2301 > ねがはくは心静かにおもむきて枯るるがままに黄泉路たどらむ(重陽) (8月25日 16時20分) 2302 > 法師蝉つくつく語る愛宕山連歌のえにし今に偲ばむ(素蘭) (8月26日 00時51分) 2303 > 好き嫌ひ好きで終はってコスモスの花三輪は風に散りゆく(登美子) (8月26日 19時43分) 2304 > 散らすまへに数えてしまふ束の間の予定調和のなかにゐたくて(素蘭) (8月27日 00時19分) 2305 > 凌霄のこぼれる朝に露ありて散り敷く門に暫し吾あり(重陽) (8月28日 04時34分) 2306 > あかあかと赤き鎖の燃ゆるごと凌霄花吐く男のありぬ(堂島屋) (8月28日 11時57分) 2307 > ぬばたまの黒髪は死語茜さす君らが髪を嘆きつつ見ゆ(素蘭) (8月28日 19時02分) 2308 > 茶髪子も禿頭なりしいつの日か地黒き髪を懐かしむらむ(重陽) (8月29日 07時04分) 2309 > 五メートル四方満たざるエレベーター茶髪金髪錦綾なす(素蘭) (8月30日 00時38分) 2310 > 裾前に錦織りたる留袖の絹の静かな重みをまとふ(登美子) (8月30日 06時17分) 2311 > 絹ずれのさやかに聞こゆ法堂を巡る維那の息白くして(堂島屋) (8月30日 18時00分) 2312 > 定型といふコスチューム翻し放たれてゆくファントムがゐる(素蘭) (8月31日 23時23分) 2313 > 定型に組み込まれてゐる安らぎをある時不意に壊したくなる(登美子) (9月1日 16時29分) 2314 > ハンマーに打ち壊さるる壁がある心の壁は越えがたかるも(素蘭) (9月1日 23時20分) 2315 > 岩穿つハンマーの音滝谷に響きてクライマー垂直に挑む(登美子) (9月2日 21時34分) 2316 > 山峡に語りわたらふ人の絶え巨きダムへと貢がれてゆく(素蘭) (9月3日 00時46分) 2317 > 山峡の今は静けき巨大ダムロマンをかけし男たちの碑(重陽) (9月3日 04時25分) 2318 > ダム底に沈む運命を救はれて老樹ふたもと枝さしかはす(登美子) (9月3日 19時58分) 2319 > ふたもとの桜に遅速ありぬべし咲くも散れるも果ては枯るるも(素蘭) (9月4日 01時10分) 2320 > 亀が生きる亀の一生兎には兎の生きざまゴールはひとつ(登美子) (9月4日 20時46分) 2321 > アキレスと兎の駆けつこあやかしの話術巧みに忘れがたかり(素蘭) (9月5日 00時59分) 2322 > ほろ苦き思ひ出なつかし運動会のかけっこいつもビリから数へ(登美子) (9月5日 22時53分) 2323 > ほろ苦き思ひ出ぽろぽろこぼれくる掠れ掠れのハモニカの音(素蘭) (9月6日 00時48分) 2324 > ふらんすにたつ友と酌む泡盛は遥かうなさか越えて来し酒(堂島屋) (9月6日 19時55分) 2325 > ふらんすの野のこくりこの火の色の思ひにそまる歌をしぞ思ふ(素蘭) (9月7日 01時14分) 2326 > 秋深み酒かむ村の山畑の標めし葡萄は熟れつつをあらむ(堂島屋) (9月7日 12時14分) 2327 > 早暁の霧払われし丘陵の遥かシャトウに葡萄連なる(重陽) (9月7日 13時41分) 2328 > ひとしずくずつ滴るを掌にうけて啜るがごとく歌詠み継げり(登美子) (9月8日 10時08分) 2328 > 言葉ひとつ選りて歌詠むひつそりと醸されてゆくワインのやうに(素蘭) (9月8日 00時01分) 2329 > つれづれに聞く虫の音の絶ゆるとき雫こぼるる真闇と思ふ(素蘭) (9月9日 00時23分) 2330 > 菊の葉の露滴れば長命を言祝ぐ慈童妙観世音(絵) 重陽さんへ (9月9日 14時36分) 2331 > 重陽の御名のいはれ尋ねしも露のひととせ誕辰祝ふ(しゅう) (9月9日 14時48分) 2332 > 重陽のいはれ尋ねし孫たちはスリーナインは銀河鉄道の夜と(重陽)・これからもよろしくお願いいたします (9月9日 16時51分) 2333 > フォーナイン SWISS BANK のインゴット余命しづかに文鎮として(堂島屋) (9月9日 19時39分) 2334 > 座右には何置かるらむ九夜を過ぎて筑波の道をゆく君(素蘭) (9月10日 00時49分) 2335 > 鉄漿をつけ化粧の母は横乗りに裸馬にて来たる十三夜かな(詠人知らず) (9月10日 09時34分) 2336 > 菊坂の路地の暮れかた一葉が匂ひたつやう十三夜の月(素蘭) (9月11日 00時39分) 2337 > 匂ひたつ醸しところの息おもふ月を祭りし御酒捧げゐて(重陽) (9月11日 07時38分) 2338 > うなゐ髪そよろに揺らし月待つと縁に坐したる古思ほゆ(堂島屋) (9月11日 12時57分) 2339 > かはたれの野に蛇苺満ち満ちてまだ相聞の嫂は来ず(蓼艸) (9月11日 18時54分) 2340 > 弁明の言葉選ぶか無花果の果肉つきたるくちびるのまま(堂島屋) (9月11日 19時23分) 2341 > 蛇穴をいづればアダムとイヴ達がうすくれなゐのヴェールをまとふ(素蘭) (9月11日 19時50分) 2342 > ヴィーナスの裸身にヴェールをまとはせて春の目覚めは真珠貝色(登美子) (9月11日 22時07分) 2343 > 黄塵のヴェールまとひてありたたす銅の女神の血涙は見つ(堂島屋) (9月12日 12時18分) 2344 > 恒河沙となりて降りくるもののした眠れぬ夜に抱かれて眠る(素蘭) (9月12日 19時06分) 2345 > 燭満つる汝が双眸や聖誕の今宵こそいざ抱かせ給へ(蓼艸) (9月13日 11時46分) 2346 > 常ならぬ身体髪膚かりそめの影と思へど惜しまざらめや(堂島屋) (9月13日 12時24分) 2347 > 逆縁の子のまたあまた生まれけむ言葉とどかぬ君を淋しむ(素蘭) (9月13日 20時16分) 2348 > 逆縁かブラウン管に音もなく崩れゆくなり摩天楼二つ(重陽) (9月14日 18時41分) 2349 > 憤りに言葉もなきや父よ母よ子よはらからよ何ゆゑの死ぞ(登美子) (9月14日 22時01分) 2350 > 溢れ出づる涙拭はず帯屋町駆け抜けるなり母は死んだり(蓼艸) (9月14日 23時11分) 2351 > ひとりづつひとりのしづもるかげ連れて疾走してゆくMYSTERY TRAIN(素蘭) (9月15日 00時03分) 2352 > 疾駆するそびらたたたたたたたたと被弾あるいは冤枉の人(堂島屋) (9月15日 17時14分) 2353 > 濡れ衣のうわさを背で聞き頬染めてあの胸はまだ遠いと思ふ(登美子) (9月16日 18時24分) 2354 > 濡れ衣もいつしか渇くそのときに賽はいずれにふられしことか(重陽) (9月16日 18時55分) 2355 > THE DIE IS CAST せつなく澄める秋空に狼煙ひとすぢ立ちのぼる見ゆ(堂島屋) (9月16日 19時52分) 2356 > THE DEATH IS CAST? せつなく澄める秋空に煙草の煙が拡散していく(虫) (9月16日 23時13分) 2357 > 既視感のなかの映像日常がルビコン河を渡りはじめる(素蘭) (9月17日 00時49分) 2358 > いつの間にか撤収されし海の家いま砂浜は自然のままに(重陽) (9月17日 04時37分) 2359 > 人もなき浦の荒磯にここだくも鴎遊べり秋たけぬらし(堂島屋) (9月17日 12時03分) 2360 > 夕暮れて川面に群るるかげろふの生けるかぎりのいとなみ見つる(素蘭) (9月18日 00時34分) 2361 > 篝火の燃え盛りつつ花の奥増(ぞう)の面(おもて)の出を待ちゐたり(詠人知らず) (9月18日 11時31分) 2362 > 待ち合わす階を違えてはぐれけり流しにあらず流して歩く(しゅう) (9月18日 17時35分) 2363 > 君見ずや電網浄土いはけなき偶然童子の流言と蜚語(堂島屋) (9月18日 21時30分) 2364 > 語られぬ言葉のあはひおのづからあらはるるあり何を語らむ(素蘭) (9月18日 23時51分) 2365 > 語り得ぬ思ひ抱けばふと洩らす吐息をひとよとがめたまふな(登美子) (9月20日 06時09分) 2366 > 雄弁な人まず避るべく処すはいつしか我に具わりし術(しゅう) (9月20日 16時28分) 2367 > ひとりづつひとりの主張さはあれど言葉尖れば居づらくなりぬ(素蘭) (9月21日 00時24分) 2368 > 妻ととる夕餉にふっと違いては酒肴のうまき味は戻らじ(重陽) (9月21日 03時59分) 2369 > たまさかのいさかひ過ぎて割鍋に綴蓋夫婦のいつもの夕餉(登美子) (9月21日 16時50分) 2370 > 初秋刀魚柚子をしぼればしんしんと深夜帰宅の厨の夕餉(堂島屋) (9月21日 18時14分) 2371 > 雄弁は疎し多弁の人はトタンの屋根に雨落つやうに哀しき(しゅう) (9月22日 06時19分) 2372 > 不興なる羽音うとみて蠅打てばたくましき卵しらじら笑ふ(素蘭) (9月22日 15時04分) 2373 > 不興とて打てど遁れしいく粒のいのちが抱く冷たき炎(登美子) (9月22日 22時51分) 2374 > 秋茜群れ飛ぶ野辺のほむらだちさねさし相模の恋はかなしも(素蘭) (9月22日 23時57分) 2375 > 曼珠沙華ほむらとなりぬ生涯を逢はぬと決めしおもかげ埋めて(登美子) (9月23日 16時20分) 2376 > 緋の色を並めてさびしき曼珠沙華暮れなづみゆく海を見てゐる(素蘭) (9月24日 00時59分) 2377 > 南国の海に光は満つるらむ父を守るはどの岩陰ぞ(登美子) (9月24日 16時53分) 2378 > 黒潮を越えし人らは四肢痩せてまづうら枯れし浜木綿に逢ふ(堂島屋) (9月24日 18時56分) 2379 > 海上に道はありけむ干瀬(ひし)が彼方虹たつ朝のほがらに見ゆる(素蘭) (9月25日 00時16分) 2380 > 初雪に威を正したる不二の嶺紅の入日にほんのりとして(重陽) (9月25日 05時03分) 2381 > 利尻富士仰ぎて礼文かしこまる桃岩荘は健在なりき(素蘭) (9月26日 00時11分) 2382 > 生きている証明に書く掲示板アメーバ的連帯として(しゅう) (9月26日 17時50分) 2383 > 預言者は異常プリオン魂のたとへば劇的結晶作用(堂島屋) (9月26日 20時11分) 2384 > 神話とは虚構なりしかパンドラの匣放たれて災ひ満てり(素蘭) (9月27日 00時32分) 2385 > 太古より争ひ絶えぬ愚をなどて人のうちなる神や救はぬ(登美子) (9月28日 06時24分) 2386 > ときじくのかくのこのみの恐くも誰が手にあらむ誰が手に取らむ(素蘭) (9月28日 23時56分) 2387 > 夜々満ちてゆく月とどめむすべを無み嘆き重ねて十日が明けぬ(登美子) (9月29日 06時37分) 2388 > 藻塩やく浦のとまやの萱の間ゆ漏れていとどを照らす月影(堂島屋) (9月29日 20時07分) 2389 > 満ちて欠く月のならひに生れしより身ぬちをめぐる月の幾許(素蘭) (9月30日 00時56分) 2390 > 日常に小さき華やぎもたらしてまた巡り来る結婚記念日(登美子) (9月30日 06時48分) 2391 > しみじみと来し方見つむ日も良かれ金木犀のかをりたつ朝(素蘭) (9月30日 12時48分) 2392 > おしゃべりな妖精たちが秋の日をさんざめくよに咲く金木犀(登美子) (10月1日 09時40分) 2393 > 金もくせい銀もくせいと零しゆく風はめぐりて頁繰りつつ(堂島屋) (10月1日 12時06分) 2394 > あきらめの和みきたりしわが生にぼろぼろ零る木犀の花(しゅう) (10月1日 17時45分) 2395 > その昔投げキッスして別れたる吾妹(わぎも)は今も今も眼交(まなかい)(蓼艸) (10月1日 19時11分) 2396 > くもりなき月あらはるる今宵にぞ昔をとこのまなかひに顕つ(素蘭) (10月2日 00時56分) 2397 > 今は昔あづまをとめが恋をして鈴鹿嶺わたる月を見るかな(登美子) (10月2日 17時56分) 2398 > 十六夜の月あきらかに薄野は銀の笛もて童子がさやぐ(素蘭) (10月3日 00時45分) 2399 > 有り明けの雲むらさきに茜さすまだきにうすき十六夜の月(重陽) (10月3日 15時43分) 2400 > 寝待月はつかに見えてよもすがら文書きわびしそのまめ男(堂島屋) (10月3日 17時44分) |