく(素蘭) (7月21日 23時36分) 2215 > 暑気残る夜の浜辺で若者は眠るを忘れ時を盛りぬ(重陽) (7月22日 16時47分) 2216 > はかなげに闇に開きてわが心妖しく惑はすからすうり花(登美子) (7月22日 22時55分) 2217 > いなづまの蒼き光は闇を裂き心惑はす花火にも似て(素蘭) (7月22日 23時41分) 2218 > ぬばたまの黒髪重く掌に受けて水泡と消ゆべし人魚の恋は(登美子) (7月23日 22時39分) 2219 > うたかたの恋たまゆらの命とやはかなごとのみ思ひいづる夜(素蘭) (7月24日 00時00分) 2220 > 長かれと願ふにあらねどかげろふの夕を待たぬも一生(ひとよ)なりとや(登美子) (7月25日 05時41分) 2221 > 白亜紀の樹々の涙のアモルファス琥珀は虫のタイム・カプセル(素蘭) (7月25日 19時26分) 2222 > 十年のときは琥珀の酒醸し妻恋ふをのこを静かに泣かす(登美子) (7月25日 22時50分) 2223 > 吾嬬の弟橘のゆかりなる嬬恋村に乳の道見ゆ(素蘭) (7月26日 01時11分) 2224 > ささ百合の蘂を秘めたる峠道わが嬬も立つ天地のあはひ(紀) (7月26日 06時46分) 2225 > 瀧道やなづみて行けば笹百合に雲雨湧きいづ万緑の中(堂島屋) (7月26日 12時02分) 2226 > 雲海に大日輪の沈みゆき色なくしゆく空の寂しき(しゅう) (7月26日 16時48分) 2227 > 天空の恒河なりしか夕闇に黄道光のはつか流れて(素蘭) (7月27日 00時14分) 2228 > われここに在りと名乗りて夏の夜の闇待ちて咲く花の香高し(登美子) (7月27日 06時31分) 2229 > くらもちの皇子も求めし優曇華の花逢ひがたき夏の夜の夢(紀) (7月27日 10時38分) 2230 > 夏の夜はつれなく更けて蚊遣り火の燃ゆる思ひも灰がちとこそ(堂島屋) (7月27日 12時15分) 2231 > 隣から大きな嚔筒抜けて聴こゆ厨の西日さす窓(しゅう) (7月27日 21時35分) 2232 > 大夕焼かたへに絹の雲生れて季たゆみなく移りつつあり(登美子) (7月27日 22時59分) 2233 > 茜さす酸漿ふふみ遊ぶ児の夕焼け空に焦がれゆく夏(素蘭) (7月29日 01時19分) 2234 > 灼熱の百夜を焦がれて百日紅蒼穹いよよ深かれと咲く(登美子) (7月29日 06時43分) 2235 > 灼熱の太陽浴びて向日葵の黄は焦がれゆく 今日ゴッホ忌と(素蘭) (7月30日 00時58分) 2236 > 果てまでも埋め尽せる向日葵は焦がれし如く黒々として(重陽) (7月30日 11時39分) 2237 > 太陽を追いて悔い無き向日葵の覚悟のほどの黒き立ち枯れ(しゅう) (7月30日 14時13分) 2238 > 悔いのなき半生なりしやと問ふよりも終の日までを悔いなきやうに(登美子) (7月30日 22時44分) 2239 > 今生のいまが良けれといふひとの卯波のごとき半生も良し(素蘭) (7月31日 01時01分) 2240 > 何となく心波立つ日はいっそ女のさがに徹してみむか(登美子) (7月31日 22時01分) 2241 > 生命の起源は海の微生物ゲノムは昏き海を忘れず(素蘭) (8月1日 00時41分) 2242 > エエテルは宇宙羊水爛々と巨星末魔のフレア吐きあぐ(堂島屋) (8月1日 12時15分) 2243 > ウルトラの故郷といふM星雲 薔薇・鷲・帽子見れど飽かざる(素蘭) (8月1日 19時55分) 2244 > SML 服のサイズが年齢とともに変はるをいかにせば良き(登美子) (8月1日 22時05分) 2245 > 若女・万媚・深井と面打の暴く加齢の宜なりけるを(素蘭) (8月1日 23時48分) 2246 > 幾度も死相失せよと打ち直す技神に入る面師夜叉王(登美子) (8月2日 19時07分) 2247 > 過熱する都会に百鬼夜行して眠れぬ蝉がひとしきり鳴く(素蘭) (8月3日 00時03分) 2248 > 午前四時波のまにまに限りなく蒼くまたたく夜光虫群(重陽) (8月3日 18時24分) 2249 > 沖つ海眩しき蒼き漁り火のほの揺らぎゐて澪を照らしぬ(素蘭) (8月4日 01時09分) 2250 > 川波にほの揺らぐ灯を映しつつ流す灯篭天に至れよ(登美子) (8月4日 20時00分) 2251 > 夕茜あかあか燃えて八月の空に挽歌を蝉歌ふらむ(素蘭) (8月6日 00時07分) 2252 > 患ひし目にはかたしき青空の忘れ難きは終戦の日の(重陽) (8月6日 04時47分) 2253 > 父母語る耐乏の日は遠けどもなほ精神は拒食症病む(堂島屋) (8月6日 08時15分) 2254 > あやまちを繰り返しつつ人類の歴史はつひにあの八月に(登美子) (8月6日 15時25分) 2255 > 日本史は大正までかと思つてゐた歴史教育〈我等の時代〉(素蘭) (8月6日 21時57分) 2256 > 日本の近代史なり絶妙に生きたる叔母の小さき骸(しゅう) (8月7日 16時08分) 2257 > 入院中痛さと消耗その中で教科書を読み試験に備う(元気) (8月7日 17時59分) 2258 > からからと笑ふ骨すら残らない8月6日の石の階(素蘭) (8月8日 00時10分) 2259 > 原爆を正義と教ふる倒錯の世に住むことを忘るなよゆめ(堂島屋) (8月8日 18時50分) 2260 > それぞれに唱ふる正義は異なれどをみなはひたすら平安欲す(登美子) (8月8日 21時48分) 2261 > 如己堂に綴りし文の褪せぬがに今日長崎の鐘は鳴るらむ(素蘭) (8月9日 00時42分) 2262 > ロザリオに祈りをこめてうち鳴らす長崎の鐘永久に響けよ(登美子) (8月9日 18時58分) 2263 > 廃棄物の処理受け入れし六ヶ所は短い夏の万緑に謐す(しゅう) (8月9日 21時58分) 2264 > 敦賀へと単身赴任しゆくきみ危険手当の高さ呟く(素蘭) (8月9日 23時09分) 2265 > 澄み渡る敦賀の海に影投げて原発無心にわが勤め為す(登美子) (8月10日 21時34分) 2266 > あまも生ふ小暗きかげよりちぬいでて光の粒を吐きて過ぎゆく(素蘭) (8月11日 00時36分) 2267 > 北極の氷に守られクリオネのニンフの舞は見るに笑まるる(登美子) (8月11日 06時21分) 2268 > 透きとほるもののいとしさスケルトン時計支ふる歯車の営(素蘭) (8月11日 13時22分) 2269 > 3掛ける7変速の自転車を押して坂ゆく歯車見つつ(重陽) (8月11日 17時28分) 2270 > 銀輪の抜きつ抜かれつ野に消ゆるミラーグラスのアスリートたち(素蘭) (8月12日 01時30分) 2271 > とりどりの夏着のままに自転車で地の老人が釣りに集まる(重陽) (8月13日 04時35分) 2272 > 縁台におじさんおばさん集まって帰省の我をちゃん付けで呼ぶ(登美子) (8月13日 06時31分) 2273 > ちやん付けでわれを呼ぶ友ばかりゐてほぐれてゆきぬ同窓の宴(素蘭) (8月13日 19時53分) 2274 > 絡みついた糸がほぐれてゆくやうに犬も食はない喧嘩終結(登美子) (8月14日 06時22分) 2275 > 本質を問はぬ論議の幕切れを終結とやいふ先送りとや(素蘭) (8月14日 19時54分) 2276 > うやむやに先送りしてそのあげく終ることなき重荷負ひゆく(登美子) (8月15日 07時23分) 2277 > 御遺訓のほろほろ苦く甦る勝つことばかり良しとする世に(素蘭) 『東照宮御遺訓』 (8月15日 11時52分) 2278 > いと辛き歴史を遺訓として永遠に平和よ続け終戦忌けふ(登美子) (8月15日 13時22分) 2279 > 歴史とは愚行に学ぶことだらういつか来た道歩まぬやうに(素蘭) (8月16日 00時38分) 2280 > 後悔をせずに生きると決めてより清しきものかこころ自在に(登美子) (8月16日 18時11分) 2281 > 道化師の自在に繰るるトランプのトラップトリック騙し絵の国(素蘭) (8月17日 00時52分) 2282 > ガリバーがアリスがさまよふ幻の国よりも不可思議なるは現し世(登美子) (8月17日 16時37分) 2283 > 草深き児童公園ふらここに置き忘れたる夢を探しに (堂島屋)(8月17日 17時46分) 2284 > 哀しみはたとへば真昼ゆやゆよんとふらここ揺らす道化師とゐる(素蘭) (8月18日 00時08分) 2285 > 大の字の三画の尾ののびやかに真闇を焦がす京の送り火(重陽) (8月18日 04時18分) 2286 > 火の儀式今始まれり妙法の二字を夜空に唱ふる題目(紀) (8月18日 18時30分) 2287 > 白煙の赤らみゆくを分けいでてまなうら焦がす今日のほむらは(堂島屋) (8月18日 20時19分) 2288 > 篝火はほのか揺らぎて夕顔のあだし夢へとわれを誘ふ(素蘭) (8月19日 01時29分) 2289 > あだし野に露光る頃夕顔のはかなく消えし影偲ばるる(登美子) (8月20日 08時27分) 2290 > 夕暮れて千燈萬燈ともさるる石の仏は秘めて語らじ(素蘭) (8月21日 00時19分) 2291 > 千波万波とどろき寄するを受けとめて大岩港を守るがに立つ(登美子) (8月21日 13時54分) 2292 > 濁流はこんな間近に来てゐたとのちのち思ふ決壊の夜(素蘭) (8月21日 23時54分) 2293 > 外堤に高波くだけ鳴動しそそり立ちたる潮の大壁(重陽) (8月22日 05時25分) 2294 > 大波の切っ先砕ける瞬間をボードに捉へサーファー 飛翔す(登美子) (8月22日 17時11分) 2295 > 防波堤かろがろ越ゆる荒波に高ぶりてゆくわれもまたゐる(素蘭) (8月23日 00時42分) 2296 > 津波とは時速700`あまり 見えたら既に逃るべからず(堂島屋) (8月23日 12時16分) 2297 > 言霊のさきはふ國に夜ごと夜ごとサザンの唄の流れけるかも(素蘭) (8月23日 22時54分) 2298 > 言霊の汝は愛しきと告るとみてやがて覚めたるあかときの夢(登美子) (8月24日 06時43分) 2299 > 旅僧の問はず語りにもの狂ふ胡蝶なるべしあかときの夢(素蘭) (8月24日 19時59分) 2300 > 花のもとに死なむ願ひをただひとつの煩悩として旅行く法師(登美子) (8月25日 06時19分) |